アルピーヌのWEC世界耐久選手権におけるフルタイムドライバーへと昇格したジュール・グーノンは、これによって彼自身のメルセデスAMGにおけるレーススケジュールがより軽くなると述べており、ふたつのブランドにまたがって活動するためには「妥協」が必要になると見込んでいる。
30歳のグーノンは1年間、アルピーヌA424のリザーブドライバーを務めた後、2025年に向けては正ドライバーに加わることが11月に発表された。
「グッドスマイルの復帰を願っていた」とメルセデスAMG責任者。3週連続24時間レースには「胸を痛める」
アルピーヌでの新たな関与の増加に加えて、グーノンは2021年から務めているメルセデスAMGのファクトリードライバーとしての任務も継続する予定だ。このアンドラ人は2023年シーズンを前に3年間の契約延長に署名しており、その契約は2025年末に期限を迎えることになる。
グーノンは、ふたつのメーカーで同時にファクトリーレベルの関与を引き受けるには「妥協」が必要になると述べ、WECでのアルピーヌの活動もあって、メルセデスAMGへの関与を縮小する予定であることを示唆した。
「もちろん、アルピーヌにフルタイムで参加できて、とてもうれしい」とグーノンはSportscar365に語った。
「アルピーヌが持つ競争力のあるマシンで、ハイパーカークラスでWECを走ることが常に僕の目標だった」
「彼らは常に進歩しているので、本当に素晴らしい気分だ。AMGとアルピーヌの両ブランドが協力して最善の妥協点を見つけようとしてくれたことに、感謝しなければならない。両方のプログラムの間には妥協点があるからだ」
「だから、AMGでは間違いなく軽いプログラムになるだろうが、ブランドの大きな目標にもっと重点を置く。まだ言えないが、AMGとの素晴らしいプログラムが控えているんだ」
「だから、プロトタイプの夢をかなえさせてくれ、同時にGTでベストを尽くさせてくれたAMGには、とても感謝している。毎週末もっと一生懸命働いてベストを尽くすことで、自分が働いている両ブランドに報いることができるよう、努力するつもりだ」
■「もっとも重要なレース」にはメルセデスAMGで出場へ
Sportscar365がグーノンの2025年の参戦計画について問い合わせたところ、メルセデスAMGの広報担当者は、同ブランドのカスタマー レーシング責任者であるステファン・ウェンドルの次の声明を発表した。
「2025年もジュールはメルセデスAMGパフォーマンス・ドライバーであるが、アルピーヌのプログラムに彼を参加させた」とウェンドル。
「LMDh車両でル・マン24時間レースに勝つことは、彼の個人的な願いであり、このスポーツにおける目標でもある」
「我々は彼のスケジュールを検討し、まず最初に、我々の観点からもっとも重要なレースにおいて、彼がメルセデスAMGで参加できるようにした」
「もちろん、これはシーズン中ずっと進行するプロセスだが、この点についてはジュールとアルピーヌと非常に良好な関係を築いている」
「彼がこれまでと同じように、引き続き我々をサポートしながら夢を実現することができれば、我々はとてもうれしく思う」
2024年、グーノンはGTワールドチャレンジ・ヨーロッパにフル参戦し、スプリントとエンデュランスの両カップでレースをし、インターコンチネンタルGTチャレンジ、NLSニュルブルクリンク耐久シリーズ、そしてFIA GTワールドカップに出場した。また、DTMドイツ・ツーリグングカー選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に、それぞれ一度だけ出場している。
また、2024年はアルピーヌのリザーブドライバー契約により、イモラとスパで負傷したフェルディナンド・ハプスブルクの代役に抜擢されたことで、予期せずGTアジアの2ラウンドを欠場することになっていた。
「ブルーノ(・ファミン/アルピーヌのモータースポーツ担当副社長)とステファン・ウェンドルは連絡を取り合っており、一緒にプログラムなどについて話し合っている。ふたりの間には、素晴らしい関係がある」とグーノンは説明する。
「もちろん、アルピーヌは現在メルセデスのF1エンジンにも取り組んでいるので、ふたつのブランドの間には素晴らしいつながりがある」
「もちろん、双方が妥協を受け入れる必要がある」
「もう一度、アルピーヌ側のブルーノ・ファミン、ニコラ・ラピエール(チームのスポーツ・ディレクター)が努力してくれたこと、そしてAMG側のクリス・セグミュラー(AMGモータースポーツ代表)とステファン・ウェンドルが、僕にこれを許してくれたことにとても感謝している」
グーノンは、アルピーヌのフルタイムドライバー陣に加わる機会を得たことへの感謝を改めて表明した。これにより、彼は父ジャン・マルクの足跡をたどり、ル・マン24時間レースのトップクラスで戦うことができる。
「常に期待はあるよ」とグーノン。
「大きな夢を持たなければ、何も達成できない。だが、ドライバーとしての僕は、本物のシングルシーターに乗ったことはない。1年間F4に出場したといっても、(強大な)ダウンフォースを経験したことがなく、プロトタイプを運転したこともなかったので、ハイパーカーを運転できる可能性はかなり低かった」
「だけど、ブルーノ、フィリップ・シノー(シグナテック代表)、ニコラ・ラピエールは当時、常に僕に注目してくれていたと思う。彼らは僕に、プロトタイプをテストする機会を与えてくれた。それは、とてもうまくいった」
「残すは、ステップ・バイ・ステップで歩む歴史となる。ともに良い一年を過ごし、大きなことを達成できることを、心から願っている」
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