特徴的な本格四輪駆動をチョイス
毎年恒例、日本自動車輸入組合(JAIA)が主催する輸入ブランド車の試乗会に参加した。主に自動車関連のメディアやジャーナリストなど報道陣向けに実施するものだ。
【画像】比較試乗「ジープ・ラングラー・ルビコン4xe」/「ランドローバー・ディフェンダー130 アウトバウンドD300」と各車両の写真をみる 全106枚
今年は、ドイツ/フランス/イタリア/英国/アメリカ/韓国/中国のブランドから合計62台が揃った。
その中から、ジープ「ラングラー・ルビコン4xe」とランドローバー「ディフェンダー130 アウトバウンドD300」という本格四駆をチョイスして走り味を比較してみた。
できれば悪路での走破性をじっくりと比べてみたいところだが、今回は1枠80分間の舗装路面での試乗という条件であることをご承知頂きたい。
比較の結果を先に言ってしまうと、外観の見た目や、商品に対するユーザーのイメージと、実車の走行感には”それなりの差”を感じた。この”それなりの差”とは、けっしてネガティブな要因ではなく、新たなる気づきというようなワクワクする気持ちという意味である。
今回は、悪路での本領発揮という走行ステージではないのだが、それでも2モデルそれぞれの商品の魅力がダイレクトに感じられ、かつ2モデルの商品性がはっきりと違うことを改めて確認することができた。
ジープらしさ、さらに乗りやすく
では、ジープ「ラングラー・ルビコン4xe」から見ていこう。
ボディ寸法は、全長4870mmx全幅1930mmx全高1855mm。こうした数値だけ見れば、近年大型化が進む国内外のSUVのなかでは、けっして「大き過ぎる」という印象はない。
だが、やはりラングラーのエクステリアデザインは独自性が極めて強く、実寸法よりも大きな存在感がある。左ハンドル車である試乗車に乗り込むと、車内の雰囲気は新世代ジープを直感する。
走り出す前の心境としては「一体どんな走りなのか?」と走りが想像できない人も少なくないのではないだろうか。なぜならば、車両重量2350kgという巨体に対して、パワートレインが直列4気筒DOHCターボ・排気量1995ccのプラグインハイブリッド車という組み合わせだからだ。
ところが、走行に入ると、一般路/有料道路/山間部の道などでの走りで物足りないと思うシチュエーションはなかった。
また、EVモードで走行中にエンジンが始動する場面でも、ラングラーというモデルの走り味とミスマッチするような雰囲気はなく、ドライバーとして自然に受け入れることができた。
食わず嫌いは後悔する?
ハンドリングは、欧州車や日本車と比べるとパワーステアリングのフィーリングは軽めだが、プラットフォームの一体感がしっかり分かるため、走りの先読みができて走りやすい。
改めて言うと、ラングラーは現世代になってから、操縦安定性と取り回し易さが一気に向上している。土台がかっちりし、サスペンションがしっかり動くことで、容量がある程度大きなバッテリーを搭載するプラグインハイブリッドになっても、走りの良さが実感できるのだ。
筆者は80年代からアメリカでの生活の中で、これまでジープ・ブランドの各種モデルを試乗し、またジープの経営母体が変わる度にアメリカのエンジニアやマーケティング担当者からジープが目指す世界観についてレクチャーを受けてきた。
そうした中で、直近の電動化戦略「4xe」に対するインパクトが極めて大きかった。
2022年の発表では、2030年には全てのモデルに電気自動車(EV)を導入するとしている。ジープの電動化、いまだに食わず嫌いの方もいると思うが、是非一度、その走りを味わってジープの未来を感じ取って欲しい。
そんなジープでの走りが身体に染み込んだ後、ディフェンダー130 アウトバウンドD300に乗り込んだ。すると…
こんなに気軽に乗れるのか?
なにせ、ディフェンダー130 アウトバウンドD300は、見た目のインパクトが極めて強いものだからこちらも自然と身構えてしまう。
ランドローバー・ブランドの中でも、現行ディフェンダーのエクステリアデザインの独自性が強く、その魅力に惹かれて他ブランドからディフェンダーに乗り換えた人も少なくない。
特に、今回の試乗モデルは車体後部に強靭さを示すデザインを施している。
全長5275mmx全幅1995mmx全高1970mmと、ルビコン4xeと比べてひとまわりボディサイズが大きいのだが、走行感としてはルピコン4xeと同等、またはそれ以上に取り回しが楽なのだ。
直列6気筒DOHCターボ・排気量2993ccで車重は2610kgだが、クルマの動きに重ったるさはまったくなく、扱いやすいSUVという感覚だ。
その上で、ダッシュボードのディスプレイで四駆性能に関するセッティングを見ると、まさに本格四駆であることがしっかりと分かる。オンロードの走りのように、悪路でも扱いやすいことが十分に想像できる1台だ。
このように、今回試乗した2モデルは「見るからに本格四駆」という風貌に反して普段使いは楽だが、ブランドの設計思想は明確に異なる。
試乗車のスペック
ジープ・ラングラー・ルビコン4xe
価格:1030万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4870×1930×1855mm
燃料消費率:8.6km/L(WLTC)
駆動方式:4WD
車両重量:2350kg
パワートレイン:直列4気筒DOHC 1955cc+ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:272ps/5250rpm
最大トルク:40.8kg-m/3000rpm
パワートレイン:P1モーター 交流同期電動機
最高出力:63ps
最大トルク:5.5kg-m
パワートレイン:P2モーター 交流同期電動機
最高出力:145ps
最大トルク:26.0kg-m
動力用主電池:リチウムイオン
電圧:3.7(V)
容量:49.5(Ah)
総電力量:15.46(kWh)
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:255/75R/17(フロント)255/75R/17(リア)
ランドローバー・ディフェンダー130 アウトバウンドD300
価格:1196万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:5358×2008×1970mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:7.5秒
駆動方式:4WD
車両重量:2687kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc+ターボ
使用燃料:軽油
最高出力:300ps/4000rpm
最大トルク:66.28kg-m/1500~2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:255/60R/20(フロント)255/60R/20(リア)
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