欧州でおこなわれるほかのモーターショーより、出展メーカーの「サロン離れ」が少ないといわれるのがジュネーブ国際自動車ショーだ。その理由のひとつが、「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」の発表時期に近いことがある。
欧州カー・オブ・ザ・イヤーは、ジュネーブショーの会期前に発表される。今年は少々、例外的なことが起きた。ジャガー「I-PACE(アイペイス)」が選ばれたのはいいが、なんとジャガー・ランドローバー自体がブース出展を見送っていたのだ。
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表彰式にこそ、実車とデザイナーのイアン・カラム氏が姿を見せたものの、来場者はI-PACEを見られないという事態が起きたのだ。ジャガーにとっても初めて、かつEVとしても記念碑的な受賞なのに、ブレグジット直前の「フェアウェル受賞」と、揶揄を交えて記憶されてしまうのが勿体ない。
なお、今年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーは大接戦だった。アルピーヌ「A110」はI-PACEとおなじ250ポイントを獲得したが、1位に選んだ審査員の人数がI-PACEより少なかったため次点となった。3位のキア「シード」はたった3点差の247ポイントだった。4位以下も、フォード「フォーカス」が235ポイント、5位と6位はPSAからシトロエン「C5エアクロス」とプジョー「508」がそれぞれ210ポイントと192ポイントで食い込み、MBUXが自慢のメルセデス・ベンツ「Aクラス」は110ポイントと、ノミネート7台のなかで、ほかに大きく差をあけられた。
ノミネート7台のうち、ドイツ車は欧州フォードをカウントしても2台のみで、日本車やイタリア車がなく、フランス車が3モデルと多数派を形成しているのは決して偶然ではない。
コンパクト寄りのSUV 2台に、Cセグメントのハッチバック3台、Dセグメントのセダンとスポーツカーであるという配分自体、欧州市場の興味を反映していると思う。また、CO2排出量をメーカー全体で95g/km以下にしないとペナルティをうけてしまう「2020年ルール」を前に、欧州市場が質的に変化すべき、という審査側の志向も当然反映されているのかもしれない。
一方、地元メディアが毎年ジュネーブ・ショーで、一般の投票ポイント数で純粋に人気を競わせる賞が、「RTL賞」だ。地元メディアとはいえ、RTLは「ラジオ・テレヴィジョン・ルクセンブルク」の略で、ドイツやフランス、スペインやベネルクスを含む欧州8カ国に60以上のテレビ局と、30以上のラジオ局をもつ巨大メディアグループだ。最近は集計の手間を簡素化するべく、インターネット投票形式になったものの、欧州の一般的なユーザーによって選ばれる賞であると見なされてり、「市販車」、「グリーン市販車」、「コンセプトカー」、「子供のチョイス」と、4部門が設定されている。
まず「子供のチョイス」部門のトップ3は、ブガッティのタイプ57アトランティックに想を得たコンセプトカー「ラ・ヴォワチュール・ノワール」がぶっちぎりの全得票数の47%、フェラーリ「F8トリブート」が13%、ポルシェ「911カブリオレ」が9%を占めた。
「グリーンカー」部門のトップ3は、プジョー「3008ハイブリッド」が全得票数の37%でトップ、次点がホンダ「Honda-e」プロトタイプが33%、続いてアウディ「Q4 e-tron」が15%だった。英国工場を引き揚げるとはいえ、ホンダのEV市販車に対する興味は高いようだ。
「コンセプトカー」部門のトップ3は、プジョー「508プジョー・スポール・エンジニアード」が全得票数の61%と2位以下を大きく引き離してトップだった。2位は7%でアルファロメオ「トナーレ」、3位は6%でフォルクスワーゲンの「IDバギー」、シトロエン「アミ・ワン」、日産「IMQ」が並んだ。
現実的な選択肢としての人気を示す「市販車」部門のトップ3は、ルノー「クリオ(日本名:ルーテシア)」が1位で、プジョー「208」が2位だった。全得票数のそれぞれ56%と38%を獲得しており、じつに9割以上の投票者が興味を持っているという結果になった。日本ではすっかりカルロス・ゴーンの件で悪役のように扱われているルノーであるが、大衆車メーカーでありながらF1参戦を長年継続するなど、欧州で一定のリスペクトを勝ち得ている要素は多々ある。一方のプジョーは、ハンドリングと実用性のベストバランスとして、控えめな中流アクティブ層につねに好まれる。3位のマツダ「CX-30」はわずか2%と大きく差をつけられたものの、4位以下の埋もれてしまった新車と違って一定数の潜在的ファンを獲得し、日本車の意地を示してくれたといえる。
ただし欧州カー・オブ・ザ・イヤーとRTL賞の乖離は決して、ジャーナリストの評価と、現実的な選択肢を探すユーザー側との体温差ではない。前者には市場の進んでいく方向を先んじて反映しようとする先導的役割が大きいし、後者はあくまで欧州ユーザーの一般的な好みをスクリーンショット的に抽出するという内容である。
つまりふたつの賞の結果は、欧州クルマ事情の“今”と“未来”を映しているのだ。
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