米フォード・モーターは4月23日、レーシング部門「フォード・パフォーマンス」がワンオフ製作したEVドラッグレーサー「マスタング・コブラジェット1400」を公開した。
1/4マイル(約402メートル)の直線をどれだけ短時間で駆け抜けられるかを競う、米国で盛んなモータースポーツ競技ドラッグレース。最高峰のマシンはエタノールなどからなる特殊燃料を使い、ロケットのような加速を見せるが、今回フォードはメーカーとして初めてフルEVのドラッグレース用マシンをマスタングベースで製作した。
ネーミングにあるコブラジェットとは、60年代にレースシーンに登場し、現在でもアマチュアレーサーに人気が高いマスタングのドラッグレース用グレード。今回のコブラジェット1400もオリジナルにオマージュを捧げる仕様となっている。そのスペックは1400の数字が表すとおり最高出力1,400hp、最大トルク1,491Nmと市販マスタングからはかけ離れた値で、発進時から最大トルクが立ち上がるEVの特性も相まって、1/4マイルは8秒を下回り、最高時速は274km/hに達するとのこと。EVと聞くとエコ性能に注目しがちだが、ドラッグレースマシンの心臓としても驚くほどの適性を示している。
昨年、マスタングファミリーに初となるフルEVの「マッハE」が加わり、マスタングと電動パワートレーンの組み合わせは徐々に浸透してきている。また、コブラジェット1400の製作に携わったエンジニア達は、マスタングのヘリテージと先進のレーシングテクノロジーを融合させることは非常にやりがいのある仕事だったと述べ、EVコンポーネントをレースカーにどう落とし込むか貴重なノウハウを獲得したようだ。
実車のデビューは本年後半のレーシングイベントが予定されており、そこで実際にアスファルト上を駆け抜ける姿も見ることができそう。ほぼ無音で驚異的な加速を示すマスタング・コブラジェット1400の活躍する姿を見られる日が今から楽しみだ。
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