■“「これナンcc?」おじさん”も驚愕のディーゼルプラグインハイブリッド
こんなクルマが似合う男になってみたい……。メルセデスベンツ「E350 de アバンギャルド スポーツ」の運転席に座ると、完全に自分がクルマに負けていると思えてなりません。
ヤマハ「VMAX」復活!? 米国ヤマハが予約開始 日本での販売は?
メルセデスベンツだとコンパクトなハッチバックがAクラスとBクラスで、その次のCクラスがセダンをはじめ、ステーションワゴンや2ドアクーペ、カブリオレもラインナップし、Eクラスはその上のミディアムなポジション。
ということくらいは、ぼんやりとイメージできますが、「E350」にはもうプレミアムなオーラが充分すぎるほどに漂っているではありませんか。恐る恐るお値段を聞くと、車体875万円(税込み)とのこと。さすがはベンツ、それでもミドルクラスという位置づけですから、やはり高級ブランドであることは間違いないようです。
何もわからないので、とりあえず「これ、ナンcc?」と聞いている自分が恥ずかしいかぎり。これではサービスエリアで観光バスから降りてきて、女子ライダーや凄そうなバイクを見て排気量を聞く「これナンccおじさん」と同じではありませんか!
エンジンはディーゼルプラグインハイブリッドで、直4ターボチャージャー付き2リッター。バイクにハイブリッドは「PCX」しかありませんが、エンジンに電動モーターを組み合わせていることぐらい知っていますとも。
ただし、従来はガソリンエンジンが主流でしたが、これはさらに経済性に優れるディーゼルエンジン。そして、プラグインは日本では初登場とのこと。プラグイン、つまり充電コードからバッテリーへのチャージが可能で、よりEVに近いということでしょう。
■この贅沢な空間と高い動力性能、バイクで言うならヤマハの「TMAX」か!?
さぁ「D」(ドライブ)に入れて発進と、左手でシフトレバーを探しますが、見つかりません。聞けば、最新ベンツではハンドル右にギアセレクターのレバーがあり、コンソール部に備わるのは「COMAND」システムのタッチパッド。ディスプレイを見ながら指で触ると、ナビなどいろいろなことの操作ができ、とても便利です。
ようやく走らせてみると、乗り心地がとても素晴らしく、トルクも強大。システム全体で700Nmもの最大トルクを発揮し、とてつもない心臓部の持ち主であることがわかります。ディーゼルエンジンは長距離でこそ威力を発揮しますから、このまま500kmくらいのドライブに出かけたら、さぞかし気持ちがいいでしょう。
内装が上質で、なんという贅沢な空間なのか。この高いコンフォート性、そして力強いエンジンと高い動力性能、バイクだとヨーロッパで爆発的ヒットを飛ばしたヤマハ「TMAX」シリーズが思いつきます。
見た目からスクーターと思われがちですが、スイングアームにパワーユニットが搭載されるスクーターとは違い、並列2気筒エンジンをアルミダイキャストフレームに搭載し、ベルトドライブで後輪駆動。ヤマハは「オートマチックスポーツ」と呼びます。
初代は2001年に欧州でデビューし、2013年の「TMAX530」でその名の通り排気量が500ccから530cc化、2020年5月にはさらに排気量アップした「TMAX560」がデビューしていますが、今回メルセデスベンツ「E350 de アバンギャルド スポーツ」とともに「TMAX530DX ABS」に乗ってみました。
■高速クルージングを得意とする両車
シート高は800mmで、足を地面に着くときには、無意識なうちに着座位置を目一杯前の方にずらしています。身長175cmの筆者の場合、つま先立ちに。小柄な人には手強いかもしれません。跨ってすぐに「デカイなぁ」と感じますが、走らせるともう軽快にキビキビと動きます。
360度クランク直列2気筒エンジンは低回転域からトルクフルで、2000rpm付近で遠心クラッチがつながるとそのままスムーズに回り、4700rpmほどで100kmに達します。D-MODE(走行モード切替システム)を搭載し、「Sモード」ではレスポンス鋭くパワフルに加速。「Tモード」では穏やかな反応となります。さらにトラクションコントロールも備え、スリッピーな路面もアクセルワークに神経質にならずに済み、操作性はイージーです。
6000rpm以降からパワーの盛り上がりを感じ、ハイスピードレンジも得意とすることがわかります。そこはクルマの流れの速い欧州で鍛え抜かれたと言わんばかり。秀逸なウインドプロテクション、剛性があって落ち着いた車体、振動を感じないバランサー付きのパラレルツインエンジン、いずれを見ても、かなり優秀な高速ツアラーであることがわかります。
とくに上級仕様となる「DX」では、フロントスクリーンが高さ135mm幅で無段階電動調整ができ、クルーズコントロールも装備。グリップウォーマーやシートヒーターも付き、「SX」との価格差も納得です。新型「560」も含めた車両本体価格(消費税込み)は次のとおりです。
「TMAX530SX ABS」 126万5000円「TMAX530DX ABS」 137万5000円「TMAX560 ABS」 127万6000円「TMAX560 TECHMAX ABS」 141万9000円
■高い旋回性でワインディングもホームグランド
コーナリング性能が高いのも「TMAX」ならでは。前後15インチの足まわりは、剛性のしっかりとあるサスペンションが組み合わされ、旋回中も高い接地感をライダーに感じさせます。インナーチューブ径41mmの倒立フォークに、対向ピストン4ポット・ラジアルマウントキャリパーがセットされ、「DX」はスプリングプリロードと伸側減衰力のアジャスターがリヤショックに装備。初期荷重ではソフトに動きますが、大きな入力が入った奥ではしっかりと踏ん張りが効き、ハードな走りにも対応してくれるのです。
見た目は上質なスクーターですが、実際はアクティブなスポーツモデル。ジェントルなハイウェイクルージングを得意としつつ、ワインディングではスポーツバイクを獲物にする猛獣にもなる二面性を持ち合わせるのは、「E350アバンギャルド」との共通点のような気がします。
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