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東京BRTがプレ運行を開始!! 都区内初の連節バスも登場

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東京BRTがプレ運行を開始!! 都区内初の連節バスも登場

 2020年10月1日、東京BRTが虎ノ門~新橋~晴海間でプレ運行を開始した。東京BRTは都心と臨海部をつなぐ「バス高速輸送システム」(Bus Rapid Transit=BRT)として東京都都市整備局の主導により計画。運行事業者として京成バスが選定されていた。

 プレ運行は当初、この夏に予定されていた東京オリンピック前に開始される計画だったが、コロナ禍とオリンピックの延期により変更。調整を進めたうえで、この秋のスタートとなった。

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文/写真:加藤佳一

新橋~晴海が最速15分、日中は毎時4本

晴海BRTターミナルに並んだ(右から)連節バス、燃料電池バス、ディーゼルバス

 東京BRTは臨海部における交通需要の増加に応え、地域の発展を支える新しい公共交通機関として計画された。将来的には環状2号線の本線トンネル開通後、お台場地区、豊洲地区、選手村地区と都心を結ぶ予定である。しかしトンネルの開通は2022年度以降となるため、段階的な運行を開始することとなった。

 今回のプレ運行一次ルートは虎ノ門ヒルズ~新橋~勝どきBRT~晴海BRTターミナルで、虎ノ門ヒルズ~勝どきBRT間はおおむね環状2号線の地上部道路を走る。虎ノ門ヒルズの乗り場は、地下鉄虎ノ門ヒルズ駅直結のビジネスタワー1階。新橋ではゆりかもめ新橋駅東側の日本テレビ前に発着する。

 勝どきBRTは環状2号線と清澄通りの交差点近くにあり、ここから清澄通りや晴海通りなどを経由。終点の晴海BRTターミナルは晴海トリトンスクエアから晴海通りを挟んだ斜め向かい側にある。

新橋の晴海行き乗り場。雨天でも雨に濡れないよう、歩道と車道にまたがるルーフがある

 このうち新橋には、雨天でも乗降時に濡れないように、歩道と車道にまたがるルーフを設置。また晴海BRTターミナルには、バスと歩道の隙間をなくすため、路面の誘導線をカメラが検知して自動操舵・減速する自動正着制御システムを導入し、試験を重ねている。

 所要時間は曜日と時間帯によって多少異なり、虎ノ門~晴海間が24~30分、新橋~晴海間が15~21分である。日中は毎時4本が運行されており、そのうち1本が新橋~晴海間の区間便。平日の朝夕は毎時ほぼ6本で、そのうち半数が新橋~晴海間の区間便となっている。

燃料電池バスを主力に連節バスも使用

 東京BRTの運行は京成バス奥戸営業所東雲車庫が担当。プレ運行にあたって9台の専用車両が用意されている。外装デザインは配色が緩やかに変化するレインボーカラー。フルカラーLEDの行き先表示器が採用されており、前面は行き先の日本語→英語→発車時刻が自動的に切り替わる設定となっている。

 内装ではシートのカラーを「江戸むらさき」としている点が特徴。すべてノンステップバスで、車椅子乗降用のスロープ板を装備する。また運転士に異常があった際に乗客がボタンを押すと停止する装置(EDSS)が装着されている。

プレ運行の主力として5台が導入された燃料電池バスのトヨタSORA

 プレ運行の主力として社番1001~1005の5台が導入されたのは、燃料電池バスのトヨタSORA。水素の化学反応で発電し、モーターを駆動して走る環境性能に優れた車両である。各座席の窓側にコンセントを設置。

 車内2か所に次停留所等を案内するディスプレイが装着されている。また1001のみ前記した自動正着制御システムの車載装置を装備している。

 トヨタSORAは終日にわたり全区間で使用。昼間時間帯にイワサキ水素ステーション東京有明に回送のうえ水素の充填を行っている。

3台が活躍するいすゞエルガ。AT仕様の長尺モデルが選択されている

 社番1006~1008はディーゼルバスのいすゞエルガ。長尺タイプが選択され、最前部に案内用のディスプレイが装着されている。朝夕のラッシュ時やSORAが燃料の充填に向かう昼間時間帯を中心に全線で運用されている。

 社番1009はハイブリッド連節バスのいすゞエルガデュオ。ディスプレイは最前部、前車の後部、後車の前部の3か所に、EDSSは前車と後車の2か所に装着されている。平日・土日祝日とも、早朝の1往復が虎ノ門ヒルズに乗り入れるほかは新橋~晴海間で使用されている。

都区内初の連節バスとして1台だけ採用されたいすゞエルガデュオ

 なお本来、BRTは高速輸送とともに大量輸送を担うものである。このため、来年の東京オリンピック開催に伴うプレ運行二次ルートスタート時にはハイブリッド連節バスの増備、そして将来的な本格運行スタート時には燃料電池連節バスの導入が計画されている。

将来はお台場、豊洲、選手村に運行を拡大する

 プレ運行がスタートした10月1日、3種類のバスを乗り換えながら、虎ノ門~晴海間を何回か往復してみた。

 初日ということでバスファンや家族連れなど、バスへの乗車そのものが目的という乗客が目立ち、10~15時台の便はいずれも座席がひととおり埋まる程度の乗車率だった。

 今後、ビジネスユースを取り込んで利用者が増加していくにつれ、連節バスの比率を高めていく必要がありそうである。

環状2号線の築地大橋を渡って都心から臨海部を目指す連節バス

 また仮ルートでの運行であるため、BRTの速達性を支援するバスレーンなどはまだ整備されていない。それでもほぼ定刻で運行されているのは、時間帯ごとのクルマの流れを研究したダイヤによるものであろう。

 しかし、たとえば10時台の新橋→晴海間の所要時間は、都営バス「業10」系統の新橋→晴海一丁目間と同じ18分であり、BRTをうたうからにはよりスピードアップが求められる。

 本格運行の際にはバスレーンに加え、バスの接近に合わせて前方信号の青の時間を延長するPTPS(公共車両優先システム)の整備が求められよう。

建設工事が進む環状2号線本線トンネルを横目に走る燃料電池バス

 2021年4月以降のプレ運行二次ルートでは、虎ノ門ヒルズ~東京テレポート間の幹線ルート、虎ノ門ヒルズ~豊洲市場前間の晴海・豊洲ルート、新橋~勝どきBRTの勝どきルートの3系統へと拡大。

 環状2号線本線トンネルが開通予定の2022年度以降は、幹線ルートに晴海四丁目経由を設け、新橋~晴海五丁目間の選手村ルートを加えた本格運行が予定されている。東京臨海部の生活と観光を担う大動脈として、大いに成長することを期待したい。

◎参考サイト/TOKYO BRTとは?

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