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池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第3回:トヨタ 2000GTは特別な存在なんだ」

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池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第3回:トヨタ 2000GTは特別な存在なんだ」

ロータス・ヨーロッパ以前に乗っていた2000GT

今回も、第2回に引き続き『サーキットの狼』の作者であり、日本におけるスーパーカー文化の生みの親である池沢さとし(早人師)先生にお話しを伺い、名作『サーキットの狼』を描くきっかけとなったクルマについてお訊きした。

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既に『サーキットの狼』の代名詞とも呼べるロータス・ヨーロッパが池沢先生の愛車であったことは述べたが、ロータス・ヨーロッパに巡り合う前、池沢先生が一目惚れして乗っていたクルマはトヨタ2000GTだった。当時の2000GTとはどんなクルマだったのか?

トヨタ2000GTにはライバルを乗せたかった

今まで数多くのスーパーカーを所有してきたけど、思い出に色濃く残っているのがトヨタ2000GTだね。漫画家としてデビューし、少し余裕が出てきた1972年頃に手に入れたんだけど、ボクが欲しいと思った時にはすでに生産が終わっていて、知り合いに程度の良い中古車を探してもらった。

『サーキットの狼』の連載が始まる3年も前のことだから当時はクルマに詳しくなくてね。それでも美しいスタイリングのジャガーEタイプはなぜか知っていて憧れの存在だった。そしてEタイプと同じようにロングノーズ・ショートデッキに仕上がった2000GTを街中で見かけとき、その美しいボディデザインに衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えている。

最初は国産車だとは思わず、トヨタのクルマと聞いて本当に驚いた。初めて買ったトヨタ・コロナと同じメーカーのクルマだとは思えないでしょ(笑)。

ボクが手に入れた2000GTは後期型。当時の新車価格が230万円くらいだったけど、手に入れたクルマは250万円だったかな。すでにプレミアム価格が付いていたってことだよね。今の貨幣価値に換算すれば2000万円位かなあ。

前々回にも話したけど、そんな高級車を畑の中に雨ざらしで駐めていたんだから、今から考えたら有り得ない(笑)。そうそう、この2000GTはオプションでエアコンが付いていたレアなモデルだったんだけど、運転席と助手席の間、トランクの上にあってものすごくデカイものだった。でも全く効かない(笑)。

運転は他のスーパーカーに比べてクセが少なくて乗りやすかったね。ハンドリングもシャープでキビキビとした楽しさが味わえるし、エンジンもシャープに吹き上がる。乗り心地はスーパーカーというよりはグランドツーリングというイメージで、ラグジュアリーな余裕を感じさせてくれた。正直、今でも通用する性能を持った素晴らしいクルマだったね。

今でこそNSXやGT-Rがスーパースポーツとして販売されているけど、1960年代後半に生まれたトヨタ2000GTは特別な存在だったと思う。大卒の初任給が3万円に満たない時代に238万円の新車価格ってスゴイことだよね。世界のスーパーカーに対抗する「日本の意地」というか、チャレンジ精神に溢れていたことは間違いない。

だから、『サーキットの狼』の作中にも絶対に登場させたかった。それも純粋な日本人ではなく、隼人ピーターソンという個性的なキャラクターを乗せることで、日本が誇るスーパースポーツの2000GTをより際立たせることができたと思う。

TOYOTA 2000GT

トヨタ 2000GT

GENROQ Web解説:トヨタ 2000GTとは?

日本を代表するスーパースポーツと言えば「トヨタ 2000GT」の名を上げるエンスージアストは少なくないはずだ。映画『007シリーズ』にもボンドカーとして登場し、その美しいフォルムと精緻な直列6気筒DOHCエンジンは今もなお世界中の自動車ファンを魅了する。

その生い立ちは複雑で、トヨタの冠を持ちながらも製作したのがヤマハ発動機だということはあまり知られていない。当時、独自にスポーツカーの開発を試み試作車を製作するまでに至っていたヤマハだが、経営難の影響を受け市販を断念。

四輪車開発の熱意を受け止めた当時の社長である川上源一は、銀行を介して日産自動車との提携を実現するものの、日産側の事情により志半ばでこれまた頓挫。その後、スポーツカーの開発を必要と考えていたトヨタとのニーズが合致し、新たなスポーツカーの開発をすることで両社が協力することになり、1965年から本格的にトヨタ2000GTの開発プロジェクトがスタートした。

X型のバックボーンフレームが与えられ、トヨタ製のM型エンジンをベースにヤマハ製のDOHCヘッドを組み合わせた直列6気筒エンジンを搭載するトヨタ2000GTは、当時としては破格ともいえる238万円(現在の価格で1500~2000万円)で販売され、一般庶民には手の届かない高値の花であった。

販売時期は1967年から1970年と短いものの、発売から2年後の1969年にはマイナーチェンジが施され、大きく分けて前期・後期の2タイプに分別される。簡単な見分け方はフロントフォグランプの大きさで、後期モデルはスリムになっている。生産台数は東京モーターショーに展示された試作車を含めて337台となり、極めて希少なクルマとして現在も大きな付加価値が付けられている。

ちなみにエンジンは直列6気筒DOHCを採用して150psの最高出力と18.0kgmの最大トルクを発生、トランスミッションは5速MTの他に3速ATも用意されていた。足まわりには4輪共にダブルウィッシュボーンが採用され、ボディディメンションは全長4175×全幅1600×全高1160mmとなり、5ナンバー枠に収まるコンパクトさも同車の大きな魅力となる。

TEXT/並木政孝(Masataka NAMIKI)

PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)

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