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リッターカーでも立派に“プレミアム”

掲載 更新 5
リッターカーでも立派に“プレミアム”

Cセグメントのハッチバック&セダン、A3シリーズが4世代目へと進化。新世代デザインにマイルドハイブリッドや最新インフォテインメントシステムなどを搭載した。セグメントリーダーとなる姉妹車ゴルフの“プレミアムモデル”は、その走りもプレミアムか?

ワイド&ローなスタイルでカッコ良くなった

飽くなきモータースポーツへの情熱を抱き続ける“コーナリングマシン”

アウディのCセグメントハッチバック&セダンモデルから成るA3シリーズが8年ぶりに4世代目へとフルモデルチェンジした。ほぼ同タイミングで日本に上陸した新型VWゴルフとは姉妹車にあたり、プラットフォームはVWグループの横置きエンジン用「MQB」を踏襲。キャビン骨格などボディの30%に熱間成形スチールを採用して高剛性化と軽量化を実現するとともに、Cセグメント初の48Vマイルドハイブリッド(MHEV)システムを搭載し、最新のインフォテインメントシステムも採用した、といったところが新型のハイライトだ。

実車を目の当たりにしての第一印象は、シンプルに先代に比べてカッコ良くなったなというものだ。どこかオジさんくさい感じがしていたセダンも、新型ではかぎ型のようなシャープなLEDヘッドライトからリアのライトへとつながるショルダーラインによってブリスターフェンダーが構成されていて、ドアパネル下部にみえるクビレはなかなかにセクシーなものだ。ボディサイズは、全長4345mm/全幅1815mmとそれぞれ従来モデル比で+20mm/+30mmとなっている。

インテリアは、直線基調でセンターコンソールを運転席側に向けたドライバーオリエンテッドなデザイン。メーターパネルはアウディではおなじみの10.25インチサイズ液晶のアウディバーチャルコックピットを採用。ダッシュボード中央にはタッチ操作式の10.1インチサイズのタッチスクリーン式「MIB3」MMIナビゲーションシステムがビルトインされている。そして、シフトにはバイワイヤ方式を採用したことで、従来のような大きなシフトレバーは姿を消し、コンパクトなシフトスイッチになった。あいた前方のスペースはスマートフォンの無線充電機能として使われている。VWグループではポルシェ911にはじまり、新型VWゴルフにもこうしたシフトスイッチを採用しており、今後の主流になっていくのだろう。

今回の試乗車ではなかったが、「S line」グレードにはサステイナブルな取り組みの一環として、標準シートのクロス部分にリサイクルペットボトルを原料とした素材を採用する。1台分のシートで、約45本の1.5リッターペットボトルが用いられ、これ以外にもフロアカーペットやラゲージルーム、断熱材や吸収材などその割合を拡大していくという。BMWはiシリーズで早くからリサイクル素材を採用してきたし、マツダもMX-30の内装に同様の素材を用いている。実はまだリサイクル素材の方がコストがかさむという現実があるようだが、こうした取り組みは今後、確実に拡大していくだろう。

スムーズな走りのマイルドハイブリッド

パワートレインにはCセグメントでは初となる48Vマイルドハイブリッドシステム(MHEV)を搭載した。従来の1.4リッター直列4気筒ターボエンジンにかわるもので、A1やQ2のエントリーモデルが搭載している1リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンに、ベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)と48VMHEVを組み合わせたものだ。この1.0 TFSI エンジンを載せた「30 TFSI」は、最高出力110ps、最大トルク200Nmを発揮。トランスミッションは7速Sトロニックを組み合わせる。

大人3人を乗せて箱根のワインディング路を走ってみたが、いわれなければこれが1リッターだとも、3気筒ともとても思えない。BASのアシストもあって発進時ももたつくことなくすっとトルクが立ち上がり、スムーズに加速していく。2000回転をすぎれば200Nmを発揮するので少々ののぼり坂でもまったく問題ない。

そして高速道路だけでなく、一般道でも頻繁に燃料をカットしコースティングする制御になっている。カタログ燃費は17.9km/L(WLTCモード)だが、試乗を終えての燃費計はおよそ20km/Lを表示しており、高速をメインに走ればそれも優に超えるだろう。

サスペンション形式は30 TFSIはフロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式となる。ちなみに、遅れてやってくる上級グレードの「40 TFSI」はフロントが同じだが、リアがマルチリンク(4リンク)式になるようだ。トーションビーム式というと、乗り心地や静粛性に劣るともいわれるが、この新型ではほとんど気になる場面はなかった。

内燃エンジンモデルのアップデイトも忘れていない

続いて、SモデルのS3に試乗した。基本骨格はA3と同じとはいうものの、車高を15mmローダウンし、ハニカムパターンのシングルフレームグリルや大型のエアインテークを備えたフロントバンパー、専用デザインのリアディフューザー、左右4本出しのテールパイプなどにより、よりワイド&ローな印象をうける。ボンネットの先端には往年のAudi quattroを彷彿とさせるスリットのようなデザインを備えた。

インテリアでは、メータパネルがベースモデルよりも拡大された12.3インチのバーチャルコックピットプラスが標準装備となる。Sモデル用のステアリングやスポーツシートなどが、よりスポーティさを引き立てている。

エンジンは先代モデルと同じ2リッター4気筒ターボエンジンをベースにターボチャージャーの過給圧を高め、350barと高圧の燃料噴射を備えたことで出力と燃費の両方を向上、最高出力 310ps、最大トルク 400Nmを発揮する。トランスミッションは7速Sトロニックで、電子制御式油圧多板クラッチを用いた quattro(フルタイム4WD)を採用する。

こちらのエンジンにはMHEVは備わっていないが、2000回転から400Nmもの大トルクを発揮するだけあって、動きだしから軽快だ。そして雨の高速道路でも試乗する機会があったが、やはりスタビリティの高さはクワトロの大きな魅力だ。

試乗車にはオプションの電子制御式ダンピングコントロールサスペンションが備わっており、走行モードを切り替える「アウディドライブセレクト」と連動して、「オート」「コンフォート」「ダイナミック」と減衰力の切り替えが可能。コンフォートなら街中でも快適で、ダイナミックなら一気にシャープな動きへと変わる。アウディに限らずだが、最近の電制ダンパーはコンフォートからスポーティなものまで、減衰力のカバー範囲の広さはやはり魅力的でオプション価格11万円ならぜひつけたいもの。

A3もS3も新型はまさに全方位の進化を果たしている。アウディはいま電動自動車(BEV)に大きくシフトしようとしているけれど、一方でこういった内燃エンジンモデルのアップデイトも忘れてはいない。リッタカーであってもプレミアムモデルにきっちりと仕立てる手腕は、さすがのアウディというほかない。

文・藤野太一 写真・柳田由人 編集・iconic

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みんなのコメント

5件
  • 「プレミアム」の5文字が欧州の、そして先進国のクルマを堕落させた。
  • 価格だけ立派なプレミアム。
    相変わらずの安直提灯記事には、さすがのアウディというほかない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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