現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 異色タッグの実現性は? 日産・ホンダが協業検討 新興勢の台頭が破壊する企業文化の壁

ここから本文です

異色タッグの実現性は? 日産・ホンダが協業検討 新興勢の台頭が破壊する企業文化の壁

掲載 13
異色タッグの実現性は? 日産・ホンダが協業検討 新興勢の台頭が破壊する企業文化の壁

日産自動車とホンダが電動車や自動運転・先進運転支援システム(ADAS)領域などでの協業を検討することで合意したのは、比亜迪(BYD)やテスラなどの新興自動車メーカーの台頭に大きな危機感を抱いているからだ。日産の内田誠社長は「新興自動車メーカーは革新的な商品とビジネスモデルで参入し、圧倒的な価格競争力とスピードで市場を席巻しようとしている。これまでの常識に縛られたやり方では、到底太刀打ちできない」と述べ、両社が連携することで新たな価値を早期に創出していく決意を示した。

ホンダの三部敏宏社長も「2030年の断面で見て(ホンダは)トップランナーでいたいし、トップグループとして戦うためには(他社との)シナジー効果による価値とスケールメリットが重要」と述べ、日産との協業で競争力を強化する姿勢を示した。

日産とホンダが協業を検討、EVやソフト領域のスケールメリット追求し反転攻勢へ

創業90周年の歴史を持ち、ルノーとの資本提携で外資のようなイメージの強い日産と、若いユーザーが多く、国内四輪車最後発のホンダという、社風が大きく異なる2社の協業が実現すれば異色の組み合わせとなる。三部社長は「日産の知能化やeアクスルの技術はホンダと親和性が高い。壁を乗り越えればシナジーを最大化できる」としている。日産の内田社長は「目的が一緒なら、文化の違いを乗り越えられる」と協業に自信を示す。

両社が当面、協業を検討するのは、電気自動車(EV)の駆動用リチウムイオン電池と駆動用モーターシステム「eアクスル」といったコアコンポーネントと車載ソフトウエアプラットフォーム、商品の相互補完の3点。このうち、EVのコアコンポーネントはEVのコストを大きく左右するキーデバイスだ。eアクスルや車載用電池を両社で統合すれば、量産効果や購買力の強化によるコスト低減が見込める。特にホンダは日産が開発中のeアクスルに発電機と増速機を統合し、コストを3割低減できる「5イン1」などに強い興味を持っているもよう。

また、多くの自動車メーカーが次世代車についてソフトウエアが性能を決めるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)への移行を検討しているが、自動車メーカーはハードウエア中心だったこともあり、ソフトウエア開発力は遅れている。ホンダはSDV開発を強化するため、ソフトウエア領域に強いSCSKと提携している。日産はソフトウエア開発者を4000人に増やす計画で、ソフトウエアの内製を進める。両社がSDVのベースとなるソフトウエアプラットフォームを共通化することでソフトウエア開発のコストダウンや開発期間を大幅に短縮できることが見込まれる。

テスラやBYDなどの新興自動車メーカーは車載半導体の設計や車載ソフトウエアの開発を自ら手がけている。特にBYDなどの中国の自動車メーカーがEVの販売を大幅に伸ばしているのは、ソフトウエアを活用して短い期間で開発した新型車を相次いで投入しているからだ。ソフトウエア開発で中国の新興勢力に遅れている危機感が、ホンダと日産という異色のタッグを実現するかもしれない。

両社が協業の検討を開始したのは今年1月中旬からで、両社のトップ同士が数回議論して、互いに協業の効果が見込めるとの判断から短期間で検討の覚書を締結した。それだけ新興勢力の台頭に両社トップが焦っていたと見られる。

 両社は今後、協業を検討する3分野についてのワーキンググループを複数設けて、具体的な協業内容、シナジーについて検討するが「短期間でできることをやっていきたい」(三部社長)と、時間をかけずに具体化していく方針。内田社長も「過去のやり方では成長につながらない。時間がないことの共通認識は持っており、持続的な成長につながることをやっていきたい」という。

3月15日に都内で開いた協業検討合意の記者会見の終了後、三部社長、内田社長は提携の記者会見で恒例となっている握手しての写真撮影に応じなかった。今回が「協業の検討」であって、実際に協業を決めたわけではないためとしている。協業は短時間に結論を出すとしても「慎重」に検討する現れとも見られる。異色のタッグは実現するのか、数カ月先に判明する見込みだ。

(編集委員 野元政宏)

こんな記事も読まれています

リカルド予選18番手「感触は良くなったが、タイムが向上しない。新パーツへの理解を深める必要がある」/F1第10戦
リカルド予選18番手「感触は良くなったが、タイムが向上しない。新パーツへの理解を深める必要がある」/F1第10戦
AUTOSPORT web
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGO 決勝
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGO 決勝
AUTOSPORT web
940万円のホンダ「プレリュード」出現!? 5速MT搭載の「スペシャリティモデル」がスゴい! 23年落ちなのになぜ「新車価格」超えた? “極上車”が米で高額落札
940万円のホンダ「プレリュード」出現!? 5速MT搭載の「スペシャリティモデル」がスゴい! 23年落ちなのになぜ「新車価格」超えた? “極上車”が米で高額落札
くるまのニュース
HKSファンなら愛車にペタリ…HKSがロゴステッカー4種類を発売
HKSファンなら愛車にペタリ…HKSがロゴステッカー4種類を発売
レスポンス
乗用車じゃ当たり前の技術ハイブリッド! 大型トラックはいまだ「プロフィア」だけなのはナゼ?
乗用車じゃ当たり前の技術ハイブリッド! 大型トラックはいまだ「プロフィア」だけなのはナゼ?
WEB CARTOP
江戸は「坂」の多い町 物資を運ぶ苦労は並大抵ではなかった!
江戸は「坂」の多い町 物資を運ぶ苦労は並大抵ではなかった!
Merkmal
雨の第3戦SUGOは安全面を考慮し赤旗終了。近藤真彦会長「最後までレースができなかったことをお詫びします」
雨の第3戦SUGOは安全面を考慮し赤旗終了。近藤真彦会長「最後までレースができなかったことをお詫びします」
AUTOSPORT web
高速道路上に「なかったはずのトンネル」が出現!? 風景がめちゃくちゃ変わる大工事 これからスゴイことに!?
高速道路上に「なかったはずのトンネル」が出現!? 風景がめちゃくちゃ変わる大工事 これからスゴイことに!?
乗りものニュース
トヨタが手がけたホンキのアソビグルマ──新型クラウン・クロスオーバーRS“ランドスケープ”試乗記
トヨタが手がけたホンキのアソビグルマ──新型クラウン・クロスオーバーRS“ランドスケープ”試乗記
GQ JAPAN
野尻智紀&岩佐歩夢のコンビでSF王座争いリードするTEAM MUGEN。しかし現状には満足せず「安定感が足らない」
野尻智紀&岩佐歩夢のコンビでSF王座争いリードするTEAM MUGEN。しかし現状には満足せず「安定感が足らない」
motorsport.com 日本版
ハミルトンが予選3番手、PPと0.3秒差「実際にはそれほど差はないはず。優勝争いに加わりたい」メルセデス/F1第10戦
ハミルトンが予選3番手、PPと0.3秒差「実際にはそれほど差はないはず。優勝争いに加わりたい」メルセデス/F1第10戦
AUTOSPORT web
アルピーヌF1、カルロス・サインツJr.争奪戦に名乗り! 新加入ブリアトーレが早速動いた!?
アルピーヌF1、カルロス・サインツJr.争奪戦に名乗り! 新加入ブリアトーレが早速動いた!?
motorsport.com 日本版
「5ナンバー車」かと思ったら「7ナンバー」だったのですが… 分類番号700番台はレア? どんな車につくのか
「5ナンバー車」かと思ったら「7ナンバー」だったのですが… 分類番号700番台はレア? どんな車につくのか
乗りものニュース
「あなたはやってる?」 乗車前の「推奨行為」ってナニ? 教習所で教わるもやってる人は少ない安全確認とは
「あなたはやってる?」 乗車前の「推奨行為」ってナニ? 教習所で教わるもやってる人は少ない安全確認とは
くるまのニュース
「英国最大のバイクブランド」がスイスの高級時計メーカーと再コラボ! 世界270台限定!! 「特別なスポーツバイク」は何が魅力?
「英国最大のバイクブランド」がスイスの高級時計メーカーと再コラボ! 世界270台限定!! 「特別なスポーツバイク」は何が魅力?
VAGUE
F1分析|ラッセルに抑えられなければ勝機はあった……悔やむノリス。F1スペインGPの上位ふたりのレースペースを検証する
F1分析|ラッセルに抑えられなければ勝機はあった……悔やむノリス。F1スペインGPの上位ふたりのレースペースを検証する
motorsport.com 日本版
[サウンド制御術・実践講座]タイムアライメントでは正確な距離測定と音量バランス設定が成功の鍵!
[サウンド制御術・実践講座]タイムアライメントでは正確な距離測定と音量バランス設定が成功の鍵!
レスポンス
ハースVSマゼピン後援ウラルカリ、20億円規模のF1スポンサー契約めぐる法廷闘争がついに終了……? どちらも勝訴を主張
ハースVSマゼピン後援ウラルカリ、20億円規模のF1スポンサー契約めぐる法廷闘争がついに終了……? どちらも勝訴を主張
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

13件
  • yousan yousan
    かつて北九州市の戸畑鋳物から始まった日産コンツェルンには日立製作所が含まれていた。創業者の鮎川氏はM&A、多角化を日本で最初に推し進めた人物であり、満州国のリーダーの一人としてもよく知られている。日産コンツェルンは鮎川氏一代で三井・三菱財閥を脅かすほどの勢いと政治力を有していた。先にホンダと業務提携を結んだSONYは鮎川氏の支援を受けて創設したとも言われている。ホンダが日立アステモと手を組んだことも日産との協業に結びついたとも考えられる。
    日産よりホンダの方が上と考える人もいるかもしれないが歴史を鑑みるとそうとも言えない。
    かつて鮎川氏はヒトラーと接見し、道を造ることの重要性を説かれたという。鮎川氏は戦後、鉄道や道路・人材教育に力を入れたと言われる。交差点で出会した日産とホンダは果たして同じ道を進むのだろうか?
  • mad********
    企業文化の違いをどう乗り越えるのか?との違いに対する
    両社の回答を聞いて呆れた。
    ニッサン側は「乗り越えることが前提になりますけど、どうたらこうたら」
    ホンダ側は「乗り越えた先には、どうたらこうたら」

    質問されたことに答えたくないなら、そう言えばいい。
    それができない経営者の下で働く従業員とか下請けとかの将来は真っ暗?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村