アリゾナのプレゼンで最初に触れられたこと
ベントレーが、先進的かつ革新的な経営目標を盛り込んだ20年間にわたる長期戦略『ビヨンド100』戦略を発表してから約4年という時間が経過した。
【画像】アリゾナで開催されたベントレー・フライングスパー・スピード国際試乗会の模様 全118枚
そのビヨンド100戦略をさらに進化させた『ビヨンド100+』戦略が発表されたのは2024年11月半ばのことだったが、ベントレーの会長兼CEOであるフランク・ステファン・ヴァリザー氏によれば、それは2030年以降のさらに高い目標を目指す指針であり、2035年までに自社製品の完全電動化を実現するための新たな戦略にほかならないという。
今回私は、2024年9月に発表された新型フライングスパー・スピード、初代モデルから数えれば第4世代に相当する新作を試乗するために、アメリカのアリゾナ州スコッツデールを訪れたが、そのプレゼンテーションで最初に触れられたのは、このビヨンド100+戦略の詳細と進捗状況だった。
あらゆる意味でベントレーの将来を占うことができるニューモデル
現在のベントレーは、すでにラグジュアリーハイブリッドカーの先駆者としてのポジションを築いており、それをさらに確固たるものとするためにPHEVモデルのライフサイクルを、これまでの2030年から2035年まで延長。この間、2026年までにはBEVモデルの発表も行われる予定で、これは『ラグジュアリーアーバンSUV』という新セグメントを創出する期待の新型車になるという。
もちろんこのビヨンド100+戦略に対応して、クルーの本社やそれに併設される工場の近代化も、次世代の製品と従業員の未来を確保するにあたっては大切な課題だった。『ドリームファクトリー』と呼ばれるその新工場は、メインエントランスに併設されるデザインセンターを中心に、いずれも最新の設備を誇るもの。
当然のことながらそれは業界をリードするカーボンニュートラル認証施設であり、またベントレーとしては、これまでで最大規模の自己資金による投資を行って建設された。あらゆる意味でベントレーの将来を占うことができるニューモデル、新型フライングスパー・スピード。その走りはどれほどの進化を遂げているのだろうか。さっそく現地からのレポートをお届けしよう。
ベントレーというブランドが醸し出す独特な世界観
アリゾナの地でファーストコンタクトとなった新型フライングスパー・スピードは、やはりそれを目にした瞬間から、ベントレーというブランドが醸し出す独特な世界観に引き込まれる造形に魅了されるモデルだった。印象的なのはボンネットから前後のドアを経てリアフェンダーへと至るシャープなラインの構成で、とりわけリアフェンダーと22インチ径タイヤのコンビネーションには、フットワークの力強さが巧みに演出されている。
ベントレーのスタッフは、この新型フライングスパー・スピードを『4ドアスーパースポーツ』という言葉で例えてみせたが、スペックシートに記載された数字を見れば、その表現もあながち大げさなものではないことが想像できる。
これまで高性能な6L W型12気筒ツインターボエンジンをフラッグシップモデルに搭載してきたフライングスパー・スピードだが、今回それは4LのV型8気筒ツインターボにエレクトリックモーターを組み合わせたPHEVの『ウルトラパフォーマンスハイブリッド』に変更された。
システム全体の最高出力である782psはW12のスペックと比較して19%、最大トルクの1000Nmは同様の比較で11%の強化という結果になる。バッテリーの搭載量は25.9kWhで、最大76kmのEV走行を可能にする。組み合わせられるミッションは8速DCT。駆動方式は前後駆動力配分を常に最適値に制御するフルタイム4WDだ。
その雰囲気はまさに最高級サルーン
まずはドライブモードで『B』を選択しドライブを始める。バッテリーの充電量は100%であったため、グロスウエイトで3215kgにも達する重量級のサルーンではあるが、まずは190psの最高出力と450Nmの最大トルクを発揮するエレクトリックモーターによってスムーズに加速していく。その雰囲気はまさに最高級サルーンのそれだ。
車速が140km/hに達するか、アクセル開度が75%を超えるとV8ツインターボエンジンも始動し、ここからは文字通り4ドアスーパースポーツの走りが楽しめる。シャシーバランスは優れており、アクティブトルクベクタリング付きの電子制御LSD、ツインバルブダンパーを備えるダイナミックライドコントロールによる制御もまた巧みだ。ステアリングは『B』モード、あるいは『コンフォート』モードではセンター付近にややダルな領域を感じるものの、『スポーツ』モードではその印象も薄くなる。常に正確で俊敏なハンドリングが楽しめるのだ。
走行可能距離は829km
テストドライブのルートには、ハイウエイからワインディングロードまで、さまざまなシチュエーションが用意されていたが、その中で印象的だったのは下り坂やブレーキング時に運動エネルギーを電力に変換し再びバッテリーに蓄える、いわゆるエネルギー回生の巧みな制御だった。
新型フライングスパー・スピードではさらに、低負荷時のハイウエイではコースティング機能、すなわちエンジンの回転をストップし空走状態とする制御も加わるため、その燃費性能は前で触れたパフォーマンスから想像する以上に高い。ベントレーが発表したデータによれば、そのトータルレンジ(走行可能距離)は829km。今回は500kmほどのルートを試乗してみたが、確かにドライブを終えた時に見た燃料計は、まだかなりの余裕を残していた。
リアシートの快適さは、もちろんフライングスパー・スピードが誇る大きな特長だ。ルーフラインがやや後方に向かって傾いているため、外観からはヘッドクリアランスの余裕に一抹の不安を感じたのだが、実際にリアシートに着席してみれば、フットスペースとともに空間の余裕は十分に得られていることが確認できた。
そして何よりの嬉しさは、ドライバーやパッセンジャーを包み込む柔らかく高級な素材で統一されたインテリアのフィニッシュだろう。試乗車にはさらにオプションでツインのブラインドを備えるパノラミックグラス&サンルーフやウェルネスシートなども装備され、キャビンはまさに贅沢の極致ともいえる仕上がりだった。7210ユーロのオプションという、Naim製のオーディオシステムのサウンドを楽しむことを忘れてしまったのは残念だったが。
新型フライングスパー・スピードは、間違いなくスーパースポーツ級の速さを持ち合わせる、そして世界最高級のクオリティで仕上げられた4ドアサルーンだ。はたしてそれにさらなる改善の余地はあるのか。その答えはどれだけ考えても見つけることはできなかった。
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