どんなクルマ?
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】新型1シリーズ 118i、新型A1スポーツバック35【詳細写真】 全22枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
輸入車市場をリードする独車。プレミアム&スポーティ志向の牽引役かつ定番、となればアウディとBMWだろう。
両ブランドのエントリーに位置するのが、アウディA1スポーツバックとBMW1シリーズである。
本国デビューはA1が先行していたが、共に昨年末に日本へ導入。同時期にプレミアムコンパクトを代表するモデルの登場とあれば、「竜虎の対決は如何に?」と購入予定など皆無であっても好奇心は全開だ。
先ずは身上書比較。車体寸法は1シリーズが一回り大きい。A1に対して全長は295mm、全幅は60mm、ホイールベースは110mm長い。
車格差に相当する差があるのだが、両車ともに車体外寸は先代から大きく変わらず、1シリーズはスペース効率に劣るFR時代のプロポーションをFF化した新型車でも踏襲。
前後のオーバーハングを詰めて合理的な「FF 2BOX車」のシルエットとしたA1に比べると、リアオーバーハングが長い1シリーズはショートワゴンの体だ。
気筒数/リアサス形式の違い
編集部が選んだのはA1 35とBMW 118iという2台。
パワートレインは、ともに1.5Lターボと7速DCTの組み合わせだが、エンジン形式はA1が4気筒、1シリーズは3気筒を採用する。
気筒数減は燃費性能向上を主目的とするが、JC08モード燃費ではA1が約3%優れている。
もっとも、1シリーズは車重が170kg、割合にして約14%増なので、重量比の省燃費度なら上回っている。
軽い車重で最高出力/最大トルクともに勝るA1が、相対的にはハイパフォーマンス志向だ。
サスペンションはフロントは両車ともにストラットを採用するが、リアサスはA1がトーションビーム(トレーリングアーム)、1シリーズはマルチリンク式を用いる。
欧州Bセグに限らずコンパクトなFF車のリアサスではトーションビームが標準的であり、FF車にもリア独立懸架を採用する1シリーズは贅沢な設計とも言える。
こういった近似や相違は、クラスセグメントやブランドキャラの表れなのである。
どう違うの?
FF化の恩恵で後席の居住性と荷室容量をアップした1シリーズだが、A1に対して車体寸法ほどのキャビンスペースのアドバンテージはない。
開放感の向上などによりA1も後席居住性を改善したこともあるが、適応用途を違えるほど実用性の差はなく、どちらもプレ&ポストファミリーを主としたタウン&ツーリング用途向けの実用性である。
キャビン内の評価はデザインとか雰囲気の好みの問題。とくにインパネ周りのデザインは好みの違いが強く出そうだ。
「好みの問題」は走行テイストにも当て嵌まる。
全開加速で図ればA1が勝ることになるが、動力性能に大きな違いは感じられなかった。
巡航ギア維持性はA1が多少高め。有利なトルクウェイトレシオの影響もあり、ダウンサイジング・ターボらしい力感を示す。
A1 直4/FFの良いところ
1シリーズも同志向のターボであり、絶対評価では巡航ギア維持性に優れているが、A1よりもダウンシフトのタイミングが早め。加速ギアも引っ張り気味である。
巡航ギア維持性に勝るといっても、A1もトルク任せでダウンシフトを堪えるような変速制御ではなく、スポーティコンパクトらしい軽快さと伸びやかさを意識させる変速制御。
A1視点なら1シリーズは非力に感じられ、1シリーズ視点ならA1は軽快感が薄い。なのだが、どちらにしても「多少」の範疇である。
4気筒vs3気筒については、やはり回り方の気持ちよさでA1。
だからといって、3気筒だから1シリーズはダメと言う気はさらさらない。3気筒といっても高回転まで軽く回るし、低回転域での脈動感もあまりない。
3気筒ではかなり優等生である。「4気筒に迫る」くらいは言えるが、やはり精度感あるいは質感では最新の4気筒に及ばない。
アウディとBMWの走りの志向の違いを意識するのはフットワークだ。A1は量産FFの元祖たるアウディ(アウトウニオン)車らしくFFのセオリーに則した特性。
対して1シリーズはFR的な脚捌きである。
“リア荷重”を意識 1シリーズ
1シリーズがFR的と言っても、パワードリフトが云々という類の話ではない。
限界付近での特性はFF車のもの。
FR的なのは車体挙動。うねりの通過や定常円旋回でリアサスの沈み込みを強く意識する。
後輪に荷重が乗るような挙動を示すことが多く、ピッチ変化を体感しやすい。操舵初期応答に優れた操縦特性と相まって操る手応えがある。
攻め込むでもなく、快走させている時にはFRか? と思ってしまうほどだ。
前荷重でフラットに A1
FFで後輪を沈み込ませるような挙動は、操安性からすれば好ましくない。
理屈では前輪で駆動する以上、前のめり気味に前輪荷重を高めるべきである。
そのとおりA1は、コーナリングでは前輪を押さえ込むような姿勢を維持。サスストローク制御そのものはしなやかだが、車体軸線をフラットに保つ能力が高い。
機敏あるいは軽快な印象は少ないが、神経質な反応を廃したハンドリングは車体サイズから想像する以上の信頼感を生み出している。
要するにA1は最新のアウディ車らしく、1シリーズはFFになってもBMWらしいわけだ。
アウディ派とビーエム派
試乗車同士で比較すると、A1スポーツバック35 TFSIアドバンストとBMW 118iプレイの価格差は13万円でしかない。
プレミアム系の輸入車では手頃な370万円前後の価格設定だ。
ただし、両車ともにACCはOP設定である。なお、ACCはともに渋滞追従機能付きの全車速型を採用する。
車線維持支援は、A1がACCとセットで走行ライン維持型LKA(レーンキーピングアシスト)を設定しているが、1シリーズは車線逸脱警報を標準装着するのみとなっている。
無価値感というか公平無私に機能性能で優劣を付けるなら動力性能、走行感覚と運転支援がもたらす安心感の2点からA1に軍配を挙げたくなるが、それはそれで「物言い」が付きそうだ。
そんな選び方が出来るなら輸入車を選ばないだろう。
ブランドの味 コンパクトカーにも
先代1シリーズからA1に乗り換えて気に入るには、ユーザー側の価値感の変化が必要。宗旨替えと言ってもいい。
先代A1から1シリーズへの乗り換えも同様。
デザインテイストや走行感覚や操縦感覚等々に表現されたブランドの違いに惚れて選べば当然である。趣味嗜好の相性の問題である。
言い方を換えるなら、エントリークラスでありながら、そういったブランドの持ち味をきっちり表現できているのは見事である。
それぞれ新・旧比較するなら、A1はプレミアム&ツーリングを向上させて、1シリーズはFRで表現した走りの楽しさのFFへの移植により、ブランド濃度を深めていた。
BMW 1シリーズ 試乗車スペック
118iプレイ
価格:378万円
全長:4335mm
全幅:1800mm
全高:1465mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:13.7km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-g/km
車両重量:1390kg
パワートレイン:直列3気筒1499ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:140ps/4600-6500rpm
最大トルク:22.4kg-m/1480-4200rpm
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:5名
アウディA1 試乗車スペック
A1 35 TFSIアドバンスト
価格:365万円
全長:4040mm
全幅:1740mm
全高:1435mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:15.6km/L(WLTCモード)
CO2排出量:149g/km
車両重量:1220kg
パワートレイン:直列4気筒1497ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5000-6000rpm
最大トルク:25.5kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:5名
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みんなのコメント
一刻も早く、元の素直なメーターパネルに戻してください。
A1の対抗はミニ、1シリーズの対抗はA3だ。
下位セグなのに4気筒を奢ってる時点で、A1の優秀さが表現されてる気もするが。
(そんな自分はずっとBMW乗り)