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【すべてが先代以上】最新8代目 フォルクスワーゲン・ゴルフGTIへ試乗 後編

掲載 更新 18
【すべてが先代以上】最新8代目 フォルクスワーゲン・ゴルフGTIへ試乗 後編

日常的に乗りやすく、とてつもなく楽しい

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】ゴルフGTI ライバル・ホットハッチ 全143枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フォルクスワーゲンは、ゴルフGTIが極端なモデルにならないように、代々注意してきた。これまで、多くの人にとって運転しやすいということも、魅力の1つになってきた。

新しいGTIも、その性格は受け継いでいる。動的性能は、親しみやすい味付けにしてある。市街地では日常的に乗りやすく、郊外の空いた道に出れば、とてつもなく楽しい。

フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となるサスペンション構成は7代目からのキャリーオーバー。標準の8代目ゴルフと比較して車高は15mm低く、エンジンと同様、細かな進化が与えられている。

アルミニウム製のサブフレームは、スチール製だった先代より3kg軽量化させつつ、剛性を向上。リア側へ掛かる負荷割合も高められ、スプリングレートはフロントで5%、リアで15%強化されている。

タイヤは標準のGTIで17インチのホイールに、幅225サイズのブリヂストン・ポテンザを履く。オプションで18インチか19インチが選べるが、そちらは幅が235へ広くなる。

8代目ゴルフGTIが採用する、フォルクスワーゲン製の7速デュアルクラッチATには、気になる部分もあった。都市部などでの低速走行時には、変速で違和感を生じる場面がある。高回転域やシフトダウン時には、不必要に長いタメもあるようだ。

筆者の意見では、標準の6速マニュアルを選びたいところ。アイドリングのオートストップ機能の動作は、大幅に改善されている。

スポーティでありながら優れた洗練性

何より、ゴルフGTIのシャシーバランスやスタビリティに大きく貢献しているのが、ビークル・ダイナミクス・マネージャー(VDM)・システム。アダプティブ・ダンパーはオプションだが、ステアリングやスロットル、トランスミッションなどの操作を、気づかれないように常に監視しているのだ。

過去どの世代のゴルフGTIと比較しても、間違いなくレスポンスに優れ、ドライビング体験はスポーティ。さらに決定的なのが、穏やかな標準の8代目ゴルフと変わらない、洗練度と熟成度を備えている点。

ドライブ・モードには、エコとコンフォート、スポーツ、インディビジュアルを用意。従来以上に幅のある運転特性を体験できる。

アダプティブ・ダンパーを装備すれば、VDMシステムは15段階もの細かさで、減衰特性を変化。スポーツ・モードでの姿勢制御はタイトになり、コンフォート・モードでは繊細さを高めている。

電動パワーステアリングは、重み付けが素晴らしく感触も豊か。前輪へ掛かる245psというパワーを考えると、驚くほどに余計なフィーリングは排除されている。

一部のホットハッチのような、間髪入れないレスポンスほどではないが、正確性は非常に高い。加えてフィードバックも豊かで、タイヤとのコミュニケーションも取りやすく、充足感は素晴らしい。

コーナリング時の挙動は、常にニュートラル。アンダーステアは抑え込まれ、不安感を抱くこともない。

これまで以上に速く、これまで以上に快適

サスペンションの設定は、普段遣いも前提に、とても巧妙な設定を得ている。都市部などでの低速域では、流石に標準のゴルフと比べれば硬い。しかしスポーツ・モードを選んでいても、乗り心地にはしなやかさがある。

VDMシステムと、XDS、DCCの相乗効果により、ダンパーの調整速度は従来より高速化されているから、姿勢制御も向上している。乗り心地も良くなり、路面を問わず落ち着いた印象も与えてくれる。

フロントが340mm、リアが310mmのディスクを付けるブレーキも優秀。ブレーキペダルを踏んだ感触も良好で、力を込めるほどに確かな制動力を引き出せる。ABSの介入も改められたようだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、このクラスで熟成された選択肢であることに変わりはなかった。これまで以上に速く、ドライブ・モード次第ではこれまで以上に快適。洗練性も見事だ。

ルックスの差別化がもう少し強く、インテリアの知覚品質やエグゾーストノートの興奮度などが改められれば、訴求力は一層高まるはず。でも、フォルクスワーゲンはドライバーの望みを理解している。ホットハッチのトップを、44年守ってきた経験は強い。

2020年末までには、289psを獲得したゴルフGTIクラブスポーツも登場予定ではある。とはいえ、標準のゴルフGTIも、確実な進歩を獲得していることは間違いない。

ドライビング体験だけではない。すべての面で、先代より優れているといって良い。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(欧州仕様)のスペック

価格:未定
全長:4284mm(標準ゴルフ)
全幅:1789mm(標準ゴルフ)
全高:1456mm(標準ゴルフ)
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:6.3秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:1448kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:245ps/5000-6500rpm
最大トルク:37.6kg-m/1600-4300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

18件
  • 性能は良くなっているようだけど、その分コストダウンがあからさまらしいな
  • 外観は見慣れてきた。中々カッコいいかも。個人的にはメーター周りがちょっと残念。デジタルメーターは落ちつかないかな。これが最後のガソリンGTIとなれば、買っても良いかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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