V6と直4 思いのほかキャラが違う2台
箱根の山道において、最新にしてロータス最後のガソリンエンジン車であるエミーラV6ファーストエディションを試乗することができた。それから本稿を書くまでの間に急遽イギリスに赴くことになり、筆者はロータスの本拠地であるヘセルにおいて出来立てホヤホヤのエミーラのI4(直列4気筒)モデルを試乗することができてしまった。
【画像】ロータス・エミーラV6ファーストエディションの詳細を見る 全60枚
エンバーゴ(情報解禁期限)の関係でV6モデルを飛び越して書きあがった記事が、先のインプレッションなのである。
今回はハナッからエミーラV6の箱根試乗に関する原稿だったはずなのだが、前記の通り直近にイギリスであらためてV6と直4を比較試乗できたおかげで原稿の主旨がインプレから考察的なものに変わっている。V6と直4のエミーラに、エンジン違いという以上の意味があることがわかってきたのである。
その意味に関してはすでに先の原稿で触れているので、いま一度、エミーラI4の記事に目を通してほしい。手短に言ってしまえば、2台はエンジン以外の部分にも違いがあり、キャラクター付けが異なる兄弟車のような関係性を秘めているということである。
偶然にして必然 V6+MT誕生の理由?
自動車の世界では同じエンジンベイに直4のみならず、より大きなV6やV8すら搭載している例が珍しくない。だがそれらはフロントエンジン車である場合がほとんどで、ミッドシップは稀だ。稀なうえにエミーラの場合、V6と直4でサブフレームの材質もリアアシも別物なのだから「狙いが異なる別キャラ」という筆者の仮説にもいくらか信憑性がありそうな気がするのだがどうか?
自動車メーカーが配布するリリースには触れてほしいことが記され、そうでないことは伏せられているのが普通だ。だからなのかはわからないが、今回エミーラのアルミ接着バスタブモノコックが、エヴォーラの流れを汲んだものであることは書かれていない。
だがロータスの会社の規模や、エリーゼやエキシージSには存在しなかったエミーラの運転席後ろのラゲッジスペースの存在、そしてV6エンジンとサスペンション関係を保持するサブフレームが「おなじみ」の鋼板溶接ボックス構造であることを考えれば、その成り立ちは容易に察しがつくはずだ。
だからこそエミーラV6はエヴォーラのそれを、いま一度スポーティに洗練させたようなクルマに仕上がっているのである。具体的にはエミーラI4より柔らかめのアシとV6エンジンの重心高を利用し、全体の動きをナチュラルで予測しやすいものにしている。
そういったツアラー的な性格であればトルコンATモデルの方が方向性としては正しいかもしれない。だが一方で4気筒エンジンの供給元であるメルセデスAMGはMTギアボックスを持ち合わせていない。ロータスの伝統を含めて考えれば、いきなりMTはもうありませんという展開は急すぎる。V6+MTモデルの誕生は必然だったのである。
シャシーの特性、エンジンのドラマ性
今回箱根で試したエミーラV6の6速MTモデルはそんな事情から生み落とされた1台だろうと推測する。でもこれが、ヘセルのテストトラックではなく箱根の山道を走らせた時に実に気持ちいのいい1台なのである。
V6と直4をヘセルのテストトラックで乗り比べた際の印象は、先の記事で述べた通り。よりトルクバンドの広い重心高が低いエンジンと繋がりのいい多段AT、そして硬めのアシを持つエミーラI4の方がサーキット走行にドンピシャでハマるのは当然の話といえる。
イギリスで試乗した2台はともにスポーツサスを備えていたが、そのリアのバネレートはエミーラV6が115N/mm、重心が低く車重も4kg軽いはずのエミーラI4は140N/mmだった。速さだけを求めるならV6をもっと固くして重心の高さに対抗する手段もあったはず。だがそうしなかったところに、運動性能を研ぎ澄ませた直4と、普段使いの快適性と高回転ユニットをMTで操る古典的な楽しみを残したV6という作り分けの痕跡が伺えるのである。
公道にフォーカスした感が強いエミーラV6。その核となるのはエンジンである。このスーパーチャージドV6には当代随一と言えるほどの鋭い吹け上がりと、抜けのいい快音というアドバンテージがある。低回転のトルクが細いおかげで、かえってトップエンドに向け豹変していくドラマ性もある。ロータスとしては珍しい特性の持ち主でもあるのだ。
理想のロータス・ライフを完成させる2台
今回ヘセルのファクトリーで筆者が見た直4の多くは左ハンドルだった。恐らく北米と、そして排気ガスの関係でV6モデルの販売ができない中国市場にいち早くクルマを送り込みたいという狙いがあるのだろう。大陸における成功は、60年代からずっとロータスの悲願でもあるのだ。
ロータスの悲願と言えばもうひとつ、この会社を創業した故コーリン・チャップマンが唱えた「ロータス車だけで完結するカーライフの実現」も挙げられる。そのためにロータスは主軸となる2シーターに加え、エラン+2や、2代目エリート/エクラ/エクセル/エヴォーラといった4シーターモデルへのアプローチを続けてきたのである。
それが今、BEVのエレトレとピュア・ガソリンモデルのエミーラという2本立てというかたちで結実しそうな情勢になっている。ある意味、ロータスという会社が最もバランスがとれ、興味深い時代がはじまろうとしているのである。
最後にもうひとつ、エミーラV6を推す理由があるとしたら、エレトレとの相性が挙げられる。V6はいい意味で古典的であり、ドライバーにより多くの仕事を求める。それは現代ではいよいよ絶滅しそうな、リアル・スポーツカーなのである。
ロータス・エミーラV6ファーストエディションのスペック
価格:1573万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4413×1895×1226mm
最高速度:288km/h
0-100km/h加速:MT 4.3秒/AT 4.2秒
燃料消費率:-km/L
CO2排出量:-g/km
車両重量:1405kg
パワートレイン:V型6気筒DOHC3456cc VVT-i+スーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:405ps/rpm
最大トルク:MT 42.8kg-m/2700-6700rpm・AT 43.8kg-m/2700-6700rpm
ギアボックス:6速MT/6速AT
タイヤサイズ:245/35R20(フロント)295/30R20(リア)
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みんなのコメント
比較的低価格で楽しめるライトウェイトスポーツを捨て去った
中華ロータスの残滓。他の同価格帯の車に対して何のアドバンテージがあるか
甚だ疑問。初代エラン後の嘗てのロータスの迷走の再現だ。
従来のライトウェイトスポーツは利益がちゃと出るようになってからですね。
貧乏人排除の流れは正しい。ブランドはコレから育てて下さい。