BMW CE 04は定格出力15kW、軽二輪(250cc)クラスとなる
BMWのいかにも未来的なルックスをした電動バイク、「CE 04」がついに日本で発売となった。単に電動であるというだけでなく、エンジンがなくなったことで実現できたまったく新しいスタイリングは感度の高いユーザーの心を掴んでいる。
【画像14点】BMW CE 04を写真で解説「シート下トランクやヒーター装備で実用性も高い!」
モーターの定格出力は15kW(20ps)。電動バイクの分類は定格出力によって行われ、1.0kW超であれば軽二輪となるので、250cc相当の車検不要のバイクということになる。
また免許区分的には、1.0kW超20kW以下の範囲に収まっているので普通二輪免許で乗ることができる電動バイクというわけだ。
モーターはボディ中央付近に配置され、リヤタイヤをベルトで駆動。多段変速機は備わらず、固定ギア比となっている。アクセル操作だけで走るという意味ではスクーター的だが、ダイレクトな駆動系を持つ乗り物という点においてはスクーターとは異なると捉えるべきだ。
また逆回転させることが容易なモーターの特性を活かしてリバースモードも持っている。
スタイリッシュな未来的スタイル、軽二輪として考えるとサイズはやや大きい
全長2285mm、全高1150mm、全幅855mm、シート高800mm、軸距は1675mmで、車両重量は231kgとなる。おおよそ10kWh相当のリチウムイオン電池を積んでいる電動モビリティとしては意外に軽量に仕上がっているという印象だ。実際、リバースモードを使わなくとも良好な取り回しを実感できた。
一方で、全長と軸距は軽二輪クラスとしては大きめで非常に存在感のあるスタイリングともなっている。
システム起動状態での静けさや宙に浮いたようなユニークなシート、フロントカウル付近の空力処理などに象徴されるSFチックなルックスのイメージも相まって、まさに未来の乗り物といった雰囲気だが、はたしてその乗り味はどういったものなのか。電気自動車オーナーでもあった筆者の経験を踏まえてお伝えしよう。
BMW CE 04の最高出力は400cc級、最大トルクは650cc級
改めてパフォーマンスを再確認すると、定格出力ではない「最高出力」は31kW(42ps)、最大トルクは62Nm(6.3kgm)。最高出力的には単気筒400ccのスクーターを凌ぐもので、最大トルクについては600ccクラスに迫る数値となっている。
ちなみに同じBMWで比べると、400ccスクーター・C400シリーズは最高出力25kW(34ps)、最大トルク34Nm(3.4kgm)、かつて販売していた650ccスクーター・C650シリーズは最高出力44kW(59ps)、最大トルク63Nm(6.4kgm)という性能だ。
さらに、よく知られているように電動モーターは回り始めで最大トルクを発生する特性を持っているため、発進加速は大型スクーターを凌駕するレベル──というのは容易に想像できるだろう。
とはいえ前述したようにモーターからの出力は固定変速比でリアタイヤに伝わるため、モーターのレブリミットが速度を制限してしまう。そのためスペック上での最高速は120km/hと出力からすると控えめだ。こうした電動車の特性は四輪でも同様で、驚くことではない。
むしろゼロ発進のスムースネスを味わうことが電動モビリティを選ぶインセンティブになる。
実際、右手でアクセルをひねった瞬間に車体はスーッと加速する。その感触はどこか空飛ぶじゅうたんのようなイメージで、路面から浮き上がっているように錯覚するほどショックなく加速していく。
力強い味つけの走りがスポーティ、モードの特性違いも実践的
とはいえ、各メーカーの電気自動車や電動カートなど過去に乗ってきたモーター駆動モビリティの経験からすると、この加速力はモーターの性能を100%引き出しているものではないだろう。
一般にモーター駆動のパフォーマンスをフルに引き出すと急加速のようになってしまう。そこで発進トルク自体は乗りやすいように抑えた上で、動き出してからの出力をうまく上昇させていくことが電動車において重要だ。
その上でエンジン車に比べると圧倒的なゼロ発進の力強さと滑らかさを両立しなければならない部分が、電動車における難しい部分なのだが、CE 04においては絶妙の味つけで、電動車の醍醐味を存分に味わえるセッティングとなっているのは好印象だ。
さてCE 04には4つのライディングモードが用意されている。そのメニューはエコ/レイン/ロード/ダイナミックというもので、名前から想像できるような特性に変えられているのだが、エコを選んでも発進加速の鋭さが失われていないのは意外だった。
四輪の電気自動車ではエコモードといえばアクセル開度に対して加速はマイルドにしすぎているものも多いが、CE 04ではエコであっても発進加速はキビキビとしたもので、そこからの速度の伸びを抑えることで航続距離を伸ばすような制御になっているという印象を受けた。
またエコやダイナミックというモードを選ぶと回生ブレーキの取り分を最大になるようセッティングされるということだが、そこでも違和感は皆無。
後輪で回生ブレーキを大きくとるということは、強いエンジンブレーキと似たようなフィールを想像してしまうかもしれないが、リヤが跳ねるような感触は一切ない。むしろ前後の接地感が増すような巧みなセッティングとなっていた。
重心の低さは四輪EVにも通じる
このあたり、バッテリーやモーターを低く、車体中央付近に積むというパッケージの影響も大きいだろう。前後とも15インチタイヤを履いているということもあって、エンジン車では考えられないほど感覚的な重心は低く、ホイールベースも長めなこともあって加減速での安定感は非常に高いのが印象的だ。
フロントのブレーキキャリパーはラジアルマウントとなっているような仕様だが、フルブレーキ時の前後接地感も高くなっている。こうしたバッテリーという重量物による安定した挙動というのは四輪の電気自動車でもよく言われるメリットだが、CE 04においても同様の電動車ならではの特徴を存分に感じることができた。
航続距離は約130km、それを踏まえた使い方は?
気になる一充電航続距離は130km。ロングツーリング向きではないが、シティコミューターよりは余裕のある性能を持っていて、片道50km程度のライトなツーリングなら対応できる性能を持っている。
充電方式は「SAE J1772」と呼ばれるグローバルスタンダードの普通充電を基本としているもので、これは四輪の電気自動車と同じ仕様といえる。もっともCE 04の普通充電は2.3kWという出力で、四輪の普通充電が3.0~6.0kWとなっているのに比べると、少々控えめだが……。
それでもBMWジャパンのスタッフに聞いたところ、電気自動車の普通充電が使えるようにガレージに単相200Vの専用コンセントを用意しているユーザーであれば、とくに工事をすることなく、CE 04に付属されるケーブルを使った普通充電が可能だという。BMW iシリーズに限らず、電気自動車オーナーであればCE 04を選ぶハードルはだいぶ低いといえそうだ。
公表されている充電速度のスペックは普通充電で0%から80%まで充電するのに約3時間。エンジン車の感覚でいえば「3時間も待つのか」と思うかもしれないが、電気自動車オーナーからすれば「3時間でそれだけ充電されるのであれば十分」と思えるスペックだろう。
なお、CE 04にはオプションとして6.9kWのクイックチャージャーが設定されているが、これは日本の電気自動車においてスタンダードとなっている急速充電「CHAdeMO」とは異なるもので、モード3に分類される「普通充電の速い版」を利用できるという意味。こちらは0%から80%まで約1時間で充電できる。
据え置きタイプのモード3普通充電器は、四輪の電気自動車にも使える。BMW Wallboxのようなモード3普通充電器を設置したガレージに、電気自動車とCE 04を並べておけば、ストレスを感じることなく電動モビリティを楽しむことができそうだ。
BMW CE 04主要諸元
[モーター・性能]
種類:液冷オルタネーター搭載・永久磁石式同期モーター 最高出力:31kW<42ps>/4900pm 最大トルク:62Nm<6.32kgm>/0-4900rpm 定格出力:15kW<20ps>
[バッテリー・性能]
種類:空冷リチウムイオン高圧バッテリー バッテリー電圧:148V バッテリー容量:60.6Ah(8.9kWh) 充電能力:通常充電時2.3kW/急速充電時6.9kW 航続距離:130km 電力消費量:WMTC基準で7.7kW/100km
(12V/5Ahのサブバッテリーも備える)
[寸法・重量]
全長:2285 全幅:855 全高:1150 ホイールベース:1675 シート高800(各mm) タイヤサイズ:F120/70R15 R160/60R15 車両重量:231kg
[価格]
161万円
試乗レポート●山本晋也 写真●山内潤也/BMW 編集●上野茂岐
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