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王者キャディラックの大改革!! 輸入車としての魅力溢れるアメ車の現在地

掲載 更新 26
王者キャディラックの大改革!! 輸入車としての魅力溢れるアメ車の現在地

 キャデラックの新作、CT5の出来がよくてびっくりした。

 よいと言っても、これまで散々アメリカ車に対して使ってきた「日本車やドイツ車にはないおおらかさがあって……」という苦肉のレトリックではなく、ホントによいのだ。例えばこれがメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズの新型だと言われても納得できるくらいによい。

国産セダン冬の時代 レクサスが進む道は?

 大げさかもしれないが、生き馬の目を抜く自動車業界で次に覇権を握るのは、ほんの11年前に破綻したにもかかわらずV字回復を果たして見事再生したゼネラルモータース。

 そしてEV専業という極端な戦法によって短期間のうちにベンチャー企業から株価世界一の大企業にまで登りつめたテスラのような新しい勢力が共存するアメリカなんじゃないかと思わせるものがあった。

 Make America great againを可能とするのはトランプじゃなく自動車なのでは!?

文/塩見 智、写真/ゼネラルモーターズ・ジャパン

【画像ギャラリー】新生GMが送り出したアメリカの誇り!! 新型キャデラックCT5&XT4を見る

■生まれ変わったアメリカン・セダン

キャデラック CT5。サイズ的にはベンツ EクラスやBMW 5シリーズなどと競合する

 冒頭からブーストがかかって話を広げすぎた。具体的にCT5がどうよいかを述べていきたい。CT5は従来のCTSのモデルチェンジであり、サイズは全長4925mm、全幅1895mm、全高1445mm、ホイールベース2935mm。メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズあたりとぶつかるサイズのセダンだ。

 ホイールベースが長く、前後、特にフロントのオーバーハングが非常に短いため、実寸よりもかなりコンパクトに見える。

 ロングノーズでキャビンがリア寄りにある典型的なエンジン縦置きのレイアウトだ。エンブレムと同じ形状の五角形グリルの両脇にある小ぶりなヘッドランプの両端からほぼ真下へ向かってデビルマンっぽいLEDのDRL(デイタイム・ランニング・ランプ)が伸びるのが面白い。

 プラチナム(560万円)とスポーツ(620万円)の2グレードがあって、パワートレーンはどちらも2リッター4気筒ガソリンターボエンジン(最高出力240ps、最大トルク350Nm)と10速ATの組み合わせ。

 ちなみにアメリカ車としては珍しくハイオク指定だ。プラチナムが後輪駆動なのに対し、スポーツは四輪駆動となる。

■スムーズな変速とユニークな安全装備が楽しい

パワーは過剰なほどではないがエンジンは気持ち良く回る。街中のコーナリングでも持て余すことはなかった

 試乗したのはスポーツ。エンジンは4気筒としては振動が少なく、軽やかに回る。モリモリとパワーがあふれ出るというわけではないが、十分に力強い。特にスポーツモードを選ぶとエンジン音がやや獰猛な音色となり、やや引っぱり気味の変速タイミングとなる。

 10速ATと聞いて、街なかではせわしなく変速し続けてわずらわしいのではないかと心配したが、杞憂に終わった。タコメーターを見ていると確かに変速の頻度は高いが、変速ショックをほとんど感じられないので、わずらわしさはない。

 GMはトランスミッションを自社で開発する珍しいメーカーのひとつであり、早くから多段化に積極的だっただけあってうまくつくる。

 ただしギアダウンで減速しようとすると左パドルを何度も引く必要がある。キックダウンへの反応は適切で、必要とあれば躊躇なく4、5段吹っ飛ばす。

 低負荷時に2気筒を休止して燃費を稼ぐ小技ももちあわせている。カタログには燃費の記載がないが、首都高を中心に小一時間試乗した後の車載燃費計の表示は13km/Lあたりだった。悪くない。

後続車が右から接近するとシート右側が振動し、左から接近すると左側が振動するという感覚的なアラートシステムがユニークだ

 街なかでの試乗だったため、ハンドリングを事細かに確認することはできなかったが、首都高の曲率の高いコーナーでは気持ちよく曲がることができた。

 GMのエンジン縦置き車が用いるアルファプラットフォームは熟成されており、乗り心地のよさとハンドリングの気持ちよさを高い次元でバランスさせる。不自然な挙動がなく、荒れた舗装路もうまく振動を吸収してくれる。

 4WDはツアーモードでは40:60、スポーツでは同20:80、アイス&スノーでは50:50の前後トルク配分となる。

 全車速対応のACC、車線逸脱防止支援(車線中央維持支援はない)、リアクロストラフィックアラート、後側方からの車両接近を知らせる警告など、ADAS(先進運転支援システム)も日欧のライバルに引けを取らない内容が備わっている。

 デジタルカメラによるルームミラーも標準装備。備わるだけではなく、例えば先行車両との車間調整はスムーズだったし、右後側方から車両が接近すればシートの右半分が、左後側方から接近すればシートの左半分が振動して注意をうながすユニークなシステムもしっくりきた。

■キャディよお前もか!! ラインナップをSUVに注力

SUVタイプのXT4。国内ラインナップはセダンがCT5のみなのに対し、SUVは4車種もある

 同じ日にSUVのXT4にも試乗した。

 キャデラックと言えばなんとなくセダンを中心としたラインアップを想像するが、実際には、現在日本でのラインアップはSUVがXT4、XT5、XT6、そしてエスカレードの計4車種あるのに対し、セダンはなんとCT5のみ。時代を反映している。

 19年半ばに日本導入されたばかりのCT6というフルサイズセダンも最近までラインアップされていたのだが、「SUV中心でいく!」という全社的な大号令のもと、あえなく販売終了となった。おおらかさがあってよかったのに!

 XT4はCT5と同じエンジンを搭載するが、こちらは横置きで9速ATとの組み合わせ。4WDのみの設定。CT5に比べ最高出力は10ps低いが、最大トルクの値は同じで1.8トン弱の車重もほぼ同じなので、力強さはほとんど変わらない。

 ツーリング、スポーツ、AWD、そしてオフロードの4つのドライブモードを選択できる。ツーリングは前輪駆動で走行するモードだ。先進安全装備もCT5と同じ内容が備わる。CT5と同じ路線のシャープなスタリングだが、より有機的な曲線のLEDがヘッドランプ、リアコンビランプに配置されている。

 CT5ほどではないにせよ、同価格帯のライバルと比べて決して引けを取らない快適性が備わっていた。装備の充実度が異なる3グレードがあり、価格は570万~670万円。

■国産車や他輸入車と肩を並べる大幅進化

両モデルともこれまでに比べて大きな進化を見せた。輸入車を選ぶ時の選択肢にもじゅうぶん食い込んでくる

 両モデルに共通し、これまでのGM車に比べ大幅に進化した。

 これまでのように輸入後に日本で装着した感ありありのタイプでもなければ、特殊な操作系をもったタイプでもなく、使いやすく、地図表示も美しい。

 この部分でもいよいよ国産車やメジャーな輸入車と同じように便利に使うことができるようになった。左ハンドルに慣れることさえできれば、使い勝手の面で我慢することはない。

 新生GMはかつての重厚長大で保守的なイメージから脱却し、ブランドを絞って効率のよい経営を展開してきた。アメリカ国内市場頼りだった販売を世界に広げ、VW、トヨタに次ぐ規模の自動車メーカーとして存在している。

 そのGMが誇るラグジュアリーブランドのキャデラックもまた、唯我独尊を貫くことなくセダンよりもSUVを手厚くラインアップし、ダウンサイジングをはじめとするトレンドも押さえ、ライバルをリードする先進技術を盛り込んでいる。キャデラックは今度こそ本当に変わったと思う。

【画像ギャラリー】新生GMが送り出したアメリカの誇り!! 新型キャデラックCT5&XT4を見る

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みんなのコメント

26件
  • とりあえず右ハンドル・・・
  • 他の輸入車でもそうなんだけど、左ハンドル乗るのはいいけど
    取り敢えずとっとと右折してくれ。
    日本にいる限り右ハンドルがいいと思うよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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