2021年3月に発表された欧州向けトヨタ車ではエントリーカーとなる「アイゴXプロローグ」は、そのスタイルから日本でも注目を集めている。
同車は、次期型アイゴを示唆するモデルだが、本稿ではこのアイゴXプロローグをおさらいすると同時に、現行型の2代目モデルまでのアイゴを振り返ってみたい。
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実は、このアイゴ、プジョーやシトロエンというフランス車とも非常に縁深いモデルなのだ。
文/永田恵一 写真/TOYOTA
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■新型を示唆!? アイゴXプロローグとは
フランスのスタジオ「EDスクエア」がデザインを担当したアイゴXプロローグ
トヨタのフランス・ニース近くにあるデザインスタジオ「EDスクエア」がデザインを担当したアイゴXプロローグは、最小クロスオーバーのスタディモデルという印象で、ボディサイズを含めこのまま市販化するわけではないだろう。
しかし、ヘッドライトからポジションランプ? とつながるフロントマスクや中央部が下がったルーフ形状、2ドア車のように見える小さなリアドアやボリューム感に溢れる点、前半がレッド、後半がブラックとなるボディカラーなど、実にアグレッシブである。
ただ、アイゴXプロローグにも歴代アイゴに共通するガラスのみで成形されたバッグドアが継承されている点など、次期型にアイゴXプロローグのイメージがどのくらい盛り込まれるかには注目したいところだ。
■シンプルかつリーズナブル! 欧州トヨタ最小車「アイゴ」
シンプル&ローコストに注力した初代アイゴ
アイゴは、日本車ではトヨタ パッソ&ダイハツ ブーン、日産 マーチ、三菱 ミラージュ、欧州車ではVW UP!やフィアット パンダに相当するモデルとして2005年に初代モデルが登場。
「Aセグメントカーが必要」という思惑が一致したプジョー・シトロエンと合弁で設立され、チェコ共和国に工場を持つTCPA(トヨタ・シトロエン・プジョー・オートモービル)で生産されるモデルで、トヨタ主導で開発された。
初代アイゴは、現行のパッソ&ブーンとも関係のあるプラットホームを使った3ドアと5ドアを設定するAセグメントカーで、ガラスのみで成形されたバックドアやリアウィンドウは上下に開かず、パッチンと開くポップアップタイプとなることなど、とにかくシンプルでコスト低減に注力したモデルであった。
ボディサイズは全長3415mm×全幅1615mm×全高1465mm、ホイールベース2340mmと全幅はそれなりにあるが、全長は軽自動車とほぼ変わらないイメージだ。
少しクセのある外装となった2代目アイゴ
エンジンは、パッソ&ブーンやヴィッツ、ヤリスにも搭載される1L・3気筒NAと初代プロボックスに搭載された1.4Lディーゼルターボ(後者は2012年のマイナーチェンジで廃止)の2つで、トランスミッションはそれぞれに5速MTとMTを自動化した5速AMTが組み合わされていた。
2014年登場の2代目モデルは、プラットホーム、エンジン&トランスミッションともに初代モデルの改良版ということもあり、一番違うのは内外装である。
インテリアは低コストながらパネルの組み合わせによって明るい雰囲気となるのは好ましいが、エクステリアはいい意味で万人向けの初代と超アグレッシブなアイゴXプロローグに対し、特に日本人の目には強いクセを感じるものだった。
■アイゴはプジョー&シトロエンにもOEM供給
プジョー 108。アイゴはプジョーやシトロエンにOEM供給されていた
アイゴはプショーへは初代モデルが107、2代目モデルが108、シトロエンにはC1の車名で初代と2代目モデルがOEM供給されていた。
どちらもエクステリアは、その時期のプジョー・シトロエンを踏襲したもので、外観以外の違いとしては108、2代目C1それぞれにキャンバストップが、2代目C1にはクロスオーバーのアーバンライドが設定されていた点が挙げられる。
なお、TCPAは2021年1月から車名がTMMCZ(トヨタ・モーター・マニュファクチャラー・チェコ共和国)に変更されると同時にトヨタのものとなっている。
それゆえ3代目アイゴにはプジョー・シトロエン版はなく、トヨタ独自のモデルとして再出発することになるだろう。
* * *
パッソ&ブーンの存在もあり、次期型でもアイゴが日本導入される可能性は非常に低い。
だが、もし次期アイゴが、アイゴXプロローグに近い最小クロスオーバーというポジションかつ超アグレッシブなエクステリアで市販車されるのであれば、難しい面も多いにせよ、何らかの形での日本導入を期待したいところだ。
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