フェラーリは、ドライバーズとマニュファクチャラーズの両方のタイトル獲得の望みが失望の結果で事実上絶たれたにもかかわらず、WEC世界耐久選手権富士ラウンドでの努力を「誇りに思う」と述べた。
イタリアのブランドの耐久レースカー責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、AFコルセが走らせた3台の499Pのうち、アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセンの50号車が9位でゴールした後、このコメントを残した。
トヨタ小林可夢偉が語る“ふたつの敗因”。衝撃の接触は「BoPによるパワーと重さの差が出た」/WEC富士
9月15日に富士スピードウェイで行われたレースでは、51号車と83号車の2台は2周目のターン1での事故に巻き込まれ、深刻なダメージを受け、最終的に51号車がリタイアに至った。
この結果は、昨年の499Pプログラム開始以来、フェラーリが記録した最低の順位となり、バーレーンでのシーズン最終戦に向けて、フォコ、モリーナ、ニールセンは、ドライバー選手権首位・6号車ポルシェ・ペンスキーのクルーに35ポイントの差をつけられることとなった。
■「セクター1では我々が最高だった」
富士では、フェラーリのトラックポジションを獲得するための戦略によって、ニールセンはレースの中間地点でトップに立ち、フォコは最後の1時間で5番手を走っていたが、終盤に順位を落とした。
カニッツォは、499Pは直線性能の点でライバルに対して弱すぎて競争力がないと述べたが、フェラーリにとって最も競争力のない週末となった昨年の富士のレースよりも良いパフォーマンスを見せたことに満足している。
「最後のセーフティカーが全車のギャップを無くしたとき、ポジションを守ることは不可能だった」とカニッツォ。
「我々のパワー対ドラッグ比とダウンフォース対重量比では、他のすべてのクルマが簡単に我々を追い抜くことができた」
「我々が誇りに思っているのは、良い戦略をとったという事実だ。レースの大部分を我々の車両がリードしていたのは、非常に良かった。コースが最後までグリーンだったら、戦略は非常にうまく機能していただろう」
「昨年と比べると、マシンのパフォーマンスは非常に良かったと思う。昨年はあらゆる状況で苦戦していた。今年は完璧だった。セクター1では、我々が全チームの中で最高だったと思う。だがセクター2と直線では、パフォーマンスが足りなかった」
「チームとして戦略はうまくいったが、レースの最後は運がなかった」
ニールセンがトップに立つ鍵となったのは、次のピット・サイクルでレースをリードしていた6号車ポルシェ963をアンダーカットする前に、フェラーリがバーチャル・セーフティカー(VSC)下のピット作業でニールセンの4輪に新品タイヤを履かせたことだ。
50号車のリードは比較的短命だったが、カニッツォはセーフティカーが各車のギャップを縮めなければ4位フィニッシュは「達成可能」だったと考えている。
「ペースが足りず、我々にできる唯一のことはスティントの長さを調整し、他のクルマが中古タイヤを履いているときに新品タイヤを履くことだった」とカニッツォ。
「中古タイヤを履いた他のクルマを追い抜くのに苦労していたので、我々が(ニュータイヤで)はるかに速かった、とは言わない。だが、それは我々にトラックポジションを獲得する可能性を与えた」
「最後のセーフティカーは不運だった。我々のタイヤは他のクルマとほぼ同じくらいしか残っていなかった。最後のスティントでは左側が新品だった。しかし、その前に得たマージンが、(セーフティカーによって)我々から奪われてしまった」
■最終戦では「奇跡を起こそうと努力する」
カニッツォは、ドライバーとマニュファクチャラーの双方のタイトルが数字上はオープンのままではあるものの、フェラーリがどちらかのチャンピオンシップを獲得するチャンスは「ゲームオーバー」だと認めた。
たとえバーレーンでフォコ/モリーナ/ニールセンがポールポジションから勝利したとしても、6号車ポルシェが決勝で8位に入れば、6号車のケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントールがチャンピオンとなる。
一方のマニュファクチャラー選手権では、フェラーリが最高ポイントを獲得した場合、ポルシェはファクトリーカーのいずれかで4位に入ることが求められる、という状況だ。
「数字の上では、我々が1位、2位、3位でフィニッシュし、他の(タイトルを争う)車両がフィニッシュしなければ達成できるが、残念ながら、それはもう終わりだ。マニュファクチャラー選手権の方もだ」とカニッツォ。
「もちろん、我々は奇跡を起こそうと努力する。諦めているわけではない。だが、可能性は非常に低い。チャンピオンシップに勝つためには、クルマを最高の状態にして、すべてを完璧にし、3台を表彰台に上げる必要がある」
「間違いなく、この富士でのレースによって、チャンピオンシップを手にするチャンスはほとんどなくなった。だが、それは我々が諦めることを意味しない」
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