ワンオフ・シリーズ最新作
イタリアの超高級車ブランド、フェラーリが、あるクライアントのために1台だけ制作したワンオフ・モデル「フェラーリSP48ウニカ」を発表した。
【画像】フェラーリのワンオフたち【1台だけの特別モデル】 全53枚
フェラーリでは近年、顧客の要望に添ってエクスクルーシブなデザインを作り上げていく「スペシャル・プロジェクト」という名のワンオフ・プログラムを提供している。
クライアントのアイデアを出発点として、フェラーリ・スタイリングセンターのデザイナー陣がそれを発展。量産モデルがベースであるにもかかわらず、独自のプロポーション/フォルムをはじめに決めて、スタイリング用クレイモデルを製作し、その上でワンオフの製造に取りかかる流れだ。
こうしたプロセスは平均して1年以上を要し、クライアントはデザインの評価・検証といったプロセスに密接に関わるという。
5月5日発表されたワンオフの最新作、フェラーリSP48ウニカもこうしてできあがった唯一無二のビスポークモデル。
具体的には、フラヴィオ・マンゾーニ(チーフ・デザイン・オフィサー)の指揮の下、フェラーリ・スタイリングセンターがF8トリブートをベースに開発した。
まずはフロントフェイスを分析してみよう。
3次元グリルを作る3D技術の進化
フェラーリは、SP48ウニカのスタイリングを「引き締まったラインとアグレッシブなスタンスはオリジナルモデルを彷彿とさせますが、矢尻のようなフロントの形状によって見間違えることもありません」と説明している。
これは主に、ヘッドライトの意匠変更と、ブレーキ用エア・インテークの配置を変えたことが効いている。
SP48ウニカのスタイリング開発には、いわゆるプロシージャル・パラメトリック・モデリングという3DのCG技術と、3Dプロトタイピング(積層造形法)が用いられた。
この先進的な工程によって、「1つの塊から削り出されたような」完全に3次元のグリルが誕生。シームレスなつながりとダイナミックな流れを自動車の造形に落とし込んだ。
フロント・グリルのほかにも、エンジン用エア・インテークがこの方法で完全に再設計されている。
姿を消したリアウインドウ
真上からルーフの中央を見ると、ブラックのパートが外板色へと移り変わっていくグラフィックを見つけられるだろう。
カーボン製エンジンカバーの背後に設けられたエア・インテークと美しくマッチしている。
まるで空気の流れを形にしたような造形で、フェラーリ自身も「この角度で見ると、シンメトリーなフォルムとラインの交差が、相互に作用し洗練を生んでいる」と説明し、スタイリング研究の成果としてアピールしているほどだ。
また、ルーフ、エンジンカバー、一部のウインドウは形状まで変わっている。
リアはウインドウが排除され、サイド・ウインドウは小さくなった。
1つの金属の塊を彫り込んだようなクルマ全体の力強さ、たくましさ、さらにフロントのシャープな顔立ちは、こうした変更によって印象を深めている。
テクニカルな面では、SP48ウニカは、すべての冷却系の要件を満たし、空力バランスの変更も実現したのが注目点。
F8トリブートのスタイリングと最も異なるフロント・バンパー、およびリア・スポイラー下にあるエンジン冷却用エア・インテークがその痕跡だ。
彫りの深いグリルは、前述のプロシージャル手法によって、通過する空気量が最大となるように、あらゆるパートが最適な角度になっているという。
リアを延長 エアロダイナミクスの変化
車両の造形も大きく変わり、インタークーラー用インテークをサイド・ウインドウのすぐ後方に配置したことで、ボディ側面のインテークを縮小。
また、リアのオーバーハングが延長され、ルーフによるリフトが低減し、リアのダウンフォースを高めることができた。
内装では、特別開発のレーザー・パンチング加工を施された黒いアルカンターラが目を引く。
シートをはじめとするインテリア・トリムのほとんどに使われており、その下には外装色にマッチした、虹色に輝くオレンジのファブリックがのぞく。
ここには、ルーフのグラフィック、グリルに見られる六角形のモチーフが取り入れられており、クルマの外部と内部に関連性を与えた。
コクピットに入ると、同じ六角形のモチーフが、光沢のあるシルカバーにレーザー・エンボス加工であしらわれているのも気の利いたアクセントになっている。
長年の顧客のためにデザインされ、完成までの全段階でクライアントが深く関わったワンオフの最新作。既存モデルを効果的に変貌させたデザインは、フェラーリのエクスクルーシブ性を隅々まで表現した特別な1台としてファンの記憶に刻まれることだろう。
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みんなのコメント
あとは時間かな、納期をもうちょっと短縮してほしい