誰もが認める名車が一流だとしたら、その陰に隠れた実力者は“超二流”と呼んでいいだろう。
1980年代は日本のスポーツ4WDの創世記。大スターたちの陰で、それでも記憶に残り人々に愛された“超二流”の実力者たちをピックアップ。
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※本稿は2020年7月のものです
文:大音安弘/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年7月10日号
■国産4WDスポーツのスターモデルたち
日本のスポーツカーの高性能ぶりを、特に世界に知らしめたのが4WDスポーツ。日本専用だったGT-Rも、今や世界的名車に。
三菱ランサー エボリューションシリーズ
スバル インプレッサWRXシリーズ
日産 GT-R
■WRCへ挑み、夢ついえた猛者たち
クルマの高性能とハイテク化が進められた1980年代は、日本のスポーツ4WD創成期でもあった。
特にエポックメイキングだったのが、ギャランVR-4とレガシィRSの登場だ。高出力エンジン+スポーツ4WDが、スポーツセダンに新たな風を吹き込んだ。
三菱 ギャランVR-4(1996~2005年)…ランエボに活躍を譲り、独自の道を歩んだVR-4。最終となる8代目では高トルクな2.5L V6ツインターボへと換装。AYCや5速ATなどの最新機能を備えた大人向けスポーツセダンへ発展した
スバル 初代レガシィRS(1989~1993年)…スバルの危機を救ったスポーツセダンで、信頼性と高性能を世に知らしめた10万km連続走行最高速度記録の挑戦にも使用。今年勇退した名機EJ20ターボの初搭載車でもあった
その両者が挑んだのがWRC。2台のバトルは、役者を変え、後のランエボvs.インプの黄金期へと発展した。
一方、志半ばで消えたモデルもある。パルサーGTI-RとファミリアGT-Rだ。いずれもWRCのために開発されたウェポンながら、大きな実績を残せず……。
日産 パルサーGTI-R(4代目・1990~1995年)…WRC参戦のために送り出されたスーパーパルサー。コンパクトかつ軽量な3ドアハッチバックボディに、機械式4WDと230psの高出力エンジンを与えた超硬派モデル。残念ながら、WRCでは活躍できず
マツダ ファミリアGT-R(1989~1996年)…イケイケだったマツダが生んだ史上最強のファミリア。3連ダクトとワイドバンパーが印象的なスタイルだが、性能も歴代最高潮となる210psを叩き出す。しかし、ワークス活動撤退で、爪痕を残せず
特にファミリアは進化を続けるも、バブル崩壊とともにワークスが撤退。その夢も泡と消えてしまった悲劇であった。
後に登場したマツダスピードアテンザも、新たな高性能スポーツ4WDの姿を提案するも、1代で消滅してしまったのは無念。
マツダ スピードアテンザ(2002~2008年)…アウディS4などの欧州高性能セダンに挑んだフラッグシップ。272psの2.3L直4ターボと6速MT、電子制御4WDの組み合わせ。新生マツダの方向性を示す意欲作だ
ラリーといえばブーンX4も忘れてはならない。ダイハツ最後の競技専用車で、参戦フィールドこそ限定されたが、安価な競技車を提供したダイハツの志を高く評価したい。
ダイハツ ブーンX4(2004~2010年)…ダイハツ最後の競技向け超硬派モデル。900kg台のボディ、133psの1.0L、直3ターボ、4WD、5速クロスミッションのフュージョンが痛快な走りを生んだ。意外にも快適装備仕様も存在していた
■次点:三菱 ミラージュサイボーグ4WD(1987~1991年)
スポーティな3ドアハッチバックに、1.6Lターボと4WDを搭載したホットハッチ。セダンよりも短い全長4m切りのボディが武器。ただ競技車ベースもあるランサーGSRの陰に隠れてしまった1台。
三菱 ミラージュサイボーグ4WD(1987~1991年)
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