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V8 620psのフェラーリ・ローマでグランドツアー ル・マン-ロンドン長距離試乗 前編

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V8 620psのフェラーリ・ローマでグランドツアー ル・マン-ロンドン長距離試乗 前編

マラネロ最新のグランドツアラーの実力は?

この企画は単純。ル・マン24時間レースの開催に合わせ、フランスから英国へのグランドツアーを敢行し、フェラーリ・ローマの実力を確かめようというものだ。

【画像】V8エンジン FR 2+2のフェラーリ・ローマ 競合するグランドツアラーと写真で比較 全130枚

夜道をヒタヒタと走る情景を思い浮かべていたが、実際は違った。夏至の近いル・マンは、午後10時頃まで明るい。英国へ入る直前も昼間のようだった。それでも、マラネロ最新のグランドツアラーの実力を、存分に確かめることはできた。

フェラーリ・ローマの発売は2019年。AUTOCARではその直後に試乗しているが、COVID-19の流行で大陸横断といえるようなロングドライブは実施できていなかった。

さらに、フェラーリは1000psのSF90 ストラダーレや、V6エンジンをミドシップした296 GTBなど、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のスーパーカーを投入。2+2レイアウトのローマは、少し影の薄い存在になっていたように思う。

ローマのフロントへ載っているのは、粘り強く高回転型の3.9L V型8気筒ツインターボ・エンジン。ハイブリッドではなく、最高出力620psと最大トルク77.4kg-mを発揮する。ユニットとしてはポルトフィーノと共有しているが、単なるボディ違いではない。

レイアウトは、クラシカルなフロントエンジン・リアドライブ。その点でも共通するが、フェラーリのうたい文句のとおり、コンセプトは明確に異なる。

モダン・フェラーリの傑作といえるデザイン

「フェラーリ史上最もパワフルで運転の楽しい、フロント中央寄りにV8エンジンを搭載した2+2です。日常的な運転のしやすさと卓越した快適性によって、このコンセプトが実現されているという点も忘れないでください」。かなり壮大な内容だ。

そして、非常に美しい。実物を目の当たりにすると恋に落ちてしまう。AUTOCARが準備したル・マンの拠点で、SF90と296 GTBの2台と一緒に並んだ姿は、確かに少し地味に感じられた。相手が、レッドとブルーという配色だったこともあるけれど。

そんな状況でない限り、モダン・フェラーリの傑作と呼べるほど妖艶。プロポーションが整っていて、面構成は極めてシンプル。パールホワイトというボディ塗装が、スタイリングを一層引き立てていた。ハイライトとシャドウの入り方は見事だ。

アグレッシブではないものの、躍動感がある。英国製のライバルより美しいと表現しても、差し支えないだろう。

今回のグランドツアーの計画は、ル・マン24時間レースを観戦してから、夜道でロンドンへ向かうというもの。SF90 スパイダーの登場と重なって、間際に少々の計画変更を迫られたが。

果たして、ローマは急ぎ足のロング・クルージングなど朝飯前。約640kmの道のりは、最後まで印象的なほどに快適だった。

乗り心地には柔軟性があり、ロードノイズは控えめ。シートの座り心地も良く、連続して2時間くらい運転しても疲労感は少ない。価格差がかなりあるローマとSF90だが、快適性という点ではまったく劣っていない。

あまりにも素晴らしいV8のサウンド

2022年のル・マン24時間レースが始まる前日に、フェラーリ・ローマのカギを預かった。サルト・サーキットへ立ち寄り、壮麗な夕景を味わいながら年に1度の世界的イベントの雰囲気に浸る。

サーキットから郊外へ伸びる道は、予想通り渋滞していた。スマートフォンを片手にした若者にせがまれて、空ぶかしを何度か披露してしまった。

マラネロ製のV8エンジンは、あまりにも素晴らしいサウンドを響かせる。多くの現代モデルが電動化され、静まり返っている。フェラーリに乗っているクルマ好きとして、周囲を楽しませることは半ば義務のように思う。

翌日の午後、いよいよ24時間レースがスタート。トヨタのハイブリッド・ハイパーカーが勢いよく飛び出していく。空は快晴で、殆ど雲はない。気温は30度以上。ゴールまでは残り23時間以上ある。

来年はポルシェとプジョー、フェラーリといった名門チームがル・マンに帰ってくる。トヨタの独走状態が破られ、スリリングなレース展開が繰り広げられるだろう。

この24時間レースで筆者が楽しみにしているものが、闇夜を疾走するマシンたち。トップクラスのスポーツカーが、2灯のヘッドライトを揺らしながら高速で駆け抜ける。ほかでは見られない光景なのだが、まだ日没まで6時間もある。

ローマのカギを手にしている筆者は、それまで少し離れた街を目指すことにした。優れたグランドツアラーなら普段より遠い場所までドライブし、優雅に夕食へ舌鼓を打てる。

親しみやすく感触豊かで、存分に楽しめる

今回はル・マンの南、ロワール川のほとりにあるアンボアーズの街へ向かう。片道112km。田園地帯に続く一般道を走れば、サーキットの割高なハンバーガーやフライドポテト以外の食べ物にありつける。ナイト・スティントにも、余裕で間に合うはず。

サーキットを出ると、24時間レースの喧騒から一転。森や広大な畑を左右に見ながら、悪くないペースで運転できる。ステアリングホイール上のマネッティーノ・ダイヤルを回し、ドライブモードをコンフォートからスポーツに変える。

すべてのレスポンスがシャープになり、加速も鋭くなるが、それでも驚異に感じるほどではない。8速デュアルクラッチATがスパスパと変速を繰り返し、低く唸るようなサウンドが車内に充満する。

アンボアーズまでの道は、基本的にストレートが中心。時々出くわす鋭いコーナーでは、充分なグリップ力を活かしフロントが機敏に切り込んでいく。

フランスは、郊外の一般道なら制限速度は90km/h。その範囲内でも、アクセルペダルの加減でラインを調整できる。軽くリアタイヤを外側へ振り出すことも難しくない。

ミドシップ・リアドライブのフェラーリの方が、よりシャープではある。ドライバーとの関わりが濃く、自由度も高いだろう。とはいえフロントエンジン・リアドライブのローマも、親しみやすく感触豊か。最高な土曜の夜だ。

爽快な笑みを浮かべたまま、アンボアーズに到着。お腹を満たし、数時間後に再びローマのステアリングホイールを握った。

この続きは後編にて。

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