10月14日、ジョージア州のミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで幕を閉じた、2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権。恒例の最終戦『プチ・ル・マン』は10時間の長丁場、サードドライバーとしてビッグネームもエントリーするなか、各クラスで僅差のタイトル争いが繰り広げられた。
とりわけ今季から導入された最高峰GTPクラスでは、4マニュファクチャラーすべてがタイトルの可能性を残して最終戦入りするという緊迫具合。レースでも次々とアクシデントが降りかかり、終盤にはランキングトップ2同士の接触も見られた。
IMSA、2024年のフルシーズン・エントリーリストを発表。4クラス48台が参戦へ
そんなIMSA最終戦プチ・ル・マンのパドックから、各種トピックスをお届けする。
■4組がレース中に仮想王者となる大接戦
ピポ・デラーニ、アレクサンダー・シムズ、アクション・エクスプレス・レーシング、そしてキャデラックは、ウェザーテック選手権における初のGTPタイトルを獲得した。
最終戦には6組のドライバーコンビがタイトルの可能性を残して挑んだが、そのうちの4組──デラーニ/シムズ、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートのリッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ、BMW Mチーム RLLのコナー・デ・フィリッピ/ニック・イェロリー、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマット・キャンベル/フェリペ・ナッセ──は、10時間の決勝レース中、仮想ポイントランキング上で首位に立つ接戦となった。
キャデラックは2017年にIMSAのプロトタイプ競技に参戦して以来、4度目となるマニュファクチャラータイトル、5度目のミシュラン・エンデュランス・カップ・マニュファクチャラータイトル、4度目のドライバー/チームタイトル、5度目のエンデュランス・カップ・ドライバータイトル、3度目のエンデュランス・カップ・チームタイトルを獲得した。
■ル・マン24時間の招待枠も決定
エリオ・カストロネベスとともにこのレースで優勝したメイヤー・シャンク・レーシング60号車アキュラのトム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン組は、最終ドライバーランキングでデラーニ/シムズ組から22ポイント差でシーズンを終えた。
60号車は開幕戦デイトナ24時間レースで優勝したものの、その後タイヤ空気圧データの不正操作が発覚し、200ポイントを剥奪されていた。したがって、この不正操作とポイント剥奪がなければ、シーズンタイトルを獲得できていたことになる。
今回のGTPタイトル獲得により、アクション・エクスプレスは2024年ル・マン24時間レースへの自動招待枠を勝ち取ることとなった。また、LMP2プロ/アマを制しジム・トゥルーマン・アワードを受賞したジョージ・カーツ(LMP2)、ブロンズドライバーでGTD首位となりボブ・アキン・アワードを受賞したブレンダン・イリーべ(LMGT3)も、同様にル・マンの参戦枠を獲得した。
なお、GTPクラスの結果は、今週末にノースカロライナ州コンコードにあるNASCARの研究開発施設で行われる「追加押収パーツ」の最終技術検査が完了するまで、暫定扱いとなる。
■クラッシュしたアルバカーキが声明
レース残り1時間のところでは、2番手を走るアクション・エクスプレスの31号車キャデラックVシリーズ.Rに、1コーナーアウト側から並びかけた10号車アキュラのアルバカーキが、接触ののちにバリアへと高速クラッシュする場面があった。
アルバカーキは地元の病院に搬送され検査を受けた後に、無事退院した。彼はSNSで次のようにメッセージを残している。
「僕は元気だ。みんな、メッセージをありがとう。右手と背中が少し痛いけど、大丈夫。迅速なサポートをしてくれたIMSAと、病院で待っていてくれたチームメイトに感謝したい」
なお、この事故に関し31号車のデラーニは、アルバカーキの動きは「楽観的すぎる」と語っている。
■スタート時点でタイトルを決めたレクサス
ジャック・ホークスワース/ベン・バーニコート組のバッサー・サリバン14号車レクサスRC F GT3は、2022年のセブリング12時間レース以来となるリタイアを喫した。バーニコートは、5時間目にエセスのグリーンで、マシンのノーズを損傷した。
しかしながら、前戦インディアナポリスまでに大量のポイントリードを築いていた14号車のコンビは、最終戦のレースをスタートした時点で、GTDプロクラスのタイトルを確定させた。レクサスにとって、待望の初タイトルとなった。
GTDクラスでは、ロリス・スピネッリ/ミーシャ・ゴイクベルグ/パトリック・リディのフォルテ・レーシング・バイ・USレーストロニクスの78号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2が、3つのドライブスルーペナルティ(4時間目のリスタートでのジャンプスタート、残り3時間で27号車と接触したこと、ピットボックスの外で作業したことによる)を乗り越え、優勝を果たした。
ランボルギーニはこのレースで、ウラカンGT3 EVO2でのウェザーテック選手権初優勝を飾った。ランボルギーニとしては、ポール・ミラー・レーシングと組んだ2021年のロングビーチ以来の勝利となる。USRTはまた、ポール・ミラー・レーシングが3年半以上前の2020年デイトナ24時間レースで優勝して以来となる、ランボルギーニのエンデュランス・カップでのGTDクラス優勝ももたらした。
■復権のウェザーテック・レーシング
GTDプロクラスを制したウェザーテック・レーシング79号車メルセデスAMG GT3のダニエル・ジュンカデラは、レース終盤にパフ・モータースポーツのケビン・エストーレと「予選バトル」を繰り広げたと語った。
「ここ数年、優勝を狙ってレースを終えるようなチャンスはなかったけど、今日はそれができることを証明できたと思う」とジュンカデラは語った。
ウェザーテック・レーシングは、コーションによる最終ピットストップでGTDプロクラスの首位に立った。
「(パフの)ポルシェは早めのピットインでギャンブルに出たから、燃料が少し足りなかった」とジュンカデラ。「最後のスティントとなるセカンドスティントでは、イエローが出た際にピットで上位に進出すべく、燃料セーブに集中したんだ。あのときは僕らの全般的なペースが少し遅れていたから、それが唯一のチャンスだったんだ」。
■コーション時間は3時間半。解決策は……
10時間で争われた決勝レースは13回のフルコース・コーションに見舞われ、合計93周、3時間半にわたってセーフティカーが導入された。
レース中のインタビューでは、多くのドライバーがドライビング・スタンダードについて言及した。
パドックのあるチームマネジャーは、SROモータースポーツ・グループが採用しているような行動警告ポイント制度や、ライセンス要件の厳格化が、インシデントを減らす効果的な方法になりうると提案している。
■SUGOとロード・アトランタの類似性
2018年のスーパーGT・GT500王者で、今回のレースにJDCミラー・モータースポーツ5号車ポルシェ963のサードドライバーとしてエントリーしたジェンソン・バトンにとって、ロード・アトランタは日本のスポーツランドSUGOを思い起こさせるという。
宮城県村田町に位置するSUGOは1周3.5kmあまり、ジョージア州ブラセルトンに位置するロード・アトランタは1周4kmと比較的コース長が短いことに加え、高低差が激しくコース幅が狭いことなど、両サーキットにはいくつかの共通項がある。
「素晴らしいコースだ」とバトンはSUGOについて振り返った。
「(スーパーGTは)45台が同時にレースし、そのうち30台は遅いカテゴリーなんだ。常にトラフィックに見舞われる。SUGOは、ここ(ロード・アトランタ)に向けたいい練習になったよ」
なお、今回のレースを5位で終えたバトンは、2024年のスポーツカーレース参戦に向け「複数の選択肢がある」と述べている。
■ポルシェの来季ラインアップは?
ポルシェLMDhのファクトリーディレクターであるウルス・クラトレは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの2024年WEC世界耐久選手権のドライバーラインアップに大きな変更があるとの噂を否定した。
「我々は、いまいるすべてのドライバーに本当に満足している」とクラトレ。
「それはシーズンが終わったあとに話し合うことだ。いずれにせよ、もうすぐシーズンは終わる。ドライバーのラインアップに、大きな変更はない」
■2024年シーズンに向けた動きも
LMDhとLMH(ル・マン・ハイパーカー)のマニュファクチャラーは、2週間前にパリでFIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブとの会議に参加した。議題の中には、WECのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が含まれていたものと思われる。
ポルシェのクラトレは「いいミーティングだったと思う。多くの議論があり、オープンな議論もたくさんあった」と明かした。
「現在の利点は、我々全員がほぼ1シーズンを終えていることで、見るべきものがたくさんあり、そこから良い教訓を得るチャンスがたくさんあることだ。来年は状況が変わる可能性があると思うが、それは良いことだ。みんなが同じ目標を持っているのだから、きっと改善されるはずだ」
なお、ACO会長のピエール・フィヨンは、ロード・アトランタに姿を見せていた。
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