■「DN COMPAGNO(ディーエヌ コンパーノ)」衝撃の結末とは
「東京モーターショー2017」のダイハツ工業ブースには、往年の名車「ダイハツ コンパーノ」の名を冠したコンセプトカー「DN COMPAGNO(ディーエヌ コンパーノ)」が出品され、大きな反響が巻き起こりました。
【画像】超カッコイイ! ダイハツの「4ドア”クーペ”」を画像で見る(52枚)
まずは、原点を簡単に紹介しましょう。
1960年代に活躍したコンパクトカー「コンパーノ」は、ダイハツ工業が四輪車市場に参入すべく、送り出した初のモデルでした。
意外にも1963年4月に投入された第一弾モデルは、商用バンである「コンパーノ ライトバン」で、これは当時の4輪車のニーズがビジネス中心だったことを反映したものでした。
さらに同年6月に、初の乗用車となるステーションワゴン「コンパーノワゴン」と、同年11月に2ドアセダン「コンパーノ ベルリーナ」を追加。
その後もボディバリエーションが拡大され、オープンカーの「コンパーノ スパイダー」、ピックアップトラック「コンパーノ トラック」、「コンパーノ ベルリーナ」の4ドア仕様などが追加され、多彩なラインアップを誇りました。
そして、基本デザインをイタリアのカロッツェリア「ヴィニャーレ」に依頼した洒落たデザインも売りだったのです。
それから半世紀が経過した東京モーターショー2017では、ダイハツ工業が2017年3月に創立110周年を迎えたことを機に刷新したグループスローガン「Light you up ~らしく、ともに、軽やかに~」を出展テーマとしました。
出展されたコンセプトカーは、少子高齢化や働き方の多様化など身近に様々な社会課題・環境変化がある中、顧客に最も近いブランドを目指すダイハツならではの視点から「軽やかに輝いた暮らし」を提案。
具体的には、軽自動車を核にコンパクトカーまで展開してきた、ダイハツの良品廉価なモノづくりの技術・アイデアを発展進化させ、未来のラインナップを想起させる軽自動車の2台とコンパクトカーの3台を展示しました。
全てのコンセプトカーには、「DN」の名が添えられていましたが、これはDAIHATSU NEWNESSの略で、新しいダイハツをアピールするものでした。
そのコンセプトカーのひとつであるDN COMPAGNOは、シニアユーザーをターゲットに、スタイリッシュに使える4ドアクーペを提案したもの。
一人や二人でのフロントシート中心とした使い勝手を重視しながらも、いざという時には、家族を乗せたり、普段の買い物での荷物を載せたりする活用を想定したといいます。
内外装デザインは、元祖コンパーノのイメージを踏襲しており、外観上では、大型のフロントグリルやテールフィンなどの特徴が受け継がれています。
またインテリアでは、オリジナルの航空機のコクピット感を残しつつ、先進さも追求されています。
もちろん各部には現代的なアレンジが加えられており、例えばルーフラインは、当時のセダン的なボクシーなスタイルではなく、4ドアクーペらしい傾斜が強く、後方へと絞り込まれたルーフラインとなっています。
内装では、アナログ風味のデジタルメーターやインフォメーションシステムが与えられています。また前席足元空間を広げるために、インパネシフトを採用していました。
特徴的なオレンジのボディカラーは、ブースで飾られた1964年式のコンパーノ ベルリーナのオマージュであり、現代的な色味にアレンジしたものを採用しています。
ちなみにオレンジのボディカラーはカタログモデルにはなく、当時ダイハツでデザイナーとして活躍していた元オーナーの特注色だったそう。現在も現ダイハツ工業の社員である息子さんが譲り受けて、大切に愛用されています。
人生の中でクルマに憧れ、親しんできたシニア世代にとって、クルマのカッコよさは重要なポイント。そして彼らは取り回しの良さを重視して、愛車のダウンサイズを図っています。
カッコ良くて扱いやすいクルマであるDN COMPAGNOは、シニアの夢が詰まった一台であるだけでなく、近年のレトロブームもあり、幅広い世代から注目され、市販化を望む声も多く聞かれました。
かなり凝ったデザインでしたが、当時、公表されたスペックは、ボディサイズが、全長×全幅×全高=4200mm×1695mm×1430mmであることと、パワーユニットに1リッターターボエンジンと1.2リッターハイブリッドが想定されていることだけでした。
自動車メディアを中心に大きく取り上げられたDN COMPAGNOでしたが、現在まで市販化の動きはありません。
さらに残念なことに、コンセプトカー「DN COMPAGNO」は、保管場所の都合により廃棄されてしまったようです。
まさに幻となったニューコンパーノ。しかし、小さく軽いクルマが環境面で有利なのは間違いなく、いつの日か最新のダイハツ技術を用いたお洒落4ドアクーペとして、復活してくれることを期待せずにはいられないのは、決して筆者だけではないでしょう。
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