大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、アルピーヌのチーム代表に新たに就任したオリバー・オークスに焦点を当てた。
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【F1チーム代表の現場事情:ウイリアムズ】誠実な姿勢で粘り強く交渉。サインツ争奪戦に勝ったボウルズ
サマーブレイク前の最後のレース、ベルギーGPで、アルピーヌが新しいチーム代表を迎えることが確認された。それまでチーム代表を務めたブルーノ・ファミンは、アルピーヌ・モータースポーツ副社長としての他の職務に専念するため、F1から離れることになり、その時点で、すでに後任は決定していた。
その人物はオリバー・オークスで、彼はベルギーGPの数日後に、チーム代表就任が正式に発表された。サマーブレイク直前に仕事を開始し、最初のグランプリとして、オランダとイタリアに出席した。
オークスは、現在ハイテック・パルスエイトとして知られるハイテック・グランプリの共同創設者であり、チーム代表を務めた人物で、ジュニアカテゴリーにおいては、良く知られた存在だ。ニキータ・マゼピンがキャリアを重ねていた時期に、父親のドミトリー・マゼピンがハイテックの支配権を取得、オークスはチームを運営しながら、ニキータがF1に昇格するのに手を貸した。
オークスは、ハイテックをF1チームにしたいという望みを持っており、FIAが新チームの募集手続きを開始した時、申請を行い、2026年の参戦を見据えてマシンの開発に取り掛かっていた。しかし結局、昨年、FIAから申請を却下され、オークスの望みは潰えていた。
その彼に、F1チームの代表になる機会が訪れた。アルピーヌのエグゼクティブ・アドバイザーに就任したフラビオ・ブリアトーレが数人の候補者のなかから、オークスを選んだのだ。
ブリアトーレは、アルピーヌにおいて多くの決定権を握っており、オークスは就任した最初のレースウイークエンドから、ブリアトーレを満足させるために全力で仕事に取り組んだ。
36歳のオークスは、グリッド上で最も若いチーム代表であり、F1史上においては、クリスチャン・ホーナーに次ぐ2番目の若さでこの役割に就いた。キャリアは比較的短いかもしれないが、オークスは、自分自身のアイデアをたくさん持っている人物だ。
オランダでの最初のレースウイークエンドにおいて、オークスの最初の仕事は、アルピーヌがどのように機能しているかをトラックサイドから観察し、チームの運営方法を理解することだった。すでにファクトリーを訪れて、すべての部門に顔を出し、自分が管理することになる人々と知り合うための時間を過ごしたオークスだが、レースの週末にサーキットの現場に行くことは、プレッシャーのなかでチームがどのように業務を進めるのかを実際に自分の目で見る機会になった。
その後、彼はチームにとって大きな出来事にも対処した。アルピーヌがエステバン・オコンの後任として2025年にジャック・ドゥーハンをレースドライバーに昇格するということを、8月23日に発表したのだ。このことは、ドゥーハンとミック・シューマッハーがポール・リカールでテストを行った後に決定された。
彼だけの判断で決定が下されたわけではないが、オークスは、ドゥーハンとは過去に一緒に仕事をしたことがある仲だ。ドゥーハンは2019年にハイテックからF3アジア選手権に参戦し、その年、ランキング2位を獲得した。
チーム関係者のなかに、なじみがある人々が何人かはいたものの、それでもオークスは多数の人々と知り合う必要があったため、オランダGPの週末には、報道陣と話をするよりも、チーム内部で個別ミーティングを重ねて、新しい関係を築くことに集中した。
次のイタリアGPまでは数日しかなかったが、オークスはモンツァに向かう前にエンストンのファクトリーを訪れた。イタリアGPの週末にはメディア対応を比較的多く行い、チームのスポークスパーソンとしての役割を本格的に果たし始めた。
だが実際には、イタリアで彼が話すことはあまりなかった。ザントフォールトでは、ピエール・ガスリーが9位を獲得するというポジティブなニュースがあったものの、モンツァでのアルピーヌは競争力が低かった。さらに、ルノーのF1エンジン製造撤退に反対するパワーユニット部門の従業員がサーキットで抗議活動を行い、バナーを掲げるという出来事があったため、そのことに注目が集まらないようにする必要もあった。
オークスがチーム代表として出席した最初の2戦、会話をかわす機会はそれほど多くはなかったものの、そのなかでもはっきり感じたのは、オークスとブリアトーレの組み合わせを敵に回したいと考える者は誰もいない、ということだった。アルピーヌがこれからさらに再編を進めていくなかで、今後、彼らから話を聞く機会は増えていくだろう。
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