自動運転や電動化といった100年に1度の変革期と言われている自動車業界。自動車では、低燃費、ハイブリッド車が登場して今や当たり前となっているが、鉄道でも同じことが言える。
電化区間では、省電力の車両へ置き換えが進み、非電化区間ではハイブリッド気動車などが多く登場するようになってきた。今回は、自動車が変革する現在、鉄道はどう変わっているのかをお伝えする。
自前で高い技術を持つことが日本の弱点に? 9年後の2030年、EVはどう進化しているのか
文/成田颯一、写真/成田颯一、TOYOTA
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■充電して走る電車ACCUM
2014年から先行量産型が運用を開始しているACCUM(アキュム)。英語の『Accumulator(蓄電池)』から命名された
烏山線は、東北本線宇都宮駅から2駅北の宝積寺駅と、那須烏山市の烏山駅を結ぶ約20kmの路線だ。ここでは、EV-E300形、ACCUM(アキュム)という車両が走っている。
ACCUMは2両編成で、それぞれに5台のリチウムイオン蓄電池を床下に搭載している。烏山駅と宝積寺駅にある専用設備で、停車中に蓄電池へ急速充電。架線の無い非電化区間では、充電した蓄電池を電源として走行する。
もともと、烏山線には国鉄時代に製造された車両が走っていたが、2014年から置き換えが進み、日本で最初の蓄電池車両の実用例となった。
蓄電池を搭載する車両は、特殊な設計でコストがかかるほか、電池の消耗などの課題があり、長距離、長時間の運転は難しい。他にも秋田県を走る男鹿線でこの方式が採用されている。
■今後は架線のない路線がどんどん増えていく
JR東日本の観光列車、HB-E300ハイブリッド気動車
今や日本中に張り巡らされている鉄道網だが、地方路線において苦しい経営状況の実態がある。
そんな中、JR東日本の2021年3月期の決算説明会資料では、経営体質を抜本的に強化する具体策について、「電車をハイブリッド車等に置き換え、架線や変電設備等を撤去」、「単線化等により、線路や信号設備等を撤去」など、かなり踏み込んだ内容が書かれている。
鉄道は、車両、設備の保守点検にかかる時間、人員、コストの問題があり、電化路線は特にコストが高い。近年では自然災害による損壊リスクもある。一部の路線の架線を撤去することで、負担を少しでも減らそうという方針だ。そして、このような中で最近増えてきたのが、電気式気動車だ。
鉄道は動力方式によって、電気で電動機(モーター)を動かして走行する電車と、エンジンなど内燃機関を動力源として走行する気動車に分類される。前者はモーターを回すための電気の供給が必要で、後者では、エンジンを動かすための燃料が必要だ。
電気式気動車は、ディーゼルエンジンで発電しモーターをまわして走行する。今までの気動車と電車の性質の合体技だ。電車で培った技術を活用し、モーターを効率よく動かすことができる。
また、電車と共通する部分も多く、メンテナンスがしやすいというメリットがある。部品や素材の軽量化が進んだことも電気式気動車登場の1つの背景だ。
■今度は水素で動く鉄道が登場!?
JR東日本が製造するFV-E991系。水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載する試験車両だ
2019年6月、JR東日本は、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両、FV-E991系を製作し、2021年度から実証試験を行うことを発表している。水素と鉄道のイメージは一般的になかったこともあり話題となった。
実施する区間は、神奈川県の工業地帯を走る鶴見線、南武線尻手支線などで、沿線には昭和電工や東芝といった工場が多く立地している。JRとしては、水素を燃料とすることにより、将来にわたり安定的にエネルギーを確保することや、エネルギーの多様化の実現、CO2 排出量の削減などのメリットがある。
また、トヨタとの鉄道車両への燃料電池技術の導入に向けての協力も行うという。トヨタは、2021年のスーパー耐久シリーズへ、水素エンジンを積んだカローラで参戦しており、そこでのデータや経験も活用されるのではないだろか。
日本で鉄道が開業されたのは明治時代。鉄道が水素で動く未来を誰が予想していただろか。10年後、20年後には、我々が考えもしなかったような全く新しい鉄道が走っているのかもしれない。
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みんなのコメント
それにディーゼルカーよりランコストが安いなら、3セクにも普及しそうだし。