SUBARU及び同社のモータースポーツ統括会社スバルテクニカインターナショナル(STI)は2月22日、2021年のモータースポーツ活動計画について発表。スーパーGTのGT300クラスに新型BRZを投入して参戦することを改めて明らかにした。同日に行なわれたライブ配信では、新型BRZに隠されたこだわりの一端が垣間見えた。
この日富士スピードウェイでは、新型BRZのシェイクダウンが実施されており、その様子もファンに向けて配信された。61号車SUBARU BRZ R&D SPORTのドライバーとして長年チームを支える井口卓人はその中でインタビューに応えたが、そこで見せた持ち前の明るい表情は、新型BRZの仕上がりの良さを感じさせた。
■SUBARU、2021年スーパーGT参戦体制を発表。”コーナリング”マシンで王座獲得を目指す
「けっこう順調です。環境もすごくいいので色々と試せていますし、いいんじゃないかなと思います」
昨年の61号車BRZは第7戦もてぎでのポールポジションをはじめ随所で速さを見せ、優勝を狙えるポテンシャルがあることを見せつけたが、レースではセーフティカーなどの不確定要素にも悩まされ未勝利。タイトルも逃す形となった。そういったこともあり、新型BRZで臨む2021年シーズンへの思いは強いようだ。
「去年はセーフティカーなどの影響で自分たちの思ったレースができなかったので、どうしようもない事とはいえ、悔いの残る結果となりました。チームが速いクルマを作り上げたにも関わらず、結果が残らなかったというもどかしさもあったので、このクルマにはものすごい愛情が注がれていて、良い部分がすごく出ています。運も手繰り寄せながら結果に繋げたいですよね」
今回明らかになった新型BRZの2021年版カラーリングは、昨年から配色が変更されており、そのボディ形状と相まって見目麗しいものとなっている。それは井口本人も「かっこ良すぎません?(笑)」と自画自賛するほどで、ドライバーのさらなるモチベーションに繋がっているようだ。
もちろん、BRZが進化したのはその容貌だけではない。ドライバビリティを向上させるため、内装でいくつかの変更があったようだ。井口は次のように語る。
「シートを自分の身体にフィットするような形にすることができました。僕の身長が低い分、新たにパッドを入れないといけなくなったのでピット作業は少し大変になりますが、乗りやすい状態で乗れるようになったのはドライバーとして嬉しいです」
「僕とチームメイトの山内(英輝)選手は身長差が5cmほどありますが、去年は同じドライビングポジションで走っていました。彼も我慢していたでしょうし、僕も妥協して我慢していた部分もありましたが、今回シートをイチから作るということで、ふたり共良い状態のシートを追求することができました」
「センターのディスプレイも分かりやすくなりました。画面が大きくなったことで情報が分かりやすくなりましたし、位置も話し合いながら調整していきました。文字の色も変えられますが、カラフルにすると見にくいことが分かったのでほぼ単色に落ち着きました(笑)」
レース中、迅速かつ効率的に情報を得る上で、ディスプレイの機能性の確保は不可欠。このディスプレイを含めた内装に関して、今季からチーム総監督を務める小澤正弘が解説した。
「ドライバーが快適な形で全てのインフォメーションを確認できるようにする、というのがやはり重要なので、今回新型車両を作るにあたって、そういった部分にはこだわっています」
「ステアリングのスイッチひとつにしても、ドライバーがグローブをしていてもスイッチが入ったことが分かるようなクリック感が大事です。それがないと、押したつもりが押せていなかった、ということが起こりますから」
「あとはディスプレイを大きくしてより多くの情報を得られるようにしたのと、センターパネルのスイッチの場所を自由に割り付けて変えられるようにしたりと、利便性を高めて操作のミスが少なくなるようなものに変更しました」
そう語った小澤総監督。新型車両にスイッチするタイミングだからこそ出来ることがたくさんあるという。
「特にハーネス類は車両の中を全部通っているので、クルマを最初に作る時にやるのが一番良いんですよ。今回は電装系の設計も大きく変えました。これまでトラブルの多かった部分をトラブルがないように、仮にどこかでトラブルが起きてもその他の部分には影響を与えず最後まで走れるように、という感じですね」
進化を遂げた新型BRZがどんな活躍を見せるのかにも注目が集まるGT300クラス。2021年のスーパーGTは3月に岡山国際サーキットと富士スピードウェイで2度の公式テストを行なった後、4月10日、11日に岡山で開幕戦が開催される。
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