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【くるま問答】トヨタ車に搭載されている高性能エンジンは、ずっとヤマハが作ってきた?

掲載 更新 44
【くるま問答】トヨタ車に搭載されている高性能エンジンは、ずっとヤマハが作ってきた?

今もなお、日本の自動車史上でトップクラスの「名車」と賞賛されているトヨタ 2000GT。このクルマのエンジンは「ヤマハが作った」という説もあるが、実際はどうなのか? 現在にいたるまでの、トヨタとヤマハのエンジン生産事情についても探ってみたい。

四輪自動車の開発と生産を模索していたヤマハ
1967(昭和42)年に発売されたトヨタの名車、2000GTがヤマハ発動機(以下、ヤマハ)との協力関係で製造されたというのは有名だ。ヤマハが協力、生産していたことは間違いないが、企画や設計ではいろいろな説があり、ヤマハ主導で開発されたという説もあるほどだ。だが実際はトヨタが企画したスポーツカーであり、開発と生産を受託したのがヤマハだった。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

トヨタの企業ホームページ「トヨタ自動車75年史」をひも解くと
「1963(昭和38)年5月の第1回日本グランプリ以来、自動車レースやラリーなどモータースポーツの人気が高まり、本格的な高性能車を望む声が聞かれるようになった。こうしたなかでトヨタ 2000GT(MF10型)は、これまで蓄積してきた技術を発揮し、トヨタとして最高のものをつくり世に問おうとしたものであった」
とある。当時はスポーツカーの魅力やモータースポーツでの活躍によって、車種が違ってもメーカーのイメージが高くなり市販車販売に対する効果も高く、さらにはファンを獲得する好材料にもなった。

ヤマハの公式ホームページを見ると、こう記されている。
「トヨタ自動車工業とヤマハ発動機の間に、スポーツカー開発に関する技術提携の契約が交わされたのは1965年9月8日。しかしその前年の12月には、『トヨタ 2000GT』の開発協力プロジェクトはスタートしていた。トヨタ 2000GTの全体レイアウト計画やデザイン、基本設計などはトヨタ側でなされ、ヤマハは同社の指導のもとで主にエンジンの高性能化と車体、シャシの細部設計を担当した」
とある。こう書かれた後に
「全員が自動車に並々ならぬ関心を持っていたが製造上の知識、経験はゼロに等しかった」
とも書かれている。

じつはヤマハは当時、四輪自動車の開発と生産を模索していた。しかもスポーツカータイプのクルマを企画していたようで、日産ともコンタクトを取っていたようだが、当時の企画は夢に終わってしまった。それから時は流れ、2015年の東京モーターショーでは、四輪スポーツの「スポーツライド コンセプト」を出展。2017年にはピックアップタイプのSUVコンセプトの「クロスハブ コンセプト」をワールドプレミアしている。四輪を作りたいという夢は近年まで持っていたようだが、残念ながらこれらの企画も過去と同じく消滅してしまったようだ。

トヨタ車の多くの高性能エンジンをヤマハが開発
トヨタ 2000GTの話に戻そう。当時、開発陣は1965(昭和40)年10月に開催される東京モーターショーへの出品を目指していた。トヨタが1999(平成11)年に発行した資料を見ると、開発体制のチーフは河野主担当員(主査代行)、機関担当:高木、懸架担当:山崎、車体、意匠担当:野崎と記されている。機関=エンジン担当の高木氏が、ヤマハとエンジンを開発していたわけだ。トヨタはクラウン用に開発していたM型エンジンを改良して高性能化することを目指していたが、当時の開発力は十分でなかったようだ。

そこで、すでに二輪車で高性能エンジンを開発していてヤマハにDOHC方式のヘッドユニットと車体開発、生産までトヨタは委託した。排気量1988ccの3M型エンジンのDOHC化はヤマハが行ったわけだが、基本設計はM型系の血筋を引いている。また話が脱線するが、2020年に発表されたヤリスなどに搭載された1.5L 3気筒エンジンの型式は、M15型を名乗る。当時のM型系とは当然ながら関係はないが、半世紀以上を経てM型系を名乗るエンジンが新設計され、再登場したわけだ。

3M型以降、セリカなどに搭載された2T-G型やレビン/トレノAE86に搭載された4A-G型、マークIIなどに搭載された1G-G型、3S-G型、1JZ-G型などもヤマハが開発と生産を受託していた。とくに4A-G型や1G-G型はヤマハならではの高回転指向のNAエンジンで、その頂点を極めたのがレクサスLFAのV型10気筒エンジンだった。この1LR-GUE型の10連独立スロットルのレスポンスと甲高く乾いたエキゾーストノートは、トヨタとヤマハの最高傑作といっていい。

このほかにもレクサスのISやクラウン、マークXに搭載される2.5LのV6エンジンもヤマハが受託生産していたし、近年搭載車が増えているのが2L 直4の8AR-FTS型直噴ターボで、これも開発と生産をヤマハが担当している。

ヤマハが製造したエンジンには、ヘッドカバー近くに「YAMAHA」の文字が刻まれているが、近年のモデルはエンジンカバーが装着されていることが多く直接確認はしにくい。こうした開発と生産受託の関係が続いているため、ヤマハをトヨタグループの企業と思っている人もいるようだが、資本関係はなく独立している。今後もトヨタとヤマハのコラボで、ぜひともLFAのV型10気筒に続く、すばらしい咆哮(ほうこう)とレスポンスのいいエンジンを開発してもらいたいものだ。(文:丸山 誠)

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みんなのコメント

44件
  • 色々な意見はあるけど
    ボンネット開けてYAMAHAの刻印見ると
    特別感がありました。
  • LFAのエンジン音を1回生で聴いてみたい。どこに行けば聞けるんだろう?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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