この記事をまとめると
■+40mmの全幅拡大で3ナンバー化した日産ノートオーラに公道試乗
単なるスマッシュヒットじゃない! 売れ行き絶好調の「オーラ」が「日産復活」の鍵を握るワケ
■高速もコーナリングもどっしりと安定してフラットに走り操る楽しみもある
■見た目も走りも、日本にはなかなか存在していなかったプレミアムコンパクトを達成
ベースのノートに対してあらゆる部分に特別感のある仕立て
日産のコンパクトカー・ノートの上級バージョンであるノートオーラを、いよいよ公道で試す機会に恵まれた。一見するとベースモデルとの違いが極端には感じられないが、よくよく見てみれば3ナンバー化したことや灯火類がLED化されたことで上質な仕立てとなったことが理解できる。
ベースモデルに対して40mmも拡大された全幅1735mmをさりげなく実現していることがまずは注目ポイントだろう。ボンネット、ルーフ、テールゲート、フロントドアはベースモデルと同様だが、それ以外は専用部品となっている。すなわち、前後バンパー、フロントフェンダー、リヤドアがそっくり変更されているからこそ、自然なラインを描いており、だからこそジワジワと違いが伝わる自然なボディラインが描けているということなのだ。
また、樹脂部分にはピアノブラック塗装を施している。インテリアに目を移しても本革巻きステアリングの標準化に始まり、シート表皮の色彩も選択肢が拡大。木目調パネル&ツイード表皮の採用や、シフトまわりにイルミネーションを加えている。
さらに運転席には標準モデルよりも大きい12.3インチのフルTFTメーターが奢られている。さすがは上級バージョンだと頷ける仕上がり。チープさを感じない、似て非なる作り込みがノートオーラの良さと言っていい。
ノートオーラの良さは見た目や質感の華やかさで終わっていないところだ。モーター出力はベースモデルの85kWに対して100kWへ。トルクも280N・mから300N・mへと引き上げられている。ちなみに4WDモデルのリヤモーター出力50kW、トルク100N・mに変更はない。
こうしたパワーユニットの変更だけでなく、ドライブシャフトにダイナミックダンパーを備えて振動を消そうとしたこと、さらには17インチ化されたホイールと同時に、タイヤ幅を185から205へと拡大したこともポイントのひとつ。これらに合わせて足まわりも当然のようにリセッティングしている。
ワイドトレッド化による安定感と高級車のような上質感漂う走り
ノートオーラを高速道路のパーキングで引き取り、合流車線から本線へ向けて一気に加速してみると、なかなか豪快な加速を示してくれる。さすがは300N・mといった感覚で、余裕で本線の流れをリードしてしまうほど。伸び感もなかなかで、豪快なだけでなく爽快だ。
今回は4WDモデルを借り出したこともあるだろうが、高速直進安定性も高く、そして料金所などへ向けた減速時にもピッチングが少なく収まっていることに感心した。フロントだけでなくリヤでも回生ブレーキを使えていることがそのテイストを生んでいる。とにかくフラットに走る、そこがノートオーラの良さといっていい。
それはコーナーリングに差し掛かっても同様だ。程よく引き締められた足まわりによって、ドッシリと安定しながらロールも少なくジワリとコーナーリングして行く過程はコンパクトクラスとは思えない仕上がりだ。ワイドトレッドと幅広なタイヤの組み合わせはなかなか。
のちにワインディングも走ってみたが、その際にはアクセルオンでリヤが蹴り出す感覚も備わっており、フロントタイヤの依存度が少ないバランスが心地よかった。操る愉しみも十分にある、そこが意外なところだった。
元気に走らせたあとに街中を静かに走ってみれば、ベースモデルにあったザラついたフィーリングが減っていることに気づく。タイヤ銘柄をブリヂストンECOPIAから、ブリヂストンTRANZAに変更したこと、さらにはダイナミックダンパーが与えられたこともあるのだろう。滑らかさが出てきたその感覚は、ジワジワとクルマの良さを伝えてくる。
さらに静粛性にも気を遣い、前席ドアに採用されたラミネートガラスや、天井にも遮音対策したこと、20km/h以下ではエンジン回転をベースモデルよりも400回転抑えた1600rpmとしたこともそれを後押しする。
運転席だけでなく助手席・後席もリラックスできる空間に
上質にするための貪欲な対策は、明らかに結果を生んでいると思えるものだった。完全停止はブレーキ操作が必要だが、それまでは概ねアクセルだけで速度コントロールができるe-POWERならではの世界観も相変わらず。街乗りを快適にこなせる作り込みはなかなかだ。
その上でオプションではあるがBOSEパーソナルプラスサラウンドシステムを準備したことは面白い。ヘッドレストスピーカーを前席に装備し、音の広がりを感じさせてくれるそれは、これもまたコンパクトカーとは思えぬ贅沢なもの。
センターコンソールにあるアームレストと、ドアに備わるアームレストの高さが絶妙に同じ高さで、リラックスできる運転席や助手席にいると、そこはまるでコンサートホールのようなリラックスできる空間になる。
対してリヤは、ドアにあったスピーカーは排除されており、その空間がそのままなのは残念だが、リヤシートに座っていたとしても意外と音の広がりを感じられた。
まるで上級セダンかと思えるほどの仕上がりがありつつ、一方で街中での取りまわしのしやすさなどをきちんと備えていることが、最後の駐車スペースで感じられた。そこは8台くらいが止められる狭い駐車場で、一番奥だけが開いている状況。大きいクルマなら、表通りからバックで入れたいところだが、コンパクトクラスだし試しに頭から突っ込んでみるかとトライしたのだが、そこでノートオーラはなかなかの取り回しだった。切り返すこともなく、すんなりと頭を駐車スペースに入れたのだ。
実はベースモデルの最小回転半径は4.9mで、ノートオーラのそれは5.2mだから、きっと一度じゃ入れないだろうと踏んでいたのだが、アラウンドビューモニターの見やすさや、障害物が近づいた時の警告音が絶妙であり、躊躇することなく突っ込めたのだ。
もちろん、このあたりはベースモデルに分があるだろう。だが、前述した高速安定性をはじめ17インチのタイヤ&ホイールを採用したことによるメリットも大きいのだから目をつむれるのではないだろうか?
日本車にはなかなか存在しなかったプレミアムコンパクト。ノートオーラはその世界を見事に達成できた一台だと思う。これならダウンサイジングユーザーにオススメだ。
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みんなのコメント
日産のラインアップは少ないし、頑張って欲しいと思う。