改良新型に、新世代マツコネ/360°モニター
text:Yasuhiro Ohto(大音安弘)
【画像】マツダが、CX-8、CX-5を改良【ブラックトーン・エディションも登場】 全101枚
photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
ニーズの多様化をSUVラインアップの拡大で挑むマツダ。
その中核となる「CX-5」と「CX-8」に、2020年12月3日、年次改良が実施された。
2017年に登場した初代CX-8は、新世代マツダの看板として大活躍したが、そのポジションは現在も揺るぎないものだ。
国内販売の約60%をSUVでカバー。その中でも、上級モデルとなる「CX-5」と「CX-8」の2台が、約半分を占める。今回の年次改良では、それぞれの持つ個性のブラッシュアップに加え、先進機能や制御技術の進化が図られている。
共通の進化ポイントは、コネクテッド機能と“走りの質感”の向上だ。
マツダコネクトは新世代へとアップデート。表示部となるセンターディスプレイを8.8インチもしくは10.25インチへと拡大。ハードウェアの処理能力も向上し、利便性を高めている。
また、全信号がデジタル化され、起動時間が早まったほか、画質・音質も高められているという。操作部となるコマンダーも新世代のものと共通化し、より操作しやすくなった。
また先進機能では、車両周囲360°の表示が可能な「360°ビューモニター」を全車に標準化。さらにコネクテッドサービスにも対応し、車両通信機能の搭載で、緊急通報も可能となっている。
改良型は、パワートレインにも手を加えた。
ディーゼルはパワーアップ 200psへ
今回の改良におけるメカニズムのハイライトは、パワートレインのアップデートだ。
クリーンディーゼル仕様となる「SKYACTIV-D2.2」は、最高出力を従来比10psアップの200ps/4000rpmまで強化。これにより3000rpm回転以上の領域での伸び感も良くなった。
最大トルクは従来同様の45.9kg-m/2000rpmだが、最高出力が発揮される4000rpmでのトルクに厚みが増している。また制御を見直すことで、加速のレスポンスも高まっている。
ガソリン仕様は、価格面と性能のバランスの良い自然吸気エンジンの魅力をより引き出すべく、エンジンおよびAT制御を変更。さらにスポーツモードに手を加え、スポーティさを高めた。
なおスペック上の違いはなく、フラッグシップの2.5Tターボも変更はない。
改良新型CX-8 外観をリフレッシュも
年次改良ながら、エクステリアの変更まで踏み込んだのは、CX-8だ。
マツダ車唯一の3列シートモデルとして、ミニバンを持たないラインナップの中で多人数乗車のニーズを支える一方で、マツダの最上級モデルとしての高級車ニーズにも応えてきた。
このため、一部ユーザーからは、CX-8の上級グレードに相応しいデザインを望む声が多かったことから、「Lパッケージ」と「エクスクルーシブ・モード」に改良が加えれた。
上級グレード向けの専用アイテムとして取り入れられたのは、新フロントグリル。
従来と形状こそ同じだが、ルーバータイプからブロックメッシュデザインに変更。立体感のあるものとなった。
Lパッケージでは、カラーリングを「グロスブラック」に、エクスクルーシブ・モードでは「ガンメタリック」とすることで差別化。
さらに「エクスクルーシブ・モード」では、フロントガーニッシュを追加し、テールパイプもワイド化。アルミホイールも上質さを演出した新10スポークデザインの専用品を装着している。
この他機能向上として、パワーリフトテールゲートにハンズフリー機能を追加。センターコンソールに内蔵されるQi規格のワイヤレスチャージャーの選択も可能となった。
中核SUVの年次改良 注目は?
正常進化が図られた「CX-5」と「CX-8」だが、今回の年次改良では、フラッグシップSUVとしてのCX-8のポジショニングが改めて強化されたのが大きなポイントだ。
CX-8は、上級グレードにセンターコンソール付きの2列目キャプテンシートを備えたことで、ビジネスカーや上級車など幅広いニーズをカバーして、顧客層を拡大したが、より上級車らしい演出も求められるように。
今回の改良では、そんな市場の声に応えた形だ。
とくにCX-8に新設定された上品な「プラチナクォーツメタリック」は、その象徴といえよう。
2台の走りの質感を高めながらも、CX-8が単に大きなCX-5ではなく、CX-8独自の価値を高めたことが、今回の改良のポイントといえる。
マツダは、多用途向けのフラッグシップモデルとして、CX-8のさらなる活躍に期待しているようだ。
なお、改良新型CX-5の価格は、267万8500円~414万1500円。改良新型CX-8の価格は、299万4200円~510万9500円となっている。
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