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メルセデスSクラス vs アウディA8 vs BMW 7シリーズ 大型高級セダン対決 後編

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メルセデスSクラス vs アウディA8 vs BMW 7シリーズ 大型高級セダン対決 後編

もくじ

前編
ー ラグジュアリー・サルーンという伝統
ー Sクラス/A8/7シリーズ 三つ巴
ー 3台の候補者 スペック/装備詳細
ー 「ボス席」に見る、各メーカーの流儀
ー 後部座席、いちばんになったのは?

メルセデスSクラス vs アウディA8 vs BMW 7シリーズ 大型高級セダン対決 前編

後編
ー 室内で体感 空気の冷たさ、あたたかさ
ー インフォテインメントに見られる優劣
ー モードは「一時の気晴らしのようなもの」
ー 7シリーズだけが「ほかと少し違う」
ー 番外編 ほかにもあった2台の候補

室内で体感 空気の冷たさ、あたたかさ

クルマを長く使う人は、ジャーマン・リムジンは現代のほかのクルマと比べてインテリアの素晴らしさが2倍は長持ちしてほしいと思うだろう。

今日の3台は皆そのような感じだが、メルセデスとアウディはそれぞれ違ったやり方で驚かせてくれるのだ。

A8ではポリッシュされた素材の仕上げが驚くほど均一で、素材の組付けも精緻極まりない。うっとりさせるような装備品はすべて触っても完璧だ。

しかし、A8のキャビンは控えめでフォーマルな雰囲気。信じられないほどきっちりとしているが、反面、たやすく触るのをためらわせるような感覚がある。

Sクラスは明らかによりあたたかい。素材もリッチで本物の贅沢を味わせてくれるクルマだ。メルセデスのインテリアはアウディほど前衛的ではなく、A8では最小限にまで減らされたスイッチ類がSクラスにはたくさんある。

それでもフラット・スクリーンの計器盤と隣のインフォテインメント・スクリーンは巧妙なバックライトでダッシュボードの前に浮き上がっているように見え、アウディよりも技術の先進性を強くアピールしている。

また、メルセデスのスクリーンには指の跡が付かないので、指紋が残るA8のタッチスクリーンよりも見た目がきれいだ。

一方、アウディのインフォテインメント・システムの操作は、厄介で面倒くさい作業の始まり。詳しく見ていこう。

インフォテインメントに見られる優劣

A8の2段重ねのタッチスクリーン式インフォテインメント・システムには触覚フィードバックの機能が組み込まれているが、感覚が不自然で、ラジオの局を変更したり、ナビに地点登録をしたり、レーン保持システムをオンにしたりするときでも、スクリーンを少し強く押さないと反応しない。快適で直観的な操作とは言えない。

対照的に、メルセデスではインフォテインメント・システムを操作するデバイスを選択することができる。おなじみのロータリー式コマンド・コントローラーは中央トンネルの上にあり、タッチ式のパッドはすぐその上、そして今回、ステアリング・ホイールの両スポークの上に、新たに親指タッチ式のコントローラーが付け加わった。

これでSクラスはA8と7シリーズをやっつけたのだろうか?

話はそんなに単純ではない。なぜなら、確かにメルセデスの上記のような小道具はアウディやBMWよりちゃんとしているかもしれないが、アウディの小道具の少しぎこちない動作にもすぐに慣れるからだ。

ただし全体として、アウディは運転席と助手席のためのオタク的な技術がてんこ盛り状態と言えるかもしれない。

さて、A8と7シリーズの勝負はどうだろう?

A8は7シリーズには辛勝といったところ。リアシートのインフォテインメント・スクリーンを前席の背もたれから取り外してタブレットPCのように使うことができるからだ。

ここでもSクラスは順当勝ちだ(ただし、Sクラスのリアのエンターテインメント・スクリーンは一番小さく、操作に必要なリモコンのせいで最も使いにくい)。

さてお次は、運転してどうなのか? 乗せてもらってどうなのか? である。そのまえに、3台のクルマのメカニカルな構成をおさらいしよう。

モードは「一時の気晴らしのようなもの」

3台ともエア・サスペンションとアダプティブ・ダンパーを備えている。四輪駆動はアウディで標準、BMWではほとんどの場合オプション、メルセデスにはない。

四輪ステアはアウディとBMWともにオプション。その場合はフロントは可変レシオのステアリング・ラックとなる(今回はアウディにのみ四輪ステアが搭載されていた)。

フル・アクティブ・サスペンション(各種アクティブ・セーフティーと自動運転システムに必要なカメラとセンサーを流用して路面状況を先読みする仕掛け)は、Sクラスではオプション、A8では今年後半にオプション設定される。比較するうえで都合のいいことに、今回のSクラスにはついていなかった。

そしてはっきり言えば、3台とも、それがなくても乗り心地が最高にしなやかで快適で洗練されたクルマだった。リムジンといえども、最近では運転して面白いクルマでなくてはならない。もちろん。そのため、今回の3台とも走行モードを切り替えるスイッチを備えている。

乗り心地を固くしたり、ステアリング、変速機、アクセルのレスポンスを鋭くしたり、あるいは柔らかくしたり穏やかにしたり、と自由自在だ。

しかし大抵は、このようなモードは一時の気晴らしのようなものだ。余談だが、このようなリムジンでは95%の時間はデフォルトモードで走行している。つまり安楽で静かでふんわりしているのが一番なのだ。

そして、道路が鏡になったかと思うような穏やかで滑るような乗り心地と、従順できちんと制御されたハンドリングを両立しているという点では、Sクラスはほかの2車よりも明らかに一枚上手だ。

メルセデスの波長の長いコンプライアンスは、BMWやアウディよりも明らかに乗り心地をソフトに感じさせる。おそらく、ちょっと単調で古風でもある。

Sクラスは疑いなく真面目で古典的なドライブ・フィールを持ったリムジンだが、快適さへのひたむきな努力はまったく間違っていない。だれでもすぐに好きになるはずだ。

しかしながら、7シリーズもA8もあらゆる点でSクラスに負けているわけではないので、こちらのほうを好きになる余地だってたっぷりある。

7シリーズだけが「ほかと少し違う」

Sクラスと比べてA8は乗り心地が少し落ちついている。3気室のエア・サスペンションはタイヤからの共鳴音をSクラスよりも遮断してくれるし、四輪ステア・システムは交通状況がタイトな都会でクルマをメルセデスより小さくコンパクトに感じさせる。

一方の7シリーズは、ちょっと違って、街を抜け出して空いた道をかっ飛ばすのに最適なクルマだ。ステアリングは素直でダイレクト、高速でのボディ・コントロールも首尾一貫して安定しているため、前が空いたらアクセルを踏み込みたい誘惑にかられる。

7シリーズは間違いなくGTカーよりで、正真正銘のBMWである。性能も期待通りだ。しかし、乗り心地はほかの2車よりも明らかに喧しく、エンジンもほんの少しだけ下品である。

このような理由で、今日のベスト・ラグジュアリー・サルーンは740Ldではない。また、ここまでの調査結果を注意深く検討し、それぞれがどんなクルマでどんな感じかをしっかりと考えると、我こそはラグジュアリー・サルーンの覇者であると長年主張しているのがSクラスとA8であることは、驚くほど明白だ。1カ月ほど前に新型A8を単独で試乗したときに思った以上に。

独自のセールスポイントを持った2台の大型エグゼクティブ・サルーンのどちらが、比類なく豪奢で豪華な王座のスポットライトを独占するにふさわしいか判定するなど、鬼畜の所業である。残酷? たぶん。だが議論の余地などない真実なのだ。

Sクラスは、新型A8に対しては旧型のときほど優勢ではないかもしれない。しかし、その完成度の高さと強さ ーこの上ないシートの快適さ、素晴らしい乗り心地から、際立ったキャビンの豪華さ、至れり尽くせりの使い勝手、心の底からリラックスできる雰囲気に至るまでー は、まさに偉大なリムジンの手本というべきものだ。

発売からすでに5年がたっているが、この大型メルセデスは生まれつきの有望株なのだ。直接のライバルたちよりもリムジンの本質をよりよく理解している。

そして、空港の迎車レーンや豪華なホテルの車寄せでよく見る光景だが、見せかけだけのクルマとは違って「本当に高そうに見える」。隅から隅まで。これはカメラマンのパピオールが一番よく知っている。そうでしょう、パピオールさん。

番外編 ほかにもあった2台の候補

ジャガーXJ

XJは見たところほかのクルマと同様、長いサルーンだ。しかしほかのよりちょっと古いのでハイテク装備はない。

その代わり、静かでむしろ控えめなラグジュアリー・サルーンだ。Sクラスのように沢山のギミックはないが、それで豪華さが損なわれるわけでもない。

いっそう伝統的な感じがするだけだ。

もちろん、ほかと比べて乗り心地も問題ない。また、ヒースロー空港の短期間駐車場の上階で見かける機会もほかのクルマより少ないのもポイントだ。

レクサスLS

どんな相手になら、3台の大型ドイツ車を差し置いてこのLSを推薦できるだろう? 厄介な質問だ。

このクルマはまずパッケージングでがっかりし、ついで不快な3.5ℓV6ガソリン・エンジンに裏切られる。

しかし、もし息の詰まる欧州の伝統主義に飽き飽きであれば、クールな外観のLSを選ぶのも悪くはない。組み立てはこの上もなく精緻であり、使われているマテリアルも絶妙だ。

また、ハイブリッドを選択することもできる。政治の混乱と陰険な新聞記事のせいでディーゼルを避けたい向きには、無鉛であればなんでも魅力的だ。

このLSのようにCO2排出量のメリットも少なく、長距離ドライブではずっと多くの燃料を使うはずだとしても。

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