2020年10月8-11日、WRC(世界ラリー選手権)第6戦ラリー イタリア がサルディニア島北西アルゲーロを起点に行われ、ヒュンダイのダニ・ソルドが優勝。2位にはティエリー・ヌーヴィルが入り、ヒュンダイが1-2フィニッシュを達成。トヨタ勢はセバスチャン・オジェが3位、エルフィン・エバンスが4位。サードドライバーのカッレ・ロバンペラとWRCチャレンジプログラムの勝田貴元はともにクラッシュでリタイアに終わった。
「第3の男」ソルド殊勲、ヒュンダイがトヨタを抜いてトップに
ワークスノミネートの3台目にドライバーズ選手権ランキングには無縁のスポット参戦ドライバー(ただし経験豊富なベテラン)を起用し、グラベルラリーで有利なスタート順を得ようというヒュンダイ恒例の戦略が、またも決まった。
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今回起用されたのは、昨年のこのラリーのウィナーでもあるスペインのソルド。3月のメキシコ以来のWRC参戦だが、実は7月からイタリアとスペインのローカルラリーを3戦走って肩慣らしは済ませており、ラリースタートから上々の滑り出し。SS4からSS6では3連続ベストタイムを出して初日に大量リードを築くことに成功した。土曜日からは後続のオジェとヌーヴィルに猛烈に追い上げられたものの、最後まで崩れることなくトップフィニッシュ。ヒュンダイの期待に応える優勝を果たした。
昨年王者のオィット・タナックは初日のサスペンショントラブルが響いて6位に終わったものの、ヌーヴィルがオジェとの激闘を最終ステージで制して2位に入ったことで、ヒュンダイは最優先目標のマニュファクチャラーズ選手権でトヨタを逆転、7点差で首位に立つことに成功した。
残り2戦、ラリー・ベルギー(11月19-22日)とラリー・モンツァ(12月4-6日)はスタート順の影響を受けないターマック(舗装)ラリー。新型コロナウイルス対策で急遽シーリズに加わったこの両戦ともヒュンダイには出場経験があるのに対し、トヨタは皆無。少なくともマニュファクチャラーズ選手権ではヒュンダイ有利の情勢となった。
追いきれなかったトヨタ、ドライバーズ選手権も緊迫
選手権ランキング首位のエバンスと2位のオジェを擁するトヨタはスタート順に泣いた。
初日の午前中こそ、2012年以来となる10月開催の低い気温とやや濡れた路面に助けられて最小限のタイムロスに留めたものの、路面が乾いた午後からは後続スタート勢に大きなタイム差をつけられる苦境に。それでもオジェは土曜日からベストタイムを多発して懸命に追い上げたが、今シーズンのWRCはSS距離が通常の2/3程度に制限されていることもあり、首位までは届かず。ヌーヴィルとの激しいバトルの末に3位に入るのが精一杯だった。
これでドライバーズ選手権ランキングでは4位に入ったエバンスが首位をキープ。オジェが14点差に迫り、3位にはエバンスと24点差でヌーヴィルが浮上、4位に28点差でタナックという情勢になった。
このラリーウイーク中にラリーモンツァが最終戦としてカレンダーに加わることに決まったため、残る2戦で獲得できる最大ポイントは60点に増加。しかも次戦、ヨーロッパ選手権の古参イベント、ラリーベルギー(イープル)は出場経験豊富の地元ヌーヴィルの圧倒的優位が予想され、こちらのタイトル争いもトヨタ対ヒュンダイのバトルが一気に緊迫感が増している。
WRC次戦第7戦ラリーベルギーは11月19日から22日(日)にかけて開催される。このラリーは過去ERC(ヨーロッパ・ラリー選手権)やIRC(インターコンチネンタル・ラリーチャレンジ)の1戦としても開催されてきた「イープルラリー」で、WRCとしての開催は今年が初めてとなる。F1も開催されるスパ・フランコルシャン・サーキットでのステージも予定されている。
WRC第6戦ラリー イタリア サルディニア 結果
1位 D.ソルド(ヒュンダイ i20クーペ WRC)2h41m37.5s
2位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +5.1s
3位 S.オジェ(トヨタ ヤリス WRC) +6.1s
4位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)+1m023s
5位 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC) +1m33.9s
6位 O.タナック(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +2m27.5s
7位 P.ルーベ(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +4m43.8s
8位 J.フッツネン(ヒュンダイ i20 R5) +8m41.7s
9位 K.カヤタノビッチ(シュコダ・ファビア Rally2 エボ) +10m02.9s
10位 P.ティディマンド(シュコダ・ファビア Rally2 エボ) +10m20.9s
2020 WRC ドライバーランキング(第6戦終了時)
1位 E.エバンス(トヨタ )111
2位 S.オジェ(トヨタ)97
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)87
4位 O.タナック(ヒュンダイ)83
5位 K.ロバンペラ(トヨタ)70
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