コロナが落ち着いた11月に開催
text:Gumi Ogata(小方茱萸)
photo:Takahiro Shicinohe(七戸隆弘)
2020年はコロナのニュースから始まり、やがて世界的に深刻な状況となった。3月のジュネーブ・モーターショーが開幕3日前に中止となり、F1開幕戦のオーストラリア・グランプリも開催当日朝になってキャンセルされる異例の事態となった。
【画像】第13回コッパディ東京 参加したスポーツカー/バブルカー【現地レポート】 全86枚
クラシックカーのイベントにも影響がおよび、F1モナコ・ヒストリックやルマン・クラシックが中止となり、ミッレミリアも延期のアナウンスがされた。
その後、コロナ禍での運営方法が模索され、観客を入れないでレースが開催されるようになった。ヒストリックカー・イベントも夏頃から再開されるようになり、延期されていたイタリアのミッレミリアは300台もの参加車両を集めて10月に行われた。
日本におけるコッパ・シリーズも、4月のコッパディ小海、6月のコッパ ディ京都とも中止と延期が発表されたが、結局今年中の開催は断念された。
そのなかでコッパ ディ東京は、関係者の協議に基づき東京都港区の許可を得て開催の運びとなった。ただし感染対策として密を避けるため、昨年までのように130台を超える参加車両が一堂に集まることは避け、11月22日と23日の2日間に分け、それぞれが独立したイベントとして第13回と第14回として催された。
万全の感染対策を実施
こうして11月22日に第13回コッパ ディ東京が行われた。9時半からのスタートだが、8時頃から参加車両は、港区汐留のイタリア街中心にある広場を目指してやってくる。それまでに、スタッフはお互いに検温して体調を確認して準備を整えた。
参加車両の入場時にドライバーとコ・ドライバーの体温チェックを実施。その後は見学者の検温と消毒を行い万全の感染対策が施された。これまでとは違う状況下でのコッパ ディ東京となったが、久しぶりのイベントだけに参加者も見学者も秋のひと時を穏やかに楽しんでいる光景が印象的だった。
第13回コッパ ディ東京は感染対策としていつものラリー競技は用意せず、ツーリングのみという内容とされた。コッパ ディ東京は、第1回目は台東区からの依頼で区内の魅力を発信したいとのことで、上野の国立博物館で開催された経緯がある。
以来、東京の下町を中心に走ることが定着しながらも、毎回少しずつコースを変えてきた。今年は22日と23日とでは、神田明神から浅草今戸神社を経由して柳橋と両国橋を渡る部分は同一だったが、その前後は、違うルートとされた。
11月22日に開催された第13回は、ツーリングと秋の東京の風物を楽しんでもらうことを目的とした。千鳥ヶ淵から外濠公園脇を走り、明治の頃は居留地として文明開化の中心地となった明石町へ。
大震災後の復興期の1926(大正15)に建設された当時最先端のモダニズム建築である明石小学校と、アントニン・レーモンド設計で1933(昭和8)年に完成したアールデコ風の聖路加病院のチャペルの脇を走行。
その後、波除神社を右折して築地市場場外を通ったのは、これまで使っていない初めてのルートで、東京居住の参加者にとっても意外な発見があったという。
例年通り希少車が集う
参加車両を見ると、ルマンで活躍したルネ・ボネからマートラへ至る各年代のジェットが4台参加したのが注目された。ジェットは史上最初に市販されたミッドシップ・スポーツカーと言われ、空力的なスタイルが特徴だ。
マセラティ兄弟が関与した最後のマセラティであるA6G(通称、モノファーロ)や、A6GCSのようなレーシングカーがその雄姿を見せた。
フェラーリも1965年に日本へ新車で唯一上陸した275GTBそのものが参加し、その55年におよぶ日本での歴史に新たなエピソードを付け加えた。
また、スポーツカーではないが、東京にこそふさわしいシティ・コミューターであり、コッパ ディ東京の名物のように毎年何台も参加があるバブルカーは、今年は10台を数えた。
たとえばイセッタならば、本国イタリアの本家たるイソから、イギリスで生産されたブライトン・イセッタや、もちろんBMWイセッタもありと、その違いを目の当たりに比べて見ることができた。
またメッサーシュミットも3輪はもちろん、4輪のタイガーのようなレアなモデルも参加した。このほかイギリスのトロージャンで生産されたハインケルや、前後シンメトリーなスタイルを特徴とするツンダップ・ヤヌスも登場して、いつにも増して多彩な顔ぶれで見る者を楽しませてくれた。
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