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【全ドライバー独自採点/F1第20戦】速さとタイヤ管理がずば抜けていたハミルトン。チームに大きく貢献したリカルド

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【全ドライバー独自採点/F1第20戦】速さとタイヤ管理がずば抜けていたハミルトン。チームに大きく貢献したリカルド

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はメキシコGPの週末を振り返る。

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【全ドライバー独自採点/F1第19戦】辛い結末のハミルトン。レッドブルも認めただろう角田裕毅の実力

 メキシコのアウトドロモ・エルマノス・ロドリゲスは、実はドライバーにとてつもない挑戦を強いるコースである。標高が高いため、空気は非常に薄く、大きなリヤウイングをつけても、ダウンフォースレベルはモンツァほどで、グリップが制限される。それに加えて、ヘビーブレーキングのエリアが3カ所、非常に遅いセクションが2カ所、高速コーナーが続くエリアもあり、マシンとドライバーの欠点が露になるサーキットなのだ。

 だからこそ、今年のメキシコGPで傑出したパフォーマンスを見せたドライバーはほんのわずかであり、ほとんどのドライバーが平凡なレベルにとどまり、通常から苦戦している者たちはより苦しんだ。そのなかのひとりは地元のヒーローだった。

■評価 10/10:超一流のハミルトンと、チームに貴重なポイントをもたらしたリカルド

ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選6番手/決勝2位
ダニエル・リカルド(アルファタウリ):予選4番手/決勝7位

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、2週連続で最高のパフォーマンスを披露した。メルセデスが比較的効率的にマシンのセットアップを仕上げると、ハミルトンはチームメイトよりも速さを発揮した。予選からその傾向があったが、その差は決勝で特に顕著だった。赤旗後、ふたりともミディアムタイヤで走り、タイヤをうまく持たせつつ、速く走るというチャレンジに立ち向かった。ハミルトンは、シャルル・ルクレールに対して、今シーズンベストといってもいいような素晴らしいオーバーテイクを見せた後、フェラーリをどんどん引き離し、それでいてタイヤを全く傷めずに、最終ラップではレース全体のファステストラップを記録するという余裕まで見せた。そのスピードとタイヤマネジメントの組み合わせは、超一流だった。

 週末のもう一人の偉大なスターはダニエル・リカルド(アルファタウリ)だ。オースティンでアップグレード版AT04に初めて乗った後、マシンに馴染んだリカルドは、メキシコでは週末の初めから速かった。予選ではQ1、Q2とチームメイトからトウをもらったが、Q3ではひとりで戦い、4番手タイムをマークし、レッドブル1台に勝利した。レースではアルファタウリにシーズンここまででベストのリザルトをもたらし、しかも赤旗がなければもっと良い結果を出せたはずだった。6ポイント獲得というのは、アルファタウリにとってこの上なく貴重な結果だ。

■評価 9/10:レースに関しては完璧だったフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選3番手/決勝1位
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選1番手/決勝3位

 ウイナーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、レースでやるべきことをすべて正しく行ったことに加えて、セーフティカー/赤旗下でタイヤ交換を行えたことは、当初の戦略から考えて、彼にとって有利に働いた。予選では珍しくQ2のランで2回とも小さなミスを犯した。しかしスタートでトップに立ち、チームメイトがシャルル・ルクレールを抜こうとして失敗したことで、ルクレールがダメージを負った状態で走らなければならなくなり、フェルスタッペンにとっては楽なレースになった。

 シャルル・ルクレール(フェラーリ)は最終結果が示すよりも優れたパフォーマンスを発揮した。クラッシュによるダメージで、マシンの左側で空力ダウンフォースが15ポイント失われた状態で、レース前半を走らなければならなかったにもかかわらず、彼は非常に速かった。最初の20周は、フェルスタッペンよりうまくミディアムタイヤを維持。ハードタイヤではSF-23の性能はあまり優れていなかったため、フェルスタッペンよりピットストップが1回少なかったとしても、ルクレールが勝つのは難しかっただろう。結局は、ケビン・マグヌッセンのクラッシュによって、ルクレールのほんの小さなチャンスも失われた。

■評価 8/10:予選でミスも決勝で光ったノリス

カルロス・サインツ(フェラーリ):予選2番手/決勝4位
ランド・ノリス(マクラーレン):予選19番手/決勝5位

 カルロス・サインツ(フェラーリ)にはルクレールほどの速さはなかったが、チームに大きな貢献をした。予選はポールから0.06秒と僅差に迫った。レースでは特にミディアムタイヤではギャップが少し広がったものの、ハードタイヤではジョージ・ラッセルに対してアグレッシブな防御を行いつつ、タイヤをうまく持たせ、その働きにふさわしい4位をつかんだ。

 ランド・ノリス(マクラーレン)は、Q1でミスを犯し、フェルナンド・アロンソがターン3で奇妙なスピンをした後に黄旗が出てしまったことで、予選は下位に沈んだ。それがなければ、ノリスはレースで、もっと上位を獲得していたはずだし、フェルスタッペンにとって最も手ごわいライバルになっていただろう。自ら絶好のチャンスを逃したため、この評価にとどまった。ただノリスは日曜日のスターのひとりで、コース上で大部分のマシンを追い越して挽回した。2回目のスタートが悪かったために、再び順位を上げていかなければならず、トップスピードが不足していることで、ライバルたちの意表を突くために創造性を発揮する必要もあった。

■評価 7/10:ペースに浮き沈みがあるなかポイントに繋げたアルボン

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選14番手/決勝9位

 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、Q2走行中、コーナーリングでトラックリミットを超えるというミスを犯したので、評価をひとつ下げた。フリープラクティスでは驚くような速さを見せたが、予選ではスピード不足に苦しみ、本人も困惑していた。しかし決勝の1周目にセンセーショナルな走りを見せ、レース全体を通してポイント圏内を走行。不運にも、赤旗直前のセーフティカー時にピットインしたが、その後のリスタートで3台を抜き、誰からもポジションを脅かされずに9位でフィニッシュした。

■評価 6/10:速さがあっただけにミスが悔やまれる角田裕毅

ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選8番手/決勝6位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選7番手/決勝8位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選16番手/決勝10位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選11番手/決勝11位
角田裕毅(アルファタウリ):予選15番手/決勝12位
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選12番手/決勝13位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選9番手/決勝14位
周冠宇(アルファロメオ):予選10番手/決勝15位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選20番手/決勝リタイア(16位完走扱い)

 アルファタウリにもう少しで抜かれそうになりながら、ぎりぎり6位でフィニッシュというのは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)にとってあまり良い結果とはいえない。ただ、少なくともチームに貴重なポイントをもたらし、コンストラクターズランキングでフェラーリとの差が縮まるのを阻止することに貢献した。重要な時にハミルトンほど速くなく、チームメイトはレース後半、タイヤを傷めることなく速さを発揮する繊細な走りをしたが、ラッセルにはそれができなかった。サインツを抜くことができずにタイヤを傷め、ノリスに対して防御する力が残っておらず、最後の2周では、リカルドに抜かれる心配をしなければならなかった。

 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、この特殊なサーキットを快適に走れず、輝くことができなかった。Q1ではチームによって難しい状況に置かれたものの、ミスを避けて、チームメイトよりも良い予選成績を収めた。レース前半はポジションを維持して走行、後半にはミディアムタイヤに苦労し、後方の角田から激しくチャレンジされた。アグレッシブな防御をするなかで、それぞれに責任がある接触が2回起きたが、ピアストリは幸いレースを続けることができた。しかしダメージを負った可能性はあり、タイヤに苦しんで、8位フィニッシュにとどまった。

 アルピーヌのマシンのパワー不足はメキシコのコースで大きなハンディキャップだったが、エステバン・オコン(アルピーヌ)は、1ポイントを持ち帰り、チームの週末を救った。ヒュルケンベルグをパスする時の動きは決定的なものであり、それによってオコンはDRSトレインから抜け出し、10位をつかむことができた。一方、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、チームメイトの後ろでのフィニッシュになったものの、予選ではオコンより速さを発揮した。メキシコの週末、アルピーヌのふたりともが堅実な仕事をした。

 角田裕毅(アルファタウリ)は、リカルドと同レベルのパフォーマンスを見せていただけに残念な結果だった。決勝中、ピアストリと7番手争いをしている際に、ターン1へのブレーキングで判断ミスを犯し、それによって彼のレースが台無しになるとともに、貴重なポイントを失ったのだ。FP3ではリカルドより速かった。パワーユニット交換でグリッド後方からのスタートになることが決まっていたので、予選ではリカルドにトウを与え、チームプレイヤーとして完璧な仕事をした。レースペースも素晴らしかっただけに、大きなミスでポイントを落としたことが悔やまれる。

 マシンのパフォーマンスは良くなかったが、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、レース中断と、2回目のスタートをうまく決めたことで、何周にもわたって10番手を走り続けた。チームはポイント獲得を期待しただろうが、その後、タイヤのデグラデーションが進み、ヒュルケンベルグは後方のマシンを抑えることができなくなり、最終的には13位まで落ちてしまった。しかし彼は今回も、チームメイトよりも良い仕事をした。

 バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は、予選と2度目のスタートで素晴らしい仕事をした。しかし最初のスタートで、ギヤのシンクの問題によりポジションを落としたことで、ポイント獲得のチャンスを失った。ファーストスティントでは、ハードタイヤを履いたアルボンの後ろを走り続け、トップスピードの不足から、オーバーテイクできなかった。レース後半、アルピーヌ2台の後方を走った時も同じ状況に陥った。さらに、マグヌッセンのクラッシュの直前にピットインするという不運もあった。あと数周走り続けていれば、赤旗が出たので、トップ10圏内からリスタートすることができただろう。ランス・ストロールとのクラッシュについてペナルティを受けたのは奇妙だ。ボッタスはストロールからスペースを全く与えられていなかったのだ。

 チームメイトの周冠宇(アルファロメオ)は、ボッタスと同等のペースを見せることができなかったが、Q3に進出できたことはよかった。決勝では、アルボンの後ろで足止めされた。ふたつのスティントで、ボッタスよりタイヤをひどく傷めたが、チームメイトがストロールとクラッシュし、後にペナルティを受けたことで、ボッタスのひとつ上の順位になった。

 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は、終盤、12番手を走行していたが、燃料ポンプのトラブルで、最終ラップにリタイアしなければならなかった。予選Q1でトラックリミットを超えたためにラップタイムを抹消されて、後方スタートになったが、日曜日にサージェントはとても良いレースをし、良い動きをいくつか披露し、オースティンで見せた進歩が本物であることを示した。

■評価 5/10:いつもの輝きがなかったアロンソ

ランス・ストロール(アストンマーティン):予選18番手/決勝リタイア(17位完走扱い)
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選13番手/決勝リタイア
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選17番手/決勝リタイア

 またしてもランス・ストロール(アストンマーティン)は、1発の速さでチームメイトに対抗できなかった。2戦連続でピットレーンからスタート(少なくとも今回はグリッドに向かうという間違いはしなかった)。古い方のパッケージでレース中にポジションを上げていった。ボッタスに攻撃した際に、相手に全くスペースを残さなかったので、当然のことながらコーナー出口で大惨事が起こり、ストロールがリタイアに終わったことに驚きはなかった。衝撃的だったのは、彼にペナルティが出なかったことだ。

 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、全体的にいつもの輝きを見せることができなかった。予選ではメガラップでQ2進出を決めたが、彼のキャリアで最も奇妙なスピンをして、イエローフラッグを出した。レースではターン1のインシデントで落ちたデブリを踏み、その後、粘り強く走り続けたものの、最終的にレースを諦めざるを得なかった。

 ケビン・マグヌッセン(ハース)は、ブレーキのオーバーヒートによると思われる左リヤサスペンションの故障で、高速クラッシュを喫した。幸いけがを免れたことは、この週末の彼にとって最も良い出来事だったといえるだろう。予選ではチームメイトが12番手を獲得する一方で、マグヌッセンはQ1落ちの17番手。レースでは、アグレッシブなディフェンス術を見せたが、サージェントに抜かれた後、最終コーナーでワイドになり、その半周後にクラッシュした。

■評価 4/10:成功の見込みのない動きでリタイアしたペレス

セルジオ・ペレス(レッドブル):予選5番手/決勝リタイア

 地元のヒーロー、セルジオ・ペレス(レッドブル):予選5番手/決勝リタイアは、予選ではチームメイトからの遅れがわずか0.16秒だったため、その時点ではそれほど悪くはなかった。RB19は予選ではいつもほどの競争力がなかったため、フェルスタッペン3番手、ペレスは5番手という結果だった。決勝では素晴らしいスタートを決め、ターン1までに3番手に浮上した後、リードを奪おうという野心的な行動をとった。これはそもそも成功の見込みがない動きだったため、ペレスはリタイアの責任をすべて自ら負う必要がある。レース開始後、わずか10秒でクラッシュしたペレスは、ランキング2位の座も安全ではなくなってしまった。






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