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「エンジン」での実績は活きるのか BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 電動サルーン3台比較(1)

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「エンジン」での実績は活きるのか BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 電動サルーン3台比較(1)

過去に経験したことのない速度上昇

テスラ・モデルS プレイドのアクセルペダルを、深く踏んでみる。凄まじい加速体験に、比較する2台へ勝ち目があるのかという疑問がよぎる。

【画像】運転を愉しめる1台は? BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 内燃エンジンのM5とAMG GTも 全120枚

トリプルモーターの最高出力は、実に1034ps。内臓が痛くなるような、過去に経験したことのない速度上昇へ言葉が詰まる。

AUTOCARでは、実環境での動力性能を明らかにするため、精密な計測機器を搭載して主要なモデルをテストしている。正確な数字となって、速さが示される。

ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツやフェラーリSF90 ストラダーレを持ってきても、モデルS プレイドの発進加速には敵わない。静止状態から100km/hまで、たった2.1秒でこなしてしまうのだ。しかも、最高速度は321km/hに達する。

クルマを測る尺度は速さだけではない。BMW i5 M60とメルセデスAMG EQE 53という電動サルーンが、異なる魅力を備えていることは明らかだ。とはいえ、圧倒的なダッシュ力を目の当たりにすると、少し思考が停止してしまう。

アメリカが生んだモデルSは、10年前は孤高の革新的サルーンだった。しかし現在は、多くのメーカーが凌駕するべき1台へ、受け止められ方は変わった。

BMWやメルセデスAMGは、内燃エンジンで走るスーパーサルーンの雄といえる。匹敵する実績を備えるブランドは、ほぼ存在しないといっていい。それでは、2024年のバッテリーEVにおける状況はいかに?

高い完成度のスーパーサルーンを生んできた2社

スーパーサルーンの先駆者となったのは、1985年のBMW M5。直近のBMW M5 CSも、過去に例がないほど高い完成度にある。恐らく、史上最高の1台に数えられる。

かたや、i5 M60は正式な「Mモデル」ではない。BMW Mモータースポーツ社の技術者が仕様を詰め、Mを名乗っても良いと承認した程度といえる。それでも、ツインモーターの最高出力は598psへ高められ、シャシーはシャープに仕立ててある。

メルセデスAMGも、輝かしい内燃エンジン・モデルを数多くリリースしてきた。このEQE 53は、正式な「AMG」。ドイツ・アッファルターバッハ の技術者が深く関与した、EQS 53に次ぐ2番目のバッテリーEVだ。

EQE 53のツインモーターは、通常では625psを発揮する。だが、オプションのAMGパフォーマンス・パッケージを実装すれば、短時間ながらブースト機能で686psへ強化される。

テスラは、BMW MやAMGのような栄誉をまだ得ていない。プレイドという変わった名前は、CEOのイーロン・マスク氏らしい。1980年代のコメディSF映画、「スペースボールズ」にちなんだものだとか。

1034psを備えていても、モデルS プレイドは通常のモデルSと、見た目に大きな違いはない。左ハンドル車のみの設定は、かつてのE30型BMW M3やランチア・デルタ・インテグラーレへ通じる、エキゾチック感を生んでいる気もしないではないが。

ハイテク感でモデルSを凌駕するEQE 53

モデルS プレイドのスタイリングは、従来どおり。プロポーションが良く美しい。EQE 53も滑らかな面構成で、使い込んだ石鹸のように滑らかだ。

この2台と並ぶと、i5 M60の四角さが際立つ。トラディショナルな3ボックス・ボディは、ガソリンターボ・エンジンを搭載する5シリーズと共有するという、必然から生まれた。ボンネットの長さも目立つ。

インテリアも対照的で面白い。モデルS プレイドは、フェイスリフト後でもミニマリスティック。ブランドのフラッグシップ感は薄く、巨大なタッチモニターが強い存在感を放つ。稼働するソフトウエアは、驚くほど扱いやすい。

バッテリーEVらしく、車内空間は広々。荷室容量も今回の3台の中では1番広く、充電ケーブルをしまえる収納も設けられている。

EQE 53も、電動パワートレイン専用のプラットフォームを基礎骨格とする。ところが、丸く膨らんだ見た目の印象ほど、車内空間が広いわけではない。

オプションのハイパースクリーンを指定すれば、ダッシュボードのほぼ全面がモニターになり、ハイテク感はモデルS以上。英国では、6990ポンド(約129万円)の追加費用が求められるが。

それを構成する3面のモニターは、感心するほど機能的。ソフトウエアはゼロレイヤーというコンセプトでデザインされ、メニューを掘り下げずとも求める機能を操作できる。

3台で1番豪華なi5 M60のインテリア

i5 M60のダッシュボードには、上部にワイドなモニターパネルが載る。EQE 53と同等に表示は高精細だが、オーディオ・ソースやドライブモードを切り替えるには、少し長めにモニターを見つめることになる。運転中は避けた方が良いだろう。

そのかわり、スタイリッシュなインテリアは3台で1番豪華。最高品質の素材で、丁寧に作り込まれた印象を受ける。モデルS プレイドだけでなく、EQE 53も、内装にはプラスティック製部品が目立つ。ソリッド感でも及ばない。

車重は、シンプルなインテリアも影響してか、モデルS プレイドが一番軽く2167kg。i5 M60は2380kgで、EQE 53が2525kgとかなり重い。

3台で1番非力なi5 M60の瞬発力は、0-100km/hで3.8秒。それでも充分速いといえ、不満ないパンチ力を披露する。ただし、ステアリングホイールのブーストパドルを引いた最長10秒間しか、本領の598psを引き出せない。

加速は至ってシームレス。四輪駆動だからトラクションも見事で、ホイールスピンは最小限。1Wの電気もムダにしない。

試乗車のi5 M60は宇宙船のような人工音がオンになっていたが、オフにすれば、走行中はほぼ無音。残りの2台は、意外なほどロードノイズが大きい。

BMWのチューニングによる、ワンペダル・ドライブは最高。回生ブレーキの効きは調整しやすく、制動力は強く、ブレーキペダルを踏まずとも滑らかに停止できる。ブレーキディスクとパッドを頼る場面でも、フィーリングは自然。漸進的で頼もしい。

この続きは、BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 電動サルーン3台比較(2)にて。

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