現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 打倒王者アルファードへ! 名門オデッセイ&エルグランド復活のシナリオ

ここから本文です

打倒王者アルファードへ! 名門オデッセイ&エルグランド復活のシナリオ

掲載 10
打倒王者アルファードへ! 名門オデッセイ&エルグランド復活のシナリオ

 名門復活なるか。大型ミニバンの名門、ホンダ オデッセイと日産 エルグランドが改良。王者アルファードへ起死回生のシナリオあるか。

 今のLサイズミニバンの売れ行きは、アルファードの1人勝ちだ。2020年4月以降は、小型/普通車の登録台数ランキングでも順位を大きく上昇させた。

エルグランド新型、ヴォクシー特別仕様車&新型ルーテシア襲来!! ほか最新情報

 売れ筋価格帯が390万~550万円に達する高価格車なのに、フィットやライズといったコンパクトな車種に混じって絶好調に売れている。

 2020年の9月と10月は、1か月当たりの登録台数が1万台を超えた。9月は昨年の1.6倍、10月は約2倍の登録台数になった。

 現行アルファードの登場は2015年1月だから、5年半以上を経過した2020年10月に、対前年比が2倍に増えることは通常では考えにくい。

 アルファードが好調に売れる一方で、販売不振に悩むのがオデッセイとエルグランドだ。コロナ禍の影響が生じる前の2019年1~12月でも、オデッセイの登録台数は1か月平均で1218台、エルグランドは561台と少なかった。

 発売時期は、エルグランドは2010年と古いが、オデッセイは2013年だからアルファードの2015年に近い。オデッセイの売れ行きがアルファードの12%、エルグランドは6%では極端に少ない。

 そこでオデッセイとエルグランドを復活させるシナリオを考えたい。

文/渡辺陽一郎、写真/トヨタ、ホンダ、日産

【画像ギャラリー】こ、こんな顔になったの?? 超ドヤ顔に生まれ変わったホンダ 新オデッセイ

アルファードと異なる価値観で勝負したオデッセイ

 まずオデッセイとエルグランドがアルファードに勝てない理由は、「立派で豪華で広くて快適」というLサイズミニバンに求められる要素で負けているからだ。

 オデッセイはアルファード&ヴェルファイアとは異なる価値観で対抗するため、低床プラットフォームを採用。

オデッセイは、内外装の豪華さではアルファードに大差をつけられていた。そこで2020年11月にマイナーチェンジされ、フロントマスクの変更、内装の質感向上が行われた

 床を低く抑えて充分な室内高を確保しながら、天井の位置も下げて、低重心化により走行安定性を向上させた。従って走りはアルファードよりも優れている。

 低床化で3列目シートの床と座面の間隔も適度に確保され、アルファードのような足を前方へ投げ出す座り方にならない。床が低いから乗降性も良く、多人数乗車時の快適性と使い勝手はオデッセイの方が優秀だ。

 しかし、販売面では、内外装の立派さや豪華さ、情緒的な周囲を見降ろす感覚でアルファード&ヴェルファイアに大差を付けられた。

ステップ高が約300mmと低底プラットフォームを採用している。(オデッセイ スライドドア開口寸法)

 そこで2020年11月、オデッセイはマイナーチェンジを実施して、フロントマスクを刷新させた。ワイド感を強調したフロントグリルの採用により、外観の印象はかなり変化した。売れ行きが以前に比べて20~40%増える可能性はある。

改良アダに!? 初代は今の7倍売れたエルグランド

 近年のLサイズミニバンで悩ましいのは、売れ行きを好調に保つには、背の高いボディに厚みのある派手なフロントマスクを組み合わせる必要があることだ。

日産初代エルグランドは、プレミアムミニバンのパイオニアとして1997年に発売開始された

 発端は1997年に発売された初代エルグランドだった。存在感の強いフロントマスク、1900mmを超える全高による立派なボディ、後輪駆動による高い床と周囲を見降ろす乗車感覚、豪華な内装などによってヒット作になり、1999年に月平均で約4300台を登録した。

 現在のエルグランドに比べて7~8倍の売れ行きを誇った。つまり初代エルグランドも、現在のアルファードも、ミニバンが好調に売れる条件は同じだ。

 さらにいえばミドルサイズのセレナも、背が高くフロントマスクに存在感があり、視線は高い。そこにハイブリッドのe-POWERを加えた効果もあって堅調に売れている。

2020年10月に現行型エルグランドはマイナーチェンジを行った。フロントデザインが一新され、厳つい印象になった

 それなのにエルグランドは、現行型になって前輪駆動が採用され、全高を1900mm以下に抑えた。

 さらに3列目の床と座面の間隔も不足して、膝の持ち上がった窮屈な座り方になりやすい。荷室の床が高く、背の高い荷物を積みにくい欠点もある。

 その結果、売れ行きを下降させた。エルグランドが今後原点回帰のフルモデルチェンジを実施して、これらの欠点を解消させれば、現在よりも売れ行きを伸ばす余地が生まれる。

 オデッセイにも同様のことが当てはまる。先ごろのマイナーチェンジでフロントマスクの魅力は増した。次期型では外観をさらに立派に見せて車内にも開放感を与え、安全装備を充実させれば、登録台数は増えるだろう。

アルファードには「王道」で勝てない難しさ

アルファードは、2020年9月には販売台数10,436台(4位)、10月には10,093台(5位)と好調に売れている

 ただし、それだけでアルファードに販売面で対抗できるか、という話になると難しい。Lサイズミニバンで好調に売れる価値観は、前述の「立派で豪華で広くて快適」に集約される。

 ほかの価値観を入り込ませる余地がないと、売れ筋路線を突き詰めた車種、つまりアルファードが今後も販売面の絶対王者として君臨するからだ。

 最も分かりやすいのは背の高い軽自動車で、売れ筋のN-BOX、スペーシア、タントの価値観はすべて共通だ。この3車種にエアロパーツを装着したカスタムでは、内外装や主な機能は3車でほぼ共通化されている。

共通の価値観を持つN-BOX、スペーシア、タントの販売台数は、各車10,000台以上売れている(N-BOX:16,052台(1位)、タント:13,099台(2位)、スペーシア12,245台(3位))

 そうなると突き詰めたクルマ造りを行うN-BOXが好調に売れる絶対王者になり、ライバル車は販売台数で上まわれない。

 販売店の力の入れ方もある。ホンダや日産は10年以上も前に系列を撤廃したから、トヨタ以上に車種間の販売格差が拡大した。

 その結果、N-BOX+N-WGN+フィット+フリードの販売台数を合計すると、国内で売られるホンダ車の約70%に達する。日産もデイズ+ルークス+ノート+セレナを合計すると、国内で売られる日産車の66%になる。

アルファードも安泰ではない!? 鍵は“売りやすい車種”依存からの脱却

 今のホンダと日産では、一部の軽自動車とコンパクトな車種だけで国内販売が成立しているから、仮にオデッセイやエルグランドが優れた商品に生まれ変わっても、好調に売るのは難しい。

 単純な販売力ではなく「売りやすいフリードよりも、売りにくい(しかし1台当たりの粗利は多い)オデッセイを確実に販売する」という戦略を立てないと、台数を伸ばすのは難しい。

 その点で系列化が厳格だった時代は、例えばホンダのベルノ店では、軽自動車を販売できなかった。専売車種のインテグラやプレリュードに力を入れ、スポーティカーのカテゴリーに強固な市場を築いた。1台当たりの粗利も高く保たれた。

オデッセイ、エルグランドを好調に売るには販売戦略を変えていくことが重要だという。販売好調なアルファードも将来的に販売台数をキープできるのかはわからない

 つまりオデッセイやエルグランドを好調に売るには、少数の販売しやすい車種だけに依存する今の体質まで変えなければならない。全店が全車を扱う今、これは難しい課題だ。

 そうなるとアルファードの高人気も、将来的には分からない。トヨタが全店/全車扱いに移行した以上、売れ筋が販売しやすい車種へ次第に偏っていく。

 既にクラウンの売れ行きは大幅に下がり、今は先代型のモデル末期と同等の販売状況だ。

 オデッセイやエルグランドに「立派で豪華で広くて快適」という要素が必要なのは確かだが、販売戦略が伴わないとアルファードに対抗するのは困難で、この点が最も大切な課題かも知れない。

【画像ギャラリー】11月にマイナーチェンジしたばかりのホンダ オデッセイをみる

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
motorsport.com 日本版
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
くるまのニュース
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
バイクのニュース
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
AUTOSPORT web
トヨタ陣営の23XIとフォードのRFKが、来季2025年NASCARカップシリーズにて3台体制に拡充
トヨタ陣営の23XIとフォードのRFKが、来季2025年NASCARカップシリーズにて3台体制に拡充
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP1:序盤から上位につけたメルセデスがワン・ツー。ノリス、ルクレール、フェルスタッペンが続く
F1ラスベガスGP FP1:序盤から上位につけたメルセデスがワン・ツー。ノリス、ルクレール、フェルスタッペンが続く
AUTOSPORT web
ラッセル、サインツ抑えポールポジション! ガスリー驚異の3番手、角田裕毅もQ3進出7番手|F1ラスベガス予選
ラッセル、サインツ抑えポールポジション! ガスリー驚異の3番手、角田裕毅もQ3進出7番手|F1ラスベガス予選
motorsport.com 日本版
新潟~青森直結 壮大な「日本海東北道」全通まであと少し!? 約320kmの「すごい高速」最後の未開通部どこまで工事進んだ?
新潟~青森直結 壮大な「日本海東北道」全通まであと少し!? 約320kmの「すごい高速」最後の未開通部どこまで工事進んだ?
くるまのニュース
F1ラスベガスGP予選速報|ラッセルPP獲得! ガスリーが驚きの3番手。角田裕毅も7番手と好結果
F1ラスベガスGP予選速報|ラッセルPP獲得! ガスリーが驚きの3番手。角田裕毅も7番手と好結果
motorsport.com 日本版
ヒョンデ、旗艦EVの『アイオニック5』を刷新。次世代800V電源システムで航続距離は703kmに延伸
ヒョンデ、旗艦EVの『アイオニック5』を刷新。次世代800V電源システムで航続距離は703kmに延伸
AUTOSPORT web
名神ICに直結! 「彦根お城トンネル」が12月開通 高速道路から市中心部へ一気にワープ
名神ICに直結! 「彦根お城トンネル」が12月開通 高速道路から市中心部へ一気にワープ
乗りものニュース
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」に大反響! 「V6ワゴン」から進化の“最上級クーペSUV”に「カッコイイ」「モダンな見た目」の声も! 13年ぶりの「アヴァンシア」がスゴイ!
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」に大反響! 「V6ワゴン」から進化の“最上級クーペSUV”に「カッコイイ」「モダンな見た目」の声も! 13年ぶりの「アヴァンシア」がスゴイ!
くるまのニュース
ロバート・クビサ、2025年も3台目のフェラーリ499Pをドライブへ。AFコルセ残留が決定
ロバート・クビサ、2025年も3台目のフェラーリ499Pをドライブへ。AFコルセ残留が決定
AUTOSPORT web
アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
AUTOCAR JAPAN
ル・マン優勝のポルシェ「917K」がなんと550万円!? ホンダエンジンを搭載した子供向けジュニアカーの大きさは実車の7割…おもちゃにしては高すぎる!?
ル・マン優勝のポルシェ「917K」がなんと550万円!? ホンダエンジンを搭載した子供向けジュニアカーの大きさは実車の7割…おもちゃにしては高すぎる!?
Auto Messe Web
ライバルかつ僚友のトヨタWRC育成ふたりがラリージャパン初参戦。お互い「負けたくない」と意識
ライバルかつ僚友のトヨタWRC育成ふたりがラリージャパン初参戦。お互い「負けたくない」と意識
AUTOSPORT web
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
レスポンス
【画像リーク!】来年デビュー予定の新型「BMW iX3」のリーク画像を入手!コンセプトモデルのほぼそのまま量産される
【画像リーク!】来年デビュー予定の新型「BMW iX3」のリーク画像を入手!コンセプトモデルのほぼそのまま量産される
AutoBild Japan

みんなのコメント

10件
  • そのデザインでは倒せない。
  •  オデッセイってそもそも打倒アルファードなのですかね? 評論家諸氏が勝手に対抗馬にしているだけで。隣に並ぶと大きさ全然違う。
     エルグランドに於いては、やる気のない日産様が見た目変更で勝てるわけがない。
    次期型があるなら期待したい。
    それこそ、やっちゃえ‼️日産です。
     
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村