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XC90はいかにしてボルボを救ったのか 中国企業買収に電動化 勤続38年のベテランに訊く

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XC90はいかにしてボルボを救ったのか 中国企業買収に電動化 勤続38年のベテランに訊く

XC90の重要性 もし失敗していたら…

ボルボは今年末、XC90に相当するゼロ・エミッションの大型電動SUVの発売を控えている。企業として成長し、電動化や自動運転など新たな時代を迎えている中、ボルボに38年間勤務したベテラン社員は何を思うのか。

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英AUTOCAR編集部は、長年ボルボに勤め、まもなく退社予定のコマーシャル・オペレーション部門の責任者レックス・カーセメーカーズにインタビュー。ボルボのこれまでの歩みと今後の展開について語ってもらった。

――ボルボには30年以上勤めていらっしゃいますが、その中で経験した最も大きな変化は何ですか?

「わたしにとって最も重要な出来事は、フォードからジーリー(吉利)に移ったことです。2000年当時、米国資本だったボルボでは、バッチエンジニアリング(OEM供給)、部品の共有、プラットフォームの共有、1つの工場で複数のモデルを生産することなどが非常に一般的でした。フォードで学んだことは、ブランドと製品戦略が明確でなければ、大企業の中で簡単に衰退してしまうということです」

「その後、2010年にジーリーに買収されたんです。フォードの経営状態が悪く、ビジネスが行き詰まったんです。わたし達は失敗から学び、自分たちの価値観を守り続けることにしました。もしジーリーがボルボに全権を与えなければ、つまり「あなた方が必要と思うクルマを開発しなさい」と言わなければ、わたし達は今のような成功を手に入れることはできなかったでしょう」

「これはボルボにとって、大きな大きな変化でした。2010年から2015年まで、新しいポートフォリオに取り組みました。当時、4気筒ターボにダウンサイジングするのは馬鹿げていると誰もが思ったものですが、今ではどこにでもあるものです。そして、プラグインハイブリッドで電動化への第一歩を踏み出しました」

――ボルボが最近発売した中で最も重要なクルマは何ですか?その理由も聞かせてください。

「2015年のXC90です。ジーリーの下で最初に出したクルマで、最も難しいクルマでした。新しいデザイン路線として、既存のお客様と新しいお客様にアピールする必要があったからです」

「当時のボルボは年間45万台を販売しており、80万台に向かっていくには強いアピールが必要でした(昨年は70万台弱を販売)。新しいデザイン、新しいプラットフォーム、新しいエンジンプラットフォーム(4気筒に移行)、これらの組み合わせがうまくいく必要があったのです。もし失敗していたら、イメージはガタ落ちだったでしょう」

野心的な成長目標 EVへの移行は

――ボルボは、2020年代半ばまでに120万台の販売目標を掲げています。軌道に乗っているのでしょうか?BMWのように200万台を目指したいですか?

「わたし達は適切なポートフォリオを持ち、適切な勢いもあります。供給制限のため目標が不明確になっていますが、生産した分を販売するわけですから、生産台数を増やせば、目標は達成できると強く信じています」

「わたし達は長期的な予測をやめ、月ごと、あるいは長くても四半期ごとに判断しています。以前、2022年半ばには供給問題が改善されるはずだと言いましたが、突然上海が閉鎖され、サプライチェーン全体に混乱が生じました」

「BMWのレベルは決してボルボの目標ではなく、120万台が当面のゴールです。成長と収益性のバランスを常に考えていかなければなりません」

――バッテリーサプライヤーであるノースボルト社(スウェーデン)とのパートナーシップは、ボルボのEV移行にどのように役立つのでしょうか?

「開発スピード、コンピテンシーの共有、それから生産拠点に近いトロールシャッテンの当社敷地内でバッテリーを生産することによるコスト効率化です。ノースボルトは、バッテリー開発に関する優れた技術を持っており、それを非常に早い段階から取り入れることができます。新型車の開発段階では、最新の知識を得る必要があります。ある段階を過ぎると、あとからは何も変えられず、9年間はその技術に縛られることになるからです」

――ボルボが考える理想のEV走行距離とは、どの程度でしょうか?

「350kmから450kmの間くらいでしょうか。一度にそれ以上走る人はほとんどいません。わたし達はまだ、バッテリーの大型化、重量の増加、そして適切な航続距離のバランスを模索しています。多くの自動車メーカーが450kmを達成するには、まだ時間がかかると思います。700kmは、よほど大きなクルマでないと意味がないと思うのですが」

「2025年までには、充電インフラが整備されるでしょう。8分から20分で充電できるようになれば、ちょうどいい利便性になります」

新型EVのデザイン 自動運転はどうなった?

――ボルボは、従来の店舗でも、オンラインでも購入できます。いつからオンラインだけになるのでしょうか?

「英国ではいくつか重要な試験を実施しています。今年末には、(英国における)売上の40%がオンラインになると思われます。消費者の習慣は急速に変化しており、クルマはどこでも同じ価格であることが好まれます。市場の準備が整えば、完全に反転させるつもりです」

――XC90とXC60に相当するEVがまもなく登場し、既存の内燃エンジン車と並べられることになります。それらは異なるスタイルになるのでしょうか?

「2015年にデザインの方向性を大きく変えたので、もちろん違いはありますが、まだ同じ世代にあります。未来に進めば進むほど、より劇的な変化が起こるでしょう。内燃機関向けではないクルマをデザインすることができるのです。EVだけにフォーカスし始めた瞬間、新しいデザインが出てます」

――自動運転では何が起きているのでしょうか?

「数年前、2020年か2022年までに完全な自動運転車が登場すると言われたときは、ボルボを含め自動車業界全体が非常に楽観的でした。今は5年前よりもずっとややこしいことになっています」

「しかし、わたしがいつも言っているのは、ボルボの目的は自動運転車を走らせることではなく、クルマをより安全にすることだ、ということです。自動運転技術は人間のあらゆるミスを取り除いてくれます。わたし達の次世代SUVは、より安全なクルマに向けて大きな一歩を踏み出すことになるでしょう」

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みんなのコメント

2件
  • EVならコンパクトを出してほしい!
    できればV40より小さいハッチバックモデルかSUV!
  • 次世代BEVであるSUV、XC100についての話題が出ていますね。
    走行性能や安全機能はもちろんですが、やはり注目はデザインですね。
    ポールスターもかなり前衛的で美しいデザインを提案していますし、年末以降のボルボには要注目だと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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