年度末はもっとも新車が売れるシーズンだ。最近では暦年末も“年末セール”が積極的に行われるようになった。そして2021年がモーターショーイヤーであったこともあり、2021年はメーカーからは魅力的な新車が多数登場している。
ところが世界的な半導体およびパーツ不足により、メーカーは思うように生産を伸ばせないでいる。その結果納期遅延が起こり、購入しても実際の納車日が不透明な状態となっている。
これぞトヨタの真骨頂!? 後出しジャンケンでライバルを叩きのめしたトヨタ車たち
ヴェゼルやカローラクロスといった人気SUVや、これから登場するノア/ヴォクシーといった人気ミニバンの納期はどうなるのだろうか?
文/小林敦志、写真/TOYOTA、MITSUBISHI、HONDA、ベストカー編集部
[gallink]
■ディーラーでの感触では納期が改善されつつある
一時期は1年待ちとアナウンスされていたカローラクロス(HEV)の納車も改善されつつある
日系完成車メーカーは、世界的なサプライチェーンの混乱により、調達に困難な部品などが発生し、2021年晩夏あたりから国内生産工場の操業停止や減産が相次いでいた。しかし、最近になってトヨタやホンダは2021年12月の工場稼働を平常に戻すと発表している。
さらにトヨタでは、系列販売ディーラーに対し、年明け(2022年)からは工場稼働率を120%にする予定とアナウンスしているとの情報も入っている。
ところが、12月13日よりトヨタの一部工場(国内4工場)の稼働を一部停止するという報道があった。その理由は部品調達が困難なことや、国内物流のひっ迫と伝えられている。つまり、それだけいまも先行き不透明な状態は変わっていないのである。
しかしそのようななかでも、トヨタ系ディーラーで話を聞くと、「新車がほとんど届かなかった9月や10月に比べると、11月は肌感覚でも確実にお客様へお届け(納車)する新車が多く届くようになりました。12月も予定を聞いている限りでは、確実に増えております」とは現場のセールスマン。
販売現場では、「トヨタやホンダがとくに影響を受けている」とも聞く。
確かに、2021年10月あたりでは、9月に登場したばかりのトヨタ カローラクロスのHEV(ハイブリッド車)や、同ヤリスクロスで納車約1年待ちであったり、ホンダ ヴェゼルではPLaYグレードがオーダーストップ(いまも継続中)になるなど、混乱ぶりが目立っていた。
しかし、事情通によると「現状ではカローラクロスでも、あくまで予定ですが最も納車待ちが長いモデルでも、納車予定は2022年5月あたりとなっています。
ヤリスクロスはHEVが際立って納車待ち期間が長いのですが、それでも2022年8月あたりとされているので、納期遅延は微速ながら改善傾向にあるようです」と説明してくれた。
■同じ車種でもグレードによって納期差が
2021年11月に登場したトヨタ ライズでは、Zグレードが大きく遅延しているのに対して、他グレードでは2カ月ほどで納車可能となっている
また、納期遅延が以前よりピンポイントとなってきているようにも見え、さらに同じモデルでも納期の差が激しくなっているケースもある様子。
例えば2021年11月1日に一部改良を行ったトヨタライズでは、Zグレードが2021事業年度内(2022年3月末まで)に納まるかどうかと遅延しているのだが、そのほか(新設定されたHEVも含む)の仕様では2カ月ほどで納車可能予定となっている。
また、2021年11月25日に一部改良モデルが正式発売となった三菱エクリプスクロスも、12月上旬に聞いたところでは、PHEV(プラグインハイブリッド車)であっても2カ月ほどで納車できるとのことであったが……。
「11月末に令和3年度補正予算案に、クリーンエネルギー自動車購入に関する補助金が盛り込まれたとのニュースが流れるやいなや、PHEVの受注が急増しました。現段階で納期は2カ月ほどとご案内いたしましたが、これは一定台数を生産できる部品を確保してから生産を開始し、発売したためのようなのです。
つまり、この初期ロットとも呼べる生産分を売りつくせば、その後の生産は滞る可能性は高いですね」とは三菱系新車ディーラーのセールスマン。
前述したライズにしても同じような状況のため現段階では納期が早めになっている可能性は高い。
前述したカローラクロスでも、ガソリン車ならば2021年12月上旬現在で、2022年2月には納車可能な仕様もあるようだ。
ただ、2020年6月の正式発売から人気が高く納期遅延の続いているトヨタハリアーでは、ガソリン車で2022年6月あたり、HEVでは2022年9月あたりを納車可能予定としており、納期遅延傾向が際立って見える。
しかし、オプション次第ではさらに納期が延びるというのだが、この納期遅延傾向は昨今のサプライチェーンが混乱する以前とたいして変わらないので、見方を変えればハリアーも若干の納期遅延改善が進んでいるのかもしれない。
そもそも納期の短かったアルファードでは、現状でも3カ月も待てばほぼ間違いなく納車となるので、2021事業年度内に納車が間に合いそうな数少ないモデルといえる。そのため2022年1月になってから事実上スタートする、2021事業年度末決算セールでの目玉車(納期早く、値引き額も拡大している)となりそうだ。
■納期遅延が中古車価格にも影響
納期遅延が顕著だった頃のトヨタ アルファードは中古車に人気が集中し、結果高年式車のオークション価格がアップするという現象も見られた
2022年1月13日には新型ノア&ヴォクシーがデビュー予定となっているが、新型車は昨今の生産遅延問題がなくとも納期が乱れ遅延傾向になりやすい。
販売現場では納車まで時間のかかる新型ノア&ヴォクシーでは事業年度内での販売実績への反映、つまり決算への反映ができないので、新型ノア&ヴォクシー目当てのお客へ、アルファードへの購入希望の変更を促す動きが目立ちそうだ(残価設定ローンを組めばアルファードが絶対的に買い得)。
アルファードは納期遅延のひどかった9月や10月では、中古車不足も顕著となり、それ以前に対し1年落ち高年式車のオークション相場が50万円アップした(一般的には減価償却が進むのでそのようなことはまず起こらない)という事例も聞いている。
資産価値が高いともいえる日本車はアルファード、ランドクルーザー系や日産GT-Rなど極めて限定的といっていいだろう。
「下手をしたら1年近くも納車を待たなければならないのに、なぜそんな時期に新車を購入するのか?」と疑問に思う人も多いはず。実際には今でも毎月新車を購入する人は多くいる。その答えはまさに乗り換え予定の現有車の価値がハンパのない上昇を見せているからである。
アルファードだけでなく、プリウスαでも、査定額が初夏ごろに比べて50万円アップしたと聞いている。高年式人気車で程度良好ならば、まさに売り時なのだが。いまの中古車不足は高年式車だけではなく、低年式の格安中古車と二分しタマ(在庫)不足が続いている。
そのため、低年式車でも人気のSUVやミニバン、軽自動車では意外なほどの下取り査定額や買い取り査定額が飛び出す可能性は高い。
9月・10月あたりが下取り額や買い取り額の“テッペン”ともされているが、まだまだ平常時より高値が期待できる“売り時”が続いており、販売現場ではこれを突破口にして新車の販売促進活動をおこなっている。
「通勤などで日常的に使うことがないならば、新車を待つ(納期遅延)分は得する可能性が十分高い」とは現場のセールスマン。
生産状況の改善が進んだとしても、店頭に届く新車は受注残車両(契約はもらったが、いまどきなら生産遅延で新規登録[軽自動車は届け出]ができずに納車できていない車両)から順番に届くので、納期遅延傾向は程度の差こそあれ、まだまだ続く見通し。
それでも販売現場では、2021年12月は例年ならば暦年締め(1月~12月)での年間販売目標台数必達のために、ディーラー在庫車を中心に年内納車が間に合う車種のまさにバーゲンセールが展開される。
■レンタカーへ優先的に新車が配車されることも
KINTOのようなサブスクリプションサービスなどに優先的に配車されることもあるようだ
だが、前出セールスマンに2021年12月の様子を聞くと、「もちろん、年末ギリギリまで目標達成を追いかけます。お客様からいただく注文と並行して“見込み発注(売れ筋車種の売れ筋仕様を販売現場でストックするため、前もってメーカーに発注すること)”している車両があります。
こちらは生産が保留になったりはせず生産計画に組み込まれますので、年内納車が間に合いそうな見込み発注車両の販売促進をメインに活動を進めていきます」とのこと。
事情通は「先日あるメーカー系レンタカー会社を利用したのですが、その時2021年11月末登録で、オドメーターが数十kmの新車が引き当たりました。
『遅延している一般個人客への納車を優先しないのか』とも思いましたが、受け付けスタッフに聞くと、レンタカーのようなフリートセールスに関しては、年間で生産及び配車計画が立てられているようです。
そして『おそらくその新車も当初予定より遅れて配車されたのでしょう』と説明してくれました。一般個人向けの生産枠のほかに、展示や試乗車の枠があることは聞いたことがありますが、レンタカーやカーシェアリングなど、フリートセールス向け生産枠もあるのかもしれません」と話してくれた。
それでは今後も完成車生産は平常レベルを維持し改善していくものかといえば、販売現場の反応は懐疑的である。事情通も「工場稼働が平常時レベルに戻ると言っても、部品の供給体制が元に戻ったという話は聞きません。
大がかりな道具を駆使して駐車車両から希少金属目当てで触媒を狙いマフラーごと盗難に遭うケースが増えているといった報道を見てもそれは明らかです。
しかも原材料やそれに伴う部品不足は昨今のサプライチェーンの混乱だけではなく、ソーラーパネルなど、気候変動対策に有効な機器への使用が増えて、不足や価格高騰しているケースもあるようです」と話す。
販売現場では、「事業年度末、つまり決算への影響を考慮して2022年3月末までは工場の平常稼働もしくはそれ以上を維持するが、新年度に入ったとたん再び生産遅延が目立つのではないか」と不安視する声もよく聞く。
■依然として不透明な要素も多い
2022年早々にデビュー予定となっている新型ノア&ヴォクシー。その頃には納期遅延も解消されているといいのだが……(写真は現行型)
本稿執筆段階ではまだまだ未知な部分も多い、新型コロナウイルスの新たな変異株である“オミクロン株”の感染拡大とその影響(とくに新興国)次第では、さらに状況は不透明感を増しそうである。
工場稼働が平常に戻れば納期遅延が解消されるのかといえば、それは早計な話。完成車メーカーからすれば「ラインオフすればそれで良し」ともいえるのだが、その完成車が各地のディーラー店舗に届かなければ納期遅延は改善されない。
生産体制が回復すると、今度は全国各地へ届けるための物流体制がボトルネックとなる可能性があるのだ。
仮に工場稼働率を平常時の100%以上、つまり増産体制をとったとしても、キャリートラックなどの輸送体制がそれに伴わなければならないが、例えば陸送するキャリートラックの台数が日常的にダブついているとは思えない。
単純に考えれば、輸送が間に合わずに工場周辺に完成車が溢れてしまい、結果的に深刻な納期遅延解消に時間を要してしまうことも起こりかねないのである。そのため販売現場では「数カ月単位では、まず現状が著しく改善されることはないだろう」という声を多く聞く。
現状では、あるモデル全体が深刻な納期遅延となっているケースはまず存在しない。HEV全体などパワートレーンの違いや、選択するオプション、そして装備内容の関係で、あるグレードのみなど、ピンポイントで長期の納期遅延が発生している。
メーカーやディーラーの一部では、ウエブサイト上で“工場出荷時期のメド(納期はこれに1カ月ほど加えるのが目安)”や、取り扱い各車の納車予定などの公表を行っている。ただし、これはあくまで目安であり、前述したように不安定要素もあるので、確かな納期をお客に示せないのが悩ましいようである。
できるだけ納車まで待たないようにするには、デビューしたばかりの新型車ではない人気車については見込み発注車両(グレードやボディカラー、オプションが決まってしまう)からの選択を心掛けるしかないだろう。
新型車については、とにかくディーラーに初めて出荷される“初期ロット”車両を狙うしかないのだが、初期ロット車両のラインナップはディーラーには選択権がないので、何がくるのかわからない。ここでも初期ロットに入りそうな、売れ筋グレードでの売れ筋ボディカラーを狙うしかないだろう。
しかし、同年式車として納車される新車自体が少なめとなっているので、将来手放す時には、同年式同型車の中古車としての流通台数も少なめとなるので、リセールバリューに期待できる部分は大きい。
また前述したように現状では下取りや買い取り査定額がかなり好条件で推移しているので、いつもより納車を待たされることを含め、損得勘定次第では現状でも、実は“買い時”とも考えることができるのである。
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みんなのコメント
落ち着いてから買えばいいじゃん。
現状だと人気車種は6か月~1年近い納期になっていて、仮に通常の200%作っても6か月が3か月になるだけです。
現実問題としてフル生産してもせいぜい120%程度の稼働率にしかならないので、6か月が5か月に縮まるかどうかという程度です。
納期が1年近いような人気SUVだと多少縮まったところで長納期には変わりないです。
これは先日点検の時に会話したディーラーの営業も同意見でした。
ただ、逆に言うと、中古車の値段もしばらく高止まりすることが予想されるため、今注文を入れておけば来年の納車時に前の車の下取り価格が通常より高い可能性が高いです。