魅力は色褪せずいまだに現役のまま!
モータースポーツで活躍したベースマシンと聞くと、レースを有利に戦うために特別な装備が用意されたホモロゲ―ションモデルを思い浮かべるかもしれません。ですが、サンデーレーサーや入門カテゴリーで活躍した、コスト面やパーツの豊富さで参加者を支えた名車も多く存在します。
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今回はそんなモータースポーツの裾野を広げてくれたベースマシンの中から、それぞれの時代で活躍したモデルたちを紹介。長年愛され続けて、まだまだ現役というモデルも多数存在するから驚きです。
日産サニー(B110)
多くのレーシングドライバーを輩出した富士フレッシュマンレース(現・富士チャンピオンレース)。そこで行われていたTS1300という、1300cc以下のツーリングカーマシンで争われていたカテゴリーで大活躍をしていたのが、日産のB110サニーでした。
それまでこのクラスではカローラやパプリカといったトヨタ車が優勢だったものの、カローラよりも軽量でコンパクト、そして空力性能に優れたこのサニーの登場により戦況は大きく変わり、サニーの一強という時代へと移り変わります。1970年代から1980年代にかけて長きにわたり戦い、8回のシリーズチャンピオンに輝いていることが、その性能の高さはもちろん、多くのエントラントに愛されたことを示す何よりの証と言えるでしょう。
トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)
B110サニーに続いて愛されたベースマシンとして、トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)の存在は外すことができません。1983年に最後のFRレビン&トレノとして登場したAE86は、当時国内最高峰のツーリングカーカテゴリーである全日本ツーリングカー選手権へも参戦。そのほかサニーが活躍した富士フレッシュマンレースや、国内の地方ラリーやジムカーナと言った入門カテゴリーでも広く活躍していました。
流通台数やパーツの豊富さなどがベースマシンとしての人気の理由ですが、驚くのは現在でも現役バリバリというところ。それだけ現代でもパーツに困らないでレースができるというのも、AE86の魅力でしょう。現在でも富士チャンピオンレースでは、AE86の熱きドッグファイトを見ることができます。
ホンダ・シビック
東の富士スピードウェイでさまざまな入門カテゴリーが盛り上がっていたということは、当然西の鈴鹿サーキットでも盛り上がりを見せていたカテゴリーがありました。それは鈴鹿クラブマンレースで現在もFFチャレンジとして行われているシビックワンメイクレースです。
1981年から2代目SRシビックをベースにしたワンメイクレースを開催。以降1985年には3代目AT型、通称ワンダーシビックにマシンが移行し、さらにハイレベルな戦いに。グランドシビックこと4代目EF型が投入された1988年にはF1日本グランプリの前座レースとしても開催されました。現在でも鈴鹿サーキットやモビリティリゾートもてぎではシビックのワンメイクによるレースが開催されており、EG6やEK4、EK9といった90年代を彩ったシビックたちが熱きバトルを繰り広げています。
トヨタ・ヴィッツ
現代のモータースポーツの裾野を広げたベースマシンとして忘れてはいけないのが、トヨタから販売されていたコンパクトハッチバックのヴィッツです。ヴィッツのモータースポーツ界への大きな功績として挙げられるのが、2000年にスタートしたナンバー付きワンメイクレースのネッツカップヴィッツレース。
今では多くのカテゴリーがありますが、それまでナンバー付きの車両でレースをするということはあまりなく、ネッツカップヴィッツレースは「普段乗りから週末のレースまでコレ一台」を初めて実現。モータースポーツ参戦のハードルを低くしたカテゴリーでした。また、現在でも地方ラリーやダートトライアルなどで活躍しており、ランニングコストの安さとパーツの豊富さから愛されている1台です。
トヨタ86/スバルBRZ
先祖であるAE86がそうだったように、現代に蘇ったコンパクトFRスポーツであるトヨタ86と兄弟車のスバルBRZも、エントリーカテゴリーで愛される1台となっています。その最大の理由は久々に登場した手ごろなFRというところでしょう。
モータースポーツはやはりお金がかかるもの。それだけにベース車や日々のランニングコストは安く済ませておきたいものです。その点86/BRZは300万円代から狙えるのも魅力。さらにメーカー側も当初からモータースポーツでの使用を考え、さまざまなパーツ展開をしていたことがモータースポーツユーザーから支持されました。2代目となるGR86/BRZが登場した現在でも、初代86/BRZは地方ラリーやジムカーナではまだまだ現役バリバリです。
愛された車両たちはまだ戦い続けている
今回は入門カテゴリーを中心にベースマシンとして愛されたクルマたちをピックアップして紹介しました。入門カテゴリーではイニシャル&ランニングコストの低さが人気の理由となりますが、それを実現するのはタマ数と部品供給の多さです。これらが成り立っていれば、トラブルやクラッシュを恐れることなくガンガンアクセルを踏んでレースに挑戦できるという訳です(もちろんお金はかかりますが……)。
また、上記の条件が成り立っていたため、今回取り上げた旧車たちはいまだに現役でレースをしています。古き良き「ハコ」のレースを生で見たいのならば、各サーキットで行われている地方選手権をチェックしてみると面白いかもしれません。
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