独フォルクスワーゲンは、EV専門のサブブランド「ID.」初の市販車となる「ID.3」を、9月10日に開幕するフランクフルトモーターショーで世界初披露すると発表した。
EV専用プラットフォーム「MEB」をベースとするID.3は、「ゴルフ」と同じく5ドアハッチバックのボディを持つフルEV。これまでにプロトタイプが度々スクープされており、5月にはデビューを記念した特別限定車「ファースト・エディション」の先行予約も行われているが、いよいよプロダクションモデルのワールドプレミアまで1週間あまりとなった。
既報のとおり、バッテリー容量は77kWh、58kWh、45kWhの3サイズが選択可能とされ、航続距離は最小の45kWhでも330km、最大の77kWhでは550kmに達するという。さらに、100kWの急速充電を使えば、30分で充電ゼロの状態から290kmの走行が可能なレベルまでチャージできるとのことだから、ロングドライブも難なくこなせそうだ。バッテリーの劣化を心配する声に応え、8年または16万kmの充電容量保証も付帯する。
こうした高い実用性を確保しながら、ドイツ本国では30,000ユーロ(約350万円)を切る価格設定としたこともアピールポイントで、さすがはフォルクスワーゲンといえるだろう。また、欧州で利用できる再生可能エネルギーによる充電システムを用いた場合、ID.3はカーボンニュートラルを達成するとのことだから、環境負荷の低さも折り紙付きだ。もちろん、EVならではの低重心と204馬力の高出力、さらにはRRの駆動方式もあいまって、ハイレベルなドライビングプレジャーも期待できる。
ID.3の生産は本年末から開始され、来年半ばには顧客へのデリバリーが始まる見込み。今後の展開拡大が予定されるID.シリーズの嚆矢というだけでなく、フォルクスワーゲンが「ビートル」と「ゴルフ」に続くブランドのマイルストーンと位置付けるだけに、全貌が明らかにされるショーの開幕が今から待ち遠しい。日本導入も期待したいところだ。
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