フォーミュラE第11戦ニューヨークシティePrixの決勝は、ニック・キャシディ(エンヴィジョン・レーシング)が優勝。波乱のレースを制して、嬉しいフォーミュラE初優勝を挙げた。
ダブルヘッダーの1戦目にあたる第11戦。予選ではキャシディがポールポジション。フロントロウには、ランキング3番手につけるストフェル・バンドーン(メルセデス)が並んだ。
■キャシディ、今季初ポールポジション! 0.008秒差でバンドーン下す|フォーミュラE第11戦ニューヨーク
予選では降雨もあったものの、決勝レースはドライコンディションでスタート。予選でのクラッシュで欠場となったセルジオ・セッテ・カマラ(ドラゴン・ペンスキー)を除く21台でのレースとなった。
なお今回、一時的にパワーアップできるアタックモードは4分✕2回の使用が義務付けられており、起動ゾーンはヘアピンのターン10アウト側に設けられた。
45分プラス1周のレースがスタートすると、キャシディが好スタート。バンドーンは蹴り出し悪く4番手に後退。2番手にルーカス・ディ・グラッシ(ベンチュリ)、3番手にセバスチャン・ブエミ(日産)が続いた。
アタックモードの使用が可能になると、中団勢を中心に早めにアタックモードを起動。これに対応するために上位のマシンもアタックモードを起動していった。
キャシディはレース開始から9分頃にアタックモードを起動。一方のディ・グラッシはタイミングをズラして翌周にアタックモードに入り、2番手をキープすることができた。アタックモードのタイミングをズラすことで、パワーの差を利用して前に出る作戦だ。
だがキャシディはディ・グラッシに対して少しギャップを築くと、アタックモードを残すディ・グラッシの攻撃を抑え、首位をキープした。
上位陣は差が開かず数珠つなぎの状態。そんな中で誰が2度目のアタックモードを使うのか、にらみ合いの展開だ。
キャシディは少しディ・グラッシとの差を開くと、レース折り返しの23分頃に2度目のアタックモードへ。これでひとつポジションを落としたが、ディ・グラッシが翌周、バンドーンがさらに翌周にアタックモードを起動したことでキャシディが首位に戻った。
今回も一足先にアタックモードを終えたキャシディだが、ディ・グラッシにはチャンスを与えず。すると、今度はバンドーンがアタックモードを終えたディ・グラッシに襲いかかった。ファンブーストを使ってうまくインを突いたバンドーンは、ディ・グラッシを交わして2番手を取り戻すことに成功した。
これでトップ3は手札を使い切り、あとはコース上でのバトルに。だがこの頃になると、各車のオンボードカメラに雨粒が付き始める。そんな中で、ディ・グラッシが隙をついてバンドーンのインに飛び込むと、バンドーンはうまく加速できずに4番手に後退。ロビン・フラインス(エンヴィジョン・レーシング)が3番手に浮上した。
残り時間10分を切ると一気に雨脚が強まり、フルコースイエローが出された。その直前、キャシディを含む多くのマシンがストレートエンドのターン6でアクアプレーニングを起こし、全く止まり切れずに相次いでコースオフ。赤旗が掲示され、残り時間7分30秒でレース中断となった。
キャシディ、ディ・グラッシ、バンドーン、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)、ブエミはクラッシュによりピットにマシンを戻すことができなかったが、そのままレースは再開されることなく終了。このため、赤旗掲示の直前のコントロールライン通過順位が最終リザルトとなった。
これにより、完璧な走りを見せながらもクラッシュを喫し、落胆していたキャシディが一転優勝に。2位ディ・グラッシ、3位フラインスまでが表彰台を獲得した。
4位バンドーンの後ろには、他車より遅いタイミングで2度目のアタックモードを使い、追い上げたポイントリーダーのエドアルド・モルタラ(ベンチュリ)が入った。
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