EV仕様は2024年に登場予定
ランドローバーは、第5世代となる新型レンジローバーを英国で発表した。全面的に刷新され、ランドローバーの排出ガス削減計画に沿って大幅に電動化されている。
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新型レンジローバーは、5年間、700万時間に及ぶテストプログラムを経て、来年春に欧州市場へ投入される。2024年に発売予定のEV仕様は、ランドローバー初の完全電動モデルとなる。
今回発表されたのは、標準タイプ(スタンダードホイールベース)とロングホイールベースタイプの2種類で、後者には初めて7人乗りのシートが用意されている。日本仕様の税込み価格は、標準タイプが1637万円から、ロングホイールベースが1870万円からとなっている。
デザインは正常進化
ショルダーライン、ショートオーバーハング、「フローティング」ルーフ、クラムシェル・ボンネットなど、レンジローバーの特徴的なシルエットは基本的に維持されているが、現行モデルとの違いは広範囲に及ぶ。
最も明らかな違いは、リアに大きなグロスブラックパネルが追加されたことだ。このパネルには、サイドに縦型のブレーキランプ、上部にバー状のインジケーターが組み込まれているが、これらは使用していないときは見えないようになっている。ランドローバーは、このデザインがレンジローバーの「特徴」になるとしており、次世代イヴォーク、レンジローバー・スポーツ、ヴェラールの後継モデルにも採用されるようだ。
テールライトには、現存する中で最も強力なLEDが使用されているという。フロントでは、各ヘッドライトクラスターに約120万個のミラーが備わっており、光を反射して明るさを確保する。それぞれのミラーは独立してON/OFFの切り替えが可能で、対向車に光が当たらないようにする機能を備えている。
リアエンドは新デザインにより、機能性と実用性を大幅に向上させている。トランクフロアに新たに設けられた可動式のパネル(隠れた積載スペース)は背もたれにもなり、テールゲートが2人掛けのベンチに早変わり。底面にはドリンクホルダーが装備される。
フロントドア前の「ギル」パネルやグリルのデザインを一新し、ポップアップ式のドアハンドルがスマートな印象を与えている。レンジローバーは空力効率の向上にも力を入れており、空気抵抗係数は12%改善され、0.30という数値を実現している。
静粛性と剛性を大幅に向上
ジャガー・ランドローバーの新しいMLA「フレックス」アーキテクチャーは、現行のレンジローバーのものと比較して、ねじり剛性が50%向上し、構造体から発生するノイズが24%減少しているという。これは主に、複合材やボディシェルに組み込まれた「リング」を使用して剛性を最大限に高めることによるものだ。
構造体の80%はアルミニウムで構成されているが、主要部分にはスチールが多用されており、衝突防止性能と消音性能が向上している。全体的に、MLAは現行モデルよりも若干重くなっているが、内燃機関と電気モーターの両パワートレインに柔軟に対応できるようになった。
標準装備のパノラミックサンルーフを装着した状態でも、このような高い剛性を実現している。車両プログラム・ディレクターのニック・ミラーによると、スチールを大幅に取り除いたことによる横方向の剛性低下は、同じ荷重負担機能を持つ高強度のガラスパネルを設置することで相殺されているという。
また、アンダーボディにエアロシールドと呼ばれるものを配置し、空気を効率的にリアへと導く。リアのサスペンションにも空力に配慮したカバーを設け、「アンダーボディの気流をコントロールする」ようにしている。
3.0L 直6のPHEVも登場
パワートレインは一新された。4気筒エンジンはラインナップから落ち、プラグイン・ハイブリッド車は性能を大幅に向上させたパワートレインを採用、最上位モデルではスーパーチャージャー付きの5.0L V8からBMW製ツインターボに変更されている。
まず、ベースとなるのは3.0L直列6気筒で、いずれも48Vマイルド・ハイブリッドシステムを搭載し、出力はエントリーモデルのD250で250ps、P400が400psとなっている(いずれも英国仕様)。
これらに加えて、2022年には新たに38.2kWhのバッテリーを搭載したプラグイン・ハイブリッド車が登場する予定で、WLTP認定のEV走行距離は100kmとされている。3.0L 直列6気筒エンジンに電気モーターを組み合わせ、440psと63kg-m、または510psと71.2kg-mを発揮。一般的なユーザーの移動距離の75%を電力だけで走行できるとされている。
また、50kWの充電容量を備えているため、1時間以内に80%の充電が可能だ。回生ブレーキシステムも搭載し、移動中に電力を補充することができる。
V8モデルは、BMWの最もパワフルなモデルとエンジンを共有している。最高出力530ps、最大トルク76.3kg-mを誇り、静止状態から100km/hまで4.6秒で到達することがでる。燃費も現行のSVRに比べて17%向上している。
ランドローバーによると、このエンジンの開発には当初から携わっており、レンジローバーV8は独自の性能特性を持つようにチューニングが施されているとのこと。また、オフロードでの走行も見据え、専用設計のサンプ、エアインテーク、強化リブを備えている。
また、各モデルには、牽引や低速でのオフロード走行に適したローレンジ設定が可能なZF社製8速ATが搭載されている。
ディフェンダー並の悪路走破性
サスペンションとステアリングは完全に見直され、オンロードでの快適性を向上させながら、オフロード性能も維持しているという。
専用の「ウェーディング」モードでは、ディフェンダーと同じ水深900mmに対応している。デパーチャーアングル29度、アプローチアングル34.7度で、最大45度の角度で走行することができる。グランドクリアランスは295mmで、4段階のサスペンション設定のうち最も高い設定にすると、さらに145mm高くなる。
「ターマック」モードでは、142.5kg-mのトルクを誇る48Vのアンチロールシステムが、コーナリング時の過度なボディロールを防ぐ。全輪操舵システムも標準装備され、低速時には後輪を前輪とは逆方向に最大7度回転させ、回転円をフォルクスワーゲン・ゴルフとほぼ同じ10.95mまで小さくすることができる。高速走行時には、後輪と前輪を同じ方向に回転させることで、安定性と応答性を向上させる。
レンジローバーでは初めて5リンク式リアアクスルを採用し、より高い調整性を実現した。5ミリ秒以内に衝撃に反応するツインバルブのビルシュタイン製ダンパーは、リバウンドとコンプレッションを自由に調整することができる。また、速度に応じて自動的に16mmのローダウンを行い、空力性能を改善することで、燃費が2%も向上するとのことだ。
エアサスペンションの機能も大幅にアップしており、新たに「インテグレーテッド・シャシー・コントロール」システムが採用された。このシステムは、ナビゲーションデータを利用して、最大3km先の道路の段差やくぼみを予測し、それに応じてサスペンションが反応するように準備する。また、加速時や減速時の荷重移動やボディの動きを緩和し、緊急時の操作に備えることができる。
操作性を向上させたインテリア
インテリアでは、高級SUVの覇権争いに加わるべく素材やシステムのアップグレードが行われている。
ダッシュボード上に浮かび上がるように設置された13.1インチのインフォテインメント・スクリーンでは、主要なコントロールと機能のほとんどを操作できる。このスクリーンには、ランドローバーの最新世代OSであるPivi Proが搭載されている。
カスタマイズ可能な3つのタブで構成されるホーム画面では、2回押すだけで9割の機能にアクセスできるほか、触覚フィードバックが全モデルに標準装備されている。OTA(無線アップデート)への対応はもちろん、専用のバッテリーを内蔵しているため、エンジンをかける前に使用することができる。また、スマートフォンのミラーリング機能やアマゾン・アレクサの音声認識機能が全モデルに搭載されている。
運転席側には13.7インチの高精細デジタルメーターとヘッドアップ・ディスプレイを採用し、後部座席には11.4インチのタッチスクリーンと8.0インチのタッチコントロールパネルを装備している。
標準タイプの全長が5052mm(75mm延長)となったことで、リアのレッグルームが改善されている。また、ロングホイールベースでは、前後アクスル間のスペースが200mm拡大されている。ランドローバーによると、身長180cmの人でも3列目シートに快適に座ることができるとのこと。
豪華絢爛、最上位モデルのSV
ランドローバー社のスペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)部門が開発した最上位モデル、レンジローバーSVは、約3か月遅れて2022年の発売となる。
SVは、現在の最上位モデルであるSVオートバイオグラフィーに代わってパーソナライゼーションを高めたモデルで、標準タイプとロングホイールベースタイプの両方で4人または5人乗りの「エグゼクティブクラス」のシートを選択できる。4人乗り仕様の後席には、センターコンソールから立ち上がるテーブルが設置されており、折りたたんだり回転させたりすることができる。タッチスクリーンも13.1インチにアップグレードされている。
SVでは、センターシートの代わりに、従来よりも冷却速度が速く、スペースを取らないシャンパン冷蔵庫を引き続き搭載している。
レンジローバー史上最大の23インチホイールが装着され、フロントシートとリアシートを異なる色と素材で仕上げたツートーンのインテリアがオプションで用意されている。
レンジローバー・ファミリーの今後の展開は?
イヴォーク
現行のイヴォークは2019年に登場したが、2024年頃まで後継モデルが登場する予定はない。後継モデルでは、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツとともに、EV向けの新しいEMAプラットフォームに移行する。小排気量のガソリンエンジンを搭載してEVの走行距離を増やすレンジエクステンダー仕様の導入も予定されている。
レンジローバー・スポーツ
新型レンジローバー・スポーツの詳細は明らかにされていないが、レンジローバー発売の約1年後に登場する可能性がある。最近では、SVRバージョンのプロトタイプがサーキットで目撃されており、クーペのようなルーフラインと4本出しマフラーを備え、そのスポーツ性を示唆している。パワートレインも同様のラインナップが用意されるが、電動化の計画はまだ明らかではない。
ヴェラール
ヴェラールは、他のモデルに比べて将来性が低いと言われている。ジャガー・ランドローバーのティエリー・ボロレCEOは、ジャガーとランドローバーの両ブランドを「2つの明確でユニークな個性」として分離する計画を掲げており、ランドローバーは4×4の伝統とポジションを生かすためにラインナップを統合すると思われる。そうなると、オンロード走行に特化したヴェラールは、ブランド内では異例の存在となるだろう。
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みんなのコメント
という主張が会議で通ったんだろうな。
言いたいことは色々あるが…。