昔のクルマの室内は、夜になると基本的に真っ暗だった。うっかり100円玉なんか落とせば大変な騒ぎで、グローブボックスから懐中電灯取り出して、友達と車内を大捜索したりしたもんだ。
ところがいまのクルマは夜もほんのりと明るい。グローブボックスやセンターコンソール、ドアトリムなど、至るところにLEDの細いラインが走り、夜の車内を照らし出す。いわゆるアンビエントライトというやつだ。
車内の魅力100倍増し! クルマのアンビエントライトっていつから流行ってんの?
いまやコンパクトカークラスにも装着が進むこのアンビエントライト、なんでこんなに人気になったのだろう。その進化について調べてみた。
文/ベストカーWeb編集部、写真/メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ロールス・ロイス、スバル、日産、トヨタ、Adobestock
電球の後付けは昭和の時代からあった
もっとも早くアンビエントライトを取り入れたクルマのひとつ、キャデラックCTS(VanderWolf Images@Adobestock)
まず「アンビエントライト」という用語だが、もともとは住宅や店舗で天井や壁面を照らす間接照明を指す言葉として使われていた(アンビエントとは「環境」を指す)。この間接照明に対して、机や食卓などに使う直接照明は「タスク照明」と呼ばれる。
いっぽうでクルマの室内照明だが、室内灯の電球の色を変えてみたり、助手席や運転席の足元に小さなランプを追加する改造が、昭和の時代からクルマ好きの間で行われてきた。高級車の純正アクセサリーとしても、ドアを開けたときに足元を照らすフットランプなどは以前から存在したから、このあたりがアンビエントライトの起源といえるだろう。
ところが20世紀末、この照明に革命が起きる。LEDの登場だ。そのすごさをまとめると、以下の4つになるだろう。
(1)消費電力が電球に比べて数分の一になったこと
(2)電球でいう「玉切れ」がほぼなくなったこと
(3)素子を並べることで帯のような均一な光が実現できること
(4)三原色のLEDを組み合わせれば発光色が自由に変えられること
21世紀になってコストダウンが進むと、LEDはクルマのライトとしても普及が進む。ちなみにLEDを量産車として初めてヘッドライトに採用したのは、2007年に登場したレクサスLS600hだ。
日産アリアのアンビエントライトはドアからダッシュボード上を取り囲む雰囲気
奇しくも同じ2007年、デトロイト自動車ショーでは、そのLEDをインテリアに使ったクルマが話題を呼んだ。ジャガーC-XFコンセプトやキャデラックCTSなどだ。当時ジャガーのチーフデザイナーだったイラン・カラムは、「これからは照明が自動車デザインの大きな要素になる」とも答えている。まさに現在のアンビエントライトブームを予言したひと言だといえよう。
ドイツ車はもはやアンビエントライトが当たり前?
足元やセンターコンソールなどにアンビエントライトを配したアウディe-Tron GTのインテリア
前述したキャデラックのCTSは、筆者の調べた限りもっとも早くアンビエントライトを取り入れたクルマの1台といえるが、その後、アンビエントライトの採用を強力に推し進めたのはメルセデス、BMW、アウディという「ジャーマン3」だったように思う。2010年代に入るあたりから各社が続々と採用に踏み切り、いまやメルセデスではAクラス、BMWではブランド違いながらMINIといったエントリーモデルにまで採用が進んだ。ちなみにフォルクスワーゲン・ゴルフも7代目からアンビエントライトを採用している。
ちなみに日本車では、2013年にマイナーチェンジしたレクサスLSが、グローブボックス付近にLEDを使った間接照明を取り入れ、以後じわじわと採用が進んでいる。2019年にはマイナーチェンジしたスカイラインがディーラーオプションとして採用、現在ではトヨタ・ハリアーやスバル・レヴォーグ、日産アリアなど、各社に設定車がある。
ロールスロイス・コア・ファントムの車内。星空のような天井に注目
自動運転などが実現していく今後は、車内のリビングルーム化がいっそう進み、アンビエントライトはもちろん、より多彩な室内照明が登場するだろう。すでにロールス・ロイスには星空のような天井を再現するプラネタリウムのような装備があるが、イラン・カラムの言葉通り、今後は照明が重要なデザイン要素となることは間違いない。
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日本車がやったら下品って言う人いるけど、そういう奴が1番ダサい