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新しくもどこか懐かしい? 「愉しむためのBEV、時代が変わる予感」 ヒョンデ・アイオニック5N

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新しくもどこか懐かしい? 「愉しむためのBEV、時代が変わる予感」 ヒョンデ・アイオニック5N

ドリフト上等、仕上がりに自信あり

今回日本デビューを果たすアイオニック5Nは、その名の通りアイオニック5をベースとしたNブランドのモデルということになる。

【画像】ヒョンデ・アイオニック5N 試乗の様子をみる 全101枚

AUTOCARではすでに英国編集部によるレポートをアップ済。今回は袖ケ浦フォレストレースウェイ(FRW)において行われた試乗会における印象を報告する。

ベースとなったAWDのアイオニック5の最高出力は305ps。これでも十分にパワフルな感じがするが、対する5Nは倍以上の650ps! しかもその高出力を徹底的に遊ぶために利用しようという試みが興味深い。

袖ケ浦FRWに到着すると珍しい光景が目に飛び込んできた。パドックに散水されたエリアがあり、そこでドリフト試乗が行われていたのである。クローズドコースで結果的に滑ってしまうことはあるが、積極的に滑らせてちょうだいという試乗会は初めてかも。ヒョンデのN、いきなり熱量が凄いのである。

アイオニック5Nは650psに対応するための専用装備で固められている。タイヤもベースモデルの255から275幅に拡幅。専用の電制サスや電子LSDも装備しているし、ボディシェル自体もスポット溶接と接着剤で強化されている。攻撃的な前後バンパーや赤いラインによる見た目の差別化も効いている。

室内もツボを抑えたブラッシュアップが施されている。ステアリングはエアバッグ部が小さくボタンが増設されたスポーツタイプだし、センターコンソールも専用品に換装されている。フロントのセミバケットシートも運動性能を考えればマストアイテムだ。

サーキット連続周回宣言に驚く

試乗前の説明で特に感心させられたのは「レーストラックケイパビリティ=本気でサーキットを走れる性能」を強調していた点だった。

市販車を全開で走らせたとき最初に問題となるのはブレーキだ。ほとんどの市販車はサーキットで連続周回できるようには作られていない。だがアイオニック5Nの場合フロントの大径ブレーキに加え強力な回生を併用することでフェードに対処しているという。

一方過酷な走行に対応するためのバッテリーの温度管理も徹底しており、それによってローンチコントロールやオーバーブーストの性能を担保しているという。ハイパワーEVであればこの手の対策は施しているはずだが、その仕上がりをことさら強調しているあたりが、繰り返しっぽくはなるが今回のヒョンデNの斬新な部分なのである。

標準で609ps、ステアリング上の赤いオーバーブーストボタンを押すと10秒間だけ650psが供給される。だが実際にサーキットを走ってみると、パワーよりもボディの剛性感の方が印象に残った。ベースモデルではその強固な感じが上質さに直結していたが、アイオニック5Nでは600psオーバーのパワーを余裕で使いこなすための起点になっていた。

低速コーナーから立ち上がる瞬間は4駆のスタビリティを実感するが、それ以外のシーンではリアモーター主導によるFR的なすっきりとした走行フィールに終始。

気持ちいい走りをよく理解しているエンジニアによって作り込まれた感のある、いかにもメーカーチューニングらしい隙のなさである。

愉しむためのBEV、突破力に脱帽

アイオニック5に負けず劣らず、その高性能版の完成度は高かった。アイオニック5Nの最大の特徴はBEVだからこそ成立するドライビングファンが詰め込まれている点にある。

今回の試乗で最も感心させられたのはN eシフトだった。これは“仮想変速”の機能で、まるでパドルシフト+8段DCTを備えたICE車さながらの音とトルク変動が味わえる。

仮想だから当たり前なのだが、鋭いレスポンスで変速がバンバン決まる。実車の中にVR(仮想現実)が入り込んだようなシステムで、試す前は“子供だまし”にしか思えなかったのだが、使ってみるとこれがアナログ車を愛するドライバーの琴線に触れまくるのだ。

一方ドリフト試乗は簡単にはいかなかった。Nドリフトオプティマイザーなる駆動力を調整してくれるモードに頼っても、ドリフト姿勢を保つのは難しい。床下バッテリーのおかげで重量配分がミッドシップ的ということもあるし、強大なトルクがテールを振り出しやすく、しかし止めにくくもしている。

クルマ酔いするほど滑らせてわかったのは、4輪のグリップが最大限に活用できており、スタビリティが恐ろしく高いということだった。

クローズドコースまで自走していき、現地の急速充電器を使ってサーキット走行やドリフトを楽しむためのBEV。実際にアイオニック5Nはその概念に忠実に作られている。

考え方は目新しくないが、実際にそれを実現してみせたヒョンデの突破力には脱帽するしかない。かつてWRCを沸かせていた国産メーカーのエンジニアがアイオニック5Nに触れたら複雑な思いに駆られるかも知れない。

試乗車のスペック

全長×全幅×全高:4715×1940×1585mm
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:3.4秒
駆動方式:AWD
車両重量:2235kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:84.0kWh
急速充電能力:350kW
最高出力:650ps(オーバーブースト時)
最大トルク:78.2kg-m(オーバーブースト時)
タイヤサイズ:275/35R21

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みんなのコメント

3件
  • ********
    韓国とは関わるな
  • AKI
    新しくも懐かしい?

    日本に前に参入してた時ヒュンダイ車は全く売れなかったけど?
    日本人の誰も懐かしいなんて思ってないけどw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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