バケットシート標準装備のフルサイズ
1960年代のアメリカ車は、1ブランド1車型というパターンが崩れつつあり、同じディビジョンにコンパクトやインターミディエイトなど、フルサイズよりも小さなクラスのモデルが加わってきたが、クライスラー、あるいはリンカーンやキャデラックのような上級ブランドは、それも例外であった。
”宝物”に相応しい本気の工作が炸裂!アオシマ製プラモ「LBワークス・ケンメリ2Dr.」後編【モデルカーズ】
【画像10枚】迫力満点の仕上がりを見せる1966年型クライスラー300を堪能する!
クライスラーの1966年型のラインナップは、下からニューポート、300、ニューヨーカーの3モデルだが、いずれも(ほぼ)同一のフルサイズのボディを使用したもの。1950年代終盤からのクライスラーはホイールベースの短いモデルも加え、1963年型ではダウンサイジングも行っているが、この1966年型ではホイールベース124インチ(3150mm)で全車統一されている。ただし、ワゴンのみは121インチ(3073mm)であった。
クライスラー300と言えば思い起されるのは、有名なレターカー・シリーズであろう。1955年型で登場したハイパフォーマンスモデル、C-300を発端に、その後、毎年モデル名の末尾にB、C、D……とアルファベットを付していったモデルで、そのネーミングは当初のエンジンが出力300hpであったことに由来する。このレターカーは1965年型で消滅するが、その少し前の1962年型で、それまでのウィンザーに代わる中間グレードとして登場したのが、ノン・レターの300である。
つまり、レターカーよりアンダーパワーな廉価版のスポーティ・バージョンである。登場時の300(1962年型)では300Hの380hpに対し305hp、この1966年型では同じ383-cid(6.3L)のV8エンジンを搭載するが最高出力は325hp。外観の面でも300はすこしだけ特別扱いとなっており、300F以来継承されてきた十字型フロントグリルが特徴であるだけでなく、リア周りもテールレンズが側面に回り込んだ専用のデザインとなっていた。これにより、300は同年型クライスラーの中で最も全長が長い。ボディ形式は4ドアと2ドアのハードトップ、4ドアのセダン、それに2ドア・コンバーチブルがあった。
キット箱の実車写真に魅了されバイナルトップにアレンジ
さて、クライスラー300の1966年型は当時ジョーハンが1/25スケールでプラモデル化しており、これはその後再販もされておらず、非常にレアなモデルとなっている。ボディラインは正確無比、デフォルメはない。エンブレムやモールなどディテールは非常にシャープで、むしろ最近のキットよりもリアルな印象さえある。
制作したキットのプラスチック素材はさすがに40年経っているだけあって、全体に硬く、柔軟性が低くなっているようだ。なんと塗装後の磨きの工程でエンジンフードが割れるというアクシデントに見舞われ、修復、再塗装となってしまった。筋彫りの彫り直しやドリルでの孔開けでも周囲が欠けることがあるので、古いキットの取り扱いには充分な注意が必要である。
作例は基本的に素組みで仕上げた。ただし足周りの微調整は必須で、前輪シャフトもエンジンを貫通しないように改修してある。車高とトレッドはストックとして最も自然な位置関係を心掛けた。エンジン自体はキットのパーツを使用したが、シャフトの逃げとなる部分を埋めるため、熱して溶かしたランナーを押し込んで成形。これは初めて試みたが、乾燥時間というものがないので、パテを使うよりもとてもスピーディである。
ボディカラーは当時のデュポンの純正カラーガイドにある、「NAVY BLUE」(カラーコードE)という、濃いメタリックブルー。アクセルSのブルーを基調に、クレオスのC8シルバーを加えながら、純正色のカラーチップより若干明るめに調合。これにグリーンを加え、ブラックで微調整した。このカラーは、キットのパッケージに掲載されている実車写真の色でもある。この車両が実にいい雰囲気なので、バイナルトップもそのまま再現した。
ルーフのアイボリーはホワイトに微量のイエローとレッドを加え、ほんの1、2滴のブラックで鮮やかさを消した。仕上げには半つや消しのクリアーを軽く上塗り。注意したいのはAピラーの塗り分けで、バイナルトップの場合、Aピラーは基本ボディ色。そしてルーフトップとの境に、短いメッキモールが追加される。キットはノーマルルーフなので、エバーグリーンのプラ材でモールを追加した。ちなみにツートンの場合は色の境目はピラー付け根になり、上の短いモールは付かない。
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