「多分ビリだったな」「みんながよく言うやつ」「派手な破裂でした」【SF Mix Voices 第6戦決勝（2）】

　7月16日、静岡県の富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ選手権2023年第6戦の決勝が行われ、リアム・ローソン（TEAM MUGEN）が今季3勝目を挙げた。

　決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、第6戦決勝に挑んだドライバーたちの声ドライバーたちの声を、2回に分けてお届けする（前編はこちら）。

■大津弘樹（TGM Grand Prix）　決勝21位

『右側鎖骨骨折』を理由に今大会を欠場した大湯都史樹（TGM GrandPrix）の代役として参戦した大津弘樹（TGM GrandPrix）。スタートでは、抜群の蹴り出しで3ポジションアップに成功するが、レース中のペースについては前半戦での大湯と同じような課題が垣間見えたという。

「スタートは抜群に良くて大幅に順位アップできたんですけど、戦略も含めてあまり良くいかなかったです。ペース自体も他車と比べるとけっこう落ちていました。大湯選手もこれまでのレースで大きくドロップしていたので、そこが今回の課題だと思っていました」

「そこはセッティングとか走り方でそれが変わるのかとか、大湯選手が普段できないこともトライしてみようと思って、走りの面ではレース後半でペースが若干回復した時がありました。そういうところのデータを見直してもらって、（今回の走りが）チームに少しでも貢献できていたらいいなと思います」

　レース終盤は9番手を走行するも、残り2周のグリーンファイト100Rで突然左フロントタイヤのホイールが破損。ゴール目前にして、マシンを止めることとなってしまった。

「キャリパーとホイールの間に異物が混入したのか、ホイールが破裂してしまい、それによってタイヤが脱輪してしまいました。自分でも何が起こったのか分からないくらい派手な破裂でした」と状況を説明する大津。「100Rに入った時に急に曲がらなくなって『おかしいな』と思った瞬間に破裂しました。それが100Rの出口くらいで破片も飛び散った感じでした。ポイント圏内も走っていたし残り2周だったので、チェッカーを受けたかったですね」と悔しそうな表情をみせていた。

■ラウル・ハイマン（B-Max Racing Team）　決勝リタイア

　21番グリッドからスタートしたラウル・ハイマン（B-Max Racing Team）だが、ピットウインドウが開く前の9周目にピットイン。そのままガレージにマシンが収められ、リタイアとなってしまった。

「ギヤボックストラブルだった。2速にスタックしてしまって、何もすることができなかった。リタイアになったことは残念だけど、仕方がない」とハイマン。今季も9戦のうち6戦が終了したが、まだポイントを獲得できていない状態が続いている。

「まずは予選から周りとのギャップを詰めていくことが目下の課題だ。どのサーキットに行っても僕と周りとのギャップが変わっていない。ドライビングを改善するだけでは足りないと思うから、まずは何が問題なのかをしっかり見つけて、しっかりと戦えるようにしたい」と、残り3戦に向けての想いを語った。

　次戦の舞台はモビリティリゾートもてぎ。8月開催ということで灼熱のコンディションになることが予想されるが、ハイマンはこれを“好機”と捉える。

「日本の夏はすごく暑いけど、僕はこういうコンディションが好きだ。今回の週末はそこまで暑くならなかったけど、僕が日本に着いた火曜日とかは気温37度くらいあって、僕はすごく好きだなと思った」

「おそらく、次のもてぎもすごく暑くなるし、それに対してクルマがどういう動きになるのかは分からないけど、楽しみにしているし、課題を解決してレースに臨みたい」

■関口雄飛（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）　決勝20位

　13番手からスタートした関口は、序盤の混戦で接触があり右リアタイヤを破損。緊急ピットインを余儀なくされたことで、勝負権を失ってしまった。

「2周目のBコーナー（ダンロップコーナー）で少し接触したのですが、当たりどころが悪くてタイヤがパンクしてしまいました。ある意味、（上位進出の可能性は）そこで終わってしまいました」と関口。「途中でSCが出ればチャンスがあるかと思って、引っ張っていったんですけど……結局、SCも出なくて終わってしまいました」と、為す術がなかった戦況を振り返った。

　それでも、ポジティブな点も見つかった様子で「（緊急ピットイン後は）ペースは良かったです。終盤はタレてしまいましたけど、途中まではみんながよく言う“トップと変わらないペース”というやつでした。そういうことも前回までなかったので多少は良くなっているかなと思いますが、ちょっと足りないなと感じています」と関口。「まぁ、全部タラレバですけどね（苦笑）」と、笑顔を見せつつも悔しさが見え隠れする表情をしていた。

　ただ、6戦を終えてポイント獲得できていないことは事実。「残り2大会しかないですからね。（昨年もてぎで優勝しているので）次こそは、まずポイントを取りたいです」と意気込みを見せていた。

■笹原右京（VANTELIN TEAM TOM’S）　決勝19位

　今シーズン初のレースを迎えた笹原右京（VANTELIN TEAM TOM’S）。16番グリッドから挽回を狙ったが、スタートした瞬間にアンチストールシステムが作動して失速してしまい、大きくポジションを落とした。その後もレースペースが良くなく、19位でレースを終えた。

「スタートで動き出してからアンチストールがかかってしまいました。何か操作で異常があったのかは分析しなければいけないですが……（レースでは）まったく遅すぎて話にならなかったという感じです（苦笑）」と笹原。一番の問題はマシンの動きだったようだ。

「テストからやってきたことがまとまらないどころか、どんどん違う方向に行っている気がして『何が起きているのだろう？』という感じでした。スタートで最後尾に落ちていなかったとしても、多分ビリだったなと言えるくらい遅かったです」

「自分としてもいろいろな走らせ方をトライしたのですが、何も変化がなくタイヤもすぐにダメになってしまいました」

　6月の公式テストから36号車をドライブしている笹原。前半戦のデータに頼らずイチからセットアップのベースを作り直しているとのことで、本領を発揮するには少し時間がかかりそうな雰囲気だ。

「原因が見つかると良いのですけど、なぜか勝手におかしくなっていく感じで不可解な週末でした。悔しいという以前に、普通に走れなかったなという週末でした」と語る笹原は、終始苦笑いをみせていた。