現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 世界が電動化へ「まっしぐら」の中なぜ逆行! ホンダが「クラリティ」のEVを生産終了したワケ

ここから本文です

世界が電動化へ「まっしぐら」の中なぜ逆行! ホンダが「クラリティ」のEVを生産終了したワケ

掲載 更新 27
世界が電動化へ「まっしぐら」の中なぜ逆行! ホンダが「クラリティ」のEVを生産終了したワケ

 クラリティ3兄弟の末弟として北米のみで販売されていた

 ホンダから登場した電気自動車「Honda e」が好調だ。もともと年間の販売計画が1000台と控えめなこともあるが、先行予約が始まって早々に同車の公式サイトには『注文受付数が第一期の販売予定台数に達したため、ただいまご注文を一時停止させて頂いております。』という注意書きが出るほど注目を集めている。

かつてのホンダは凄かった! 踏めば脳天まで痺れる「エンジンのホンダ」を感じさせる名車5選

 さて、その陰で、ひっそりと販売を終了したホンダの電気自動車があるのをご存じだろうか。それが北米専売といえる電気自動車「クラリティ・エレクトリック」だ。

 日本では「クラリティFUEL CELL(水素燃料電池車)」、「クラリティPHEV(プラグインハイブリッド車)」というパワートレインの異なる環境対応モデルとして販売されいているが、その兄弟分として北米では「クラリティ・エレクトリック」というモデルが販売されていたのだ。燃料電池車とプラグインハイブリッド車という電動車両と基本設計を同じくする電気自動車というのが基本コンセプトで、事実上の北米専売モデルながらじつは日本製。生産性の効率化を考えた電動車3兄弟の末弟といえる存在だった。

 このクラリティ・エレクトリック、テストコースで試乗したことがある。エンジンを搭載することを前提としたフロントベイのため、ボンネットを開けるとスカスカなのはパッケージとしての無駄を感じたが、商品コンセプトからすればそれは仕方ないことだ。

 それよりも気になったのはパフォーマンスの違いで、バッテリーの性能や航続距離を稼ぐセッティングによって、燃料電池車、プラグインハイブリッド車に対して加速が鈍く、電気自動車らしい鋭いダッシュが味わえないという印象もあった。25.5kWhという控えめなバッテリー総電力量から高出力にするのは難しいのは理解できても、もっとキビキビ感があれば商品性も高まるのでは?と感じた記憶がある。

 さらにいえば、アコードクラスのボディながら、近距離ユースをメインターゲットにするという設計思想は若干ちぐはぐ感のあるもので、航続可能距離も143km(北米でのスペック)というのは、あまりにも寂しいものだった。“街乗りベスト”を目指したというHonda eでさえ35.5kWhものバッテリーを積んで、WLTCモードで283kmの航続距離を誇っているのだ。クラリティ・エレクトリックを商品企画として考えたタイミングでのトレンドから市場は大きく離れてしまった。

 現在のニーズを考慮するとEVよりもHVのほうがベストと判断

 また、現在のトランプ政権下ではゼロエミッションへのインセンティブがそれほど大きくないため、北米での電気自動車ニーズが低い傾向にあるともいう。クラリティ・エレクトリックの販売終了についてホンダに取材したところ、現在の北米市場におけるインフラ整備や自動車ニーズを考えると、普及という観点からはハイブリッドが最適だという回答を得ることができた。

 逆に、Honda eのメインターゲットが欧州になっているように、EU圏では政策的にCO2排出量への制限が厳しくなり、電気自動車をリリースしなければビジネスとしての持続可能性がなくなるという状況に応じるためともいえる。

 北米向けのクラリティ・エレクトリックが生産終了となったのを受けるタイミングで、Honda eの生産が始まったというのは、国や地域によって異なる法規制やニーズに最適化した商品ラインアップを用意するというグローバル企業らしい判断というわけだ。

 ともあれ、いずれにしても燃料電池車、プラグインハイブリッド車と共通ボディで作る電気自動車というユニークな出自の「クラリティ・エレクトリック」は生産終了した。バッテリーの寿命を考えると、電気自動車をコレクターズアイテムとするのは難しい面もあるが、はたしてアメリカのマニアはクラリティ・エレクトリックを大事に乗っていくのだろうか。

こんな記事も読まれています

昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
ベストカーWeb
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
ベストカーWeb
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
Auto Messe Web
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
motorsport.com 日本版
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
カー・アンド・ドライバー
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
グーネット
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
グーネット
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
グーネット
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
AUTOCAR JAPAN
3時間で争われるスーパーGT第2戦富士の持ち込みタイヤ数と義務ピット回数が発表。モラルハザードは1名が適用
3時間で争われるスーパーGT第2戦富士の持ち込みタイヤ数と義務ピット回数が発表。モラルハザードは1名が適用
AUTOSPORT web
F1、2025年に向けてポイントシステム変更を検討。12位まで対象を拡大か
F1、2025年に向けてポイントシステム変更を検討。12位まで対象を拡大か
AUTOSPORT web
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
くるまのニュース
急拡大! BYDの高級車ブランド「方程豹」 無骨SUV&華麗スポーツカー発表
急拡大! BYDの高級車ブランド「方程豹」 無骨SUV&華麗スポーツカー発表
AUTOCAR JAPAN
約20年ぶりのBTCCフル参戦に臨む元世界王者ロブ・ハフ「カローラはかなり快適だ。でも忙しいね!」
約20年ぶりのBTCCフル参戦に臨む元世界王者ロブ・ハフ「カローラはかなり快適だ。でも忙しいね!」
AUTOSPORT web
アウディの電動SUV『Q6 e-tron』に105mm長い「L」
アウディの電動SUV『Q6 e-tron』に105mm長い「L」
レスポンス
においを出すSUVだと…? ホンダの新SUVは至れり尽くせり? 中国でEV攻勢へ
においを出すSUVだと…? ホンダの新SUVは至れり尽くせり? 中国でEV攻勢へ
乗りものニュース
「市販します」トヨタのEV“bZ”シリーズ新型2車種 Z世代向け&ファミリー向け スタイルはっきり分ける
「市販します」トヨタのEV“bZ”シリーズ新型2車種 Z世代向け&ファミリー向け スタイルはっきり分ける
乗りものニュース
三菱「新型“精悍”コンパクトSUV」発表! 斬新マスクがカッコイイ! 新型「ASX」マイチェン版 欧州で発売へ
三菱「新型“精悍”コンパクトSUV」発表! 斬新マスクがカッコイイ! 新型「ASX」マイチェン版 欧州で発売へ
くるまのニュース

みんなのコメント

27件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
クラリティPHEVの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村