■連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド
100年以上にも及ぶ高級車づくりの歴史の中で、初めて手がけたSUVが「カリナン」。2018年にデビューした。「カリナン」という車名はこれまでに発見されたダイヤモンドで世界最大の大きさを誇るダイヤモンドの名称からとった。最新モデルは2019年秋に発表され、日本でも2020年から納車がはじまった新型「ブラックバッジ」。
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「ブラックバッジ」というのは、普通のロールス・ロイスでは飽き足りない、個性的なロールス・ロイスを望む顧客に対して開発されたシリーズで、2016年に2ドアクーペの「レイス」と4ドアの「ゴースト」に加わった。その名の通り、車体は黒が中心。ロールス・ロイスのシンボルであるボンネット上のスピリット・オブ・エクスタシーの女神像までもスモークに塗装されている。
狙いは、若くて事業に成功したニューリッチ層だ。この作戦は見事に成功し、「近年のロールス・ロイスの顧客はかなり若返り、40~50代が中心になっている」(グローバル商品広報マネージャー、M・ジョンズ氏)。
現在「ファントム」を除いたすべてのロールス・ロイスに「ブラックバッジ」シリーズが用意されている。クルマ自体もノーマル車より大径ホイールを装着するなどのチューンが施されている。
試乗した「カリナン ブラックバッジ」は4万4000色も用意されている車体色からトワイライト・パープルという紫色のメタリックに塗られたモデルだ。室内も紫色が中心という英国版大人のヤン車的な仕様。具体的には光ファイバーライト1344個を入れて手織りした上質なブラックレザーを使用。これで天井に夜空を再現している。前席の頭上を中心に流れ星がランダムに流れる。という演出も採り入れられている。前席の頭上中心というところにオーナーカーとして魅力をアピールしているのだ。
ドアを開けて、運転席に座る。床はフラット。ドアは内蔵のボタンを押すと自動で閉まる。スタートボタンを押すと車高が自動的に40mm上昇する。V12、6.75Lツインターボエンジンが始動するが、音も振動も室内にほとんど伝わってこない。インパネのメーターは中央が260km/hまでの速度計、左にパワーメーター、右は燃料計と水温計なのでエンジン回転はわからない。
コラムから生えているシフトレバーをDレンジにシフトすると、スルスルと「カリナンブラックバッジ」が動き始めめた。ノーマルの「カリナン」よりも29PS、50Nmチューンされ600PS、900Nmのエンジンはやや重さを感じさせながら加速する。パドルシフトのレバーはない。マニュアルモードもない。それは装備が簡素化されているのではなく、すべてクルマが自動的にコントロールしてくれるから。
未舗装路や泥ねい地などに行けば、ボタンを押すだけでオフロード走破性が向上する仕掛けになっている。サスペンションは毎秒数百回の計算を行ない、4輪操舵システム+4輪駆動システムが自動で作動する。ドライバーはとくにスイッチなどの操作をしなくても、クルマが路面状況に合わせて、瞬時にセッティングを判断してくれる。
「本当の高級車は、運転手に何の負担もかけずに走行する」というロールス・ロイスの哲学のひとつなのだ。だから「どこへでも快適に」というコンセプトが成り立つ。性能面でもレベルは高く、最大渡河水深は540mm。これは本格派のオフロードSUVを名乗る『レンジローバー』に匹敵する性能なのだ。
残念ながら今回の試乗では、こうしたオフロード走破はかなわなかったが、その実力は確かなはずだ(といっても少なくとも日本でそういう走りをする「カリナン」オーナーがいるのだろうか)。
オンロードでの「カリナン」はスーパースポーツカーだ。例えば、Dレンジでの0→100km/h加速は公道上でも4秒台という凄いタイムを叩き出す。しかもアクセルを踏みつけてもV12のエンジン音は車体前方のはるか彼方からわずかに聞こえる程度。周囲の景色の流れる速さからそのスピードが想像できるのだ。
ハンドリングはちょっとしたコツが要る。「カリナン」のハンドルは握りは細くて、やや大径だ。これは送りハンドルという運転作法のため。英国流の高級車の運転は3時15分の位置から手を上にあげないで、ハンドルを送っていく、という動きが基本とされていた時代からの流れなのだ。ハンドルをグルグルと手で回すのは下品、というのが英国流の運転手マナーだったのだ。
この運転法を知っていると「カリナン」の扱いは楽しくなってくる。ワインディングでの動きも小気味よく感じる。例によってドライバーは走行モードのスイッチなどを押しわける必要もなく、クルマが全部セッティングしてくれて、快適にドライブすることができる。唯一、「ブラックバッジ」の「カリナン」だけは、シフトレバーに「LOW」というモードが装備されている。これを押すと、なんとエキゾーストノートが、轟くような低音に変わり、文字どおり、ブラックな存在になるのだ。
後席は後ろヒンジの観音開き。閉める時は、Cピラーのスイッチで行なう。着座は高め。床はフラットで広い。荷室は後席と仕切られている。「カリナン」は2BOXではなく、独立したトランクスペースを持つ3BOXのSUVとロールスは主張している。ラゲッジスペースには後ろ向きに2脚のシートが内蔵されている。ピクニックやスポーツ観戦におしゃれなシート。こうした演出は他のスーパーSUVには見られない。上流階級の生活がわかっているからできることなのだ。ロールス・ロイスのスーパーSUVは、4530万円からオーナーになれる。
■関連情報
https://www.rolls-roycemotorcars.com/ja_JP/showroom/cullinan.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博 動画/吉田海夕
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