シートベルト・ストラップ
(翻訳者注:この記事は後編です。前編と合わせてお楽しみください)
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これもモータースポーツに影響を受けたアクセサリーだが、やや時代遅れの流行として衰退しつつあるようだ。本来は、レーシングドライバーが衝突時の負荷を分散させるために幅広のセーフティ・ストラップを使用しているのに対し、シートベルトに後付するこうしたアクセサリー品は安全性を高めるものではない。
高級感のあるシートベルトパッドを好む人のために、レザーやフェイクファー、シープスキンなどの素材もある。
ローリングコール
ローリングコール(Rolling coal)とは、黒煙を吐き出す米国のピックアップトラックのトレンドに付けられたニックネームである。なぜこのようなものが流行するのか。その理由についてはおそらく “別の呼び名” の方が理解しやすいだろう。ずばり「プリウス忌避剤(Prius Repellent)」だ。
クルマ社会の米国では、クリーンで環境に優しい、いわゆるエコカーに対して抵抗感を示すドライバーが一定数いる。排出ガスを浄化するパティキュレート・フィルターをあえて取り外したり、煙突を取り付けたりしてピックアップトラックを改造することが、この流行の一部である。
米国の多くの州では、工場出荷時よりも多くの煙を発生させる改造車に対して、法律で規制している。それでも、これらのピックアップトラックのオーナーが、ハイブリッド車や電気自動車(EV)に嫌がらせをするのをやめることはない。
トラップハンド
このジョークグッズが笑えるのは1回目か、せいぜい2回目まで。昔からあるコメディの定番ネタで、トランクに誰かを閉じ込めたように見える、偽物の腕だ。
いくつかバリエーションがあり、芝居用の血糊がついたグロテスクなトラップハンドなど、かなりリアルに見えるものもある。助手席のドアに挟むものや、窓に貼り付けるホラー的なものなど、初めて見た人はドキッとするかもしれない。
しかし、トニー・ソプラノ(米国のテレビドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の主人公)のように荷造りに失敗しない限り、誰もトランクから腕を出したまま走り出すことはないだろう。
弾痕シール
なぜ自分のクルマにこれを貼ろうとするのか、不思議に思う人もいるだろう。しかし、2000年代初頭には、このような弾痕シールが流行した。
シール自体に害はないが、米国では警察に銃を突きつけられて呼び止められるという事件もいくつか発生している。銃撃戦に巻き込まれたと誤解されたのだ。
計器類の追加
知識は力なり。エンジンの状態をあらゆる側面から教えてくれる計器類があれば、とても心強いはずだ。自動車が今ほど発達していない1920年代には、走行中にクルマの状態を細かく監視する必要があったため。計器の追加が好まれた。
その後、1980年代にターボチャージャーが登場すると、ブースト計は必須のアイテムとなった。しかし、現代のクルマはさらに高度化し、デジタル・ダッシュボードが普及したことで、アナログの計器類は過去のものとなりつつある。
ビニール製ルーフ
ビニール製ルーフはかつての馬車の名残であり、退屈なセダンにもエレガントな雰囲気を加えることができた。ロールス・ロイスは、シルバーシャドウにオプションとしてエバーフレックス・ルーフなるものを設定し、こうした伝統を受け継ごうとしたが、1980年代までにビニール製ルーフの時代は終わりを告げた。
また、ビニール製ルーフには、良心的でない販売業者がルーフの錆を隠すために用いるという、あまり好ましくない側面もあった。
アイラッシュ
自動車デザインにおけるアイラッシュは2種類ある。1つは、ランボルギーニ・ミウラのように、ヘッドライトを繊細に縁取るもの。そしてもう1つは、クラシカルなフィアット500やミニ、フォルクスワーゲン・ビートルなどで人気のあるゴム製のまつげだ。
外観の印象を変えるアクセサリーであり、性能を向上させるものではない。
フロントガラス用サンシェード
実用性のある珍しい流行の1つ。オーナーがクルマ好きであるということを示すだけでなく、サンシェードという名の通り、眩しい太陽光を遮るアイテムとしても使われる。
1970年代に貼り付け式の安価なプリントタイプが登場すると、ドライバーと愛する人の名前を入れるカスタマイズが瞬く間に人気となった。恋愛に恵まれない人にとっては幸いにも、自動車メーカーはやがてフロントガラスに溶け込むような純正サンシェードをオプションで用意してくれるようになった。
リアウィンドウルーバー
リアウィンドウのルーバーもまた、実用性を重視した流行である。階段状のスラットによって、窓から差し込む日光や熱を防ぎながら後方視界を確保するものだ。
このスタイルをいち早く採用したのはランボルギーニ・ミウラで、ロータスもエスプリに採用している。こうしたメーカー純正のルーバーはクルマのデザインに綺麗に溶け込み、カー用品店でも売られている後付けのものとは対照的だ。一部の社外品は、隙間が大きすぎたり、視界を遮ったり、空気抵抗を増大させてしまう。
ポップアップ・サンルーフ
戦後のクルマ社会において、サンルーフはどちらかというと上流階級的なものとみなされていた。アフターマーケットで手に入るものといえば、折り畳み式のベバスト(Webasto)タイプのものに限られており、価格も高かった。やがて、ガラスやプラスチックの普及と大量生産により、安価なポップアップ式が選べるようになった。
ポップアップ式サンルーフは1970年代初頭に登場し、どんなクルマにもたちまちシックな雰囲気を添えたが、雨漏りすることが多かった。自動車メーカーの密閉性の高いサンルーフの開発に追われたが、1990年代に入ると、ポップアップ式よりもさらに汎用性の高いスライド式に取って代わられ、数を減らしていった。
ドリフト用シフトレバー
日本のサブカルチャーとして始まったドリフトのスタイルの1つに、シフトレバーを延ばすというものがある。本来は、ドリフト走行中のシフトチェンジの際にレバーを握りやすくするためだった。それがやがて個性をアピールするためのスタイルとして定着していったのだ。
今でもドリフト愛好家の間では人気があるが、既存のショートレバーを長くしても特に利点はない。かえってレバーが重くなり、素早い操作を妨げていると感じる人もいる。
ガーフィールド
『ガーフィールド』は、米国の漫画家ジム・デイビス氏が描く新聞連載用の漫画である。デイビス氏は、欧州のスヌーピーに相当するキャラクターを作り、犬ではなく猫の飼い主にも楽しんでもらおうと考えた。このアイデアは見事に当たり、数多くのグッズが販売されるほどの人気作品となった。
吸盤付きのガーフィールドのぬいぐるみ人形「スタック・オン・ユー(Stuck On You)」は特に有名だ。実は、当初は吸盤ではなくマジックテープを採用し、カーテンやクッションに貼り付けられるようにする計画だった。ところが、試作品の段階で誤って吸盤が付けられてしまったのだ。
デイビス氏はこの吸盤のアイデアを採用し、1987年に発売した。何百万人ものドライバーが購入し、愛車の窓に付けるようになった。多くの人を笑顔にしたが、一番笑ったのはデイビス氏だろう。彼はこのグッズのおかげで5000万ドルを稼いだのである。
ボディキット
サンシェードや追加のライトなど、クルマにさまざまなカスタムパーツを装着するというのは、第二次世界大戦前から見られた。1970年代に入り、安価なグラスファイバー成形技術が発展すると、アフターマーケット用のボディキットが本格的に普及するようになる。エアロバンパー、スポイラー、オーバーフェンダーなどモータースポーツの影響を受けたものが多く、自動車メーカーも参入するようになった。
トレンドの絶頂期は地域によって差があるが、英国では雑誌『Max Power』を中心とした1990年代の改造ブームが頂点だった。どんなクルマでも改造の対象となった。しかし、2000年代初頭には手頃な価格のホットハッチが復活したこともあり、トレンドは急速に衰退していった。
ダンプバルブ
ダンプバルブは、ターボチャージャー付きエンジンをチューニングする上で重要な役割を担っている。スロットルを戻したときに圧縮ガスを逃がし、ターボが素早く回転して即座に反応できるようにする。主にラリーでチャタリングなどの「音」で注目を集め、真似をする人が続出した。
1990年代のほとんどのターボ車にはダンプバルブを簡単かつ安価に取り付けることができ、金曜日の夜になると、各地で口笛のようにチャタリング音を聞くことができた。多くの場合、性能には特に影響しないため、機能性よりも音が好まれているのだろう。
ボンネットダクト
古いクラシックカーでは、エンジンを冷やすシンプルな方法としてボンネットにダクトが付いていた。しかし、1986年にフォード・シエラ・コスワースが登場して以来、欧州ではスポーツカーの必需品となった。
シエラ・コスワースではエンジンルームへの空気取り入れ口として有効だったが、アフターマーケット品では、ただ取り付けるだけのものも多い。また、むやみに穴を開けるよりも大型のラジエーターを装着する方が効果的だ。
フリップペイント
1990年代、塗装技術の進歩により、フリップペイント(偏光性塗料)が簡単かつ手頃な価格で行えるようになった。ツートンカラーなどとは異なり、偏光効果を利用して、角度によって色が変わって見えるものだ。
TVRはいち早く市販車にこの技術を採用し、MGなども後に続いた。フリップペイントで再塗装された改造車も多く見られたが、カスタムの手法が増えたこともあり、知らぬ間に衰退していった。
ビーズのシートカバー
世界中のタクシードライバーから愛されているビーズ織りのシートカバーは、1960年代のアジアの暑い地域で生まれた。シートと身体の間に風を通しながら、しっかり身体を支えることができる。一部では、ビーズ織りのシートカバーには治癒効果があるという主張もあるが、科学的に証明されているわけではない。
ヘッドレストの根元に紐を巻き付けるだけで簡単に固定でき、アクセサリーとしては非常に長く使われ続けている定番のアイテムだ。もちろん今でも購入でき、クリームやブラウンのカラーが一般的だ。
ふわふわのサイコロ
さまざまな流行の中でも、ふわふわのサイコロほど「機能よりファッション」を重視しているものはない。人生をあまり深刻に考えていないことを他車に伝えるための手っ取り早いアイテムであり、ネタ的なプレゼントとしても根強い人気がある。また、1950年代や60年代のクラシックカーでもよく見かける。
このサイコロの起源は、第二次世界大戦で戦闘機パイロットにさかのぼる。幸運のお守りとして、小さなおもちゃを持ち歩いていたのだ。その後、米国のテキサス・インスツルメンツ社のマーク・シェパード・ジュニア氏が、同僚をからかうためにジョークとしてふわふわのサイコロを贈った。
これががきっかけで、大きな評判を呼び、やがてクルマのバックミラーに飾られるようになった。バックミラーに引っ掛けたり、吸盤で窓に貼り付けたりするのが一般的で、ハンギングダイスとも呼ばれている。
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