現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【戦車のように頑丈な作り】メルセデス・ベンツSL320 R129 英国版中古車ガイド

ここから本文です

【戦車のように頑丈な作り】メルセデス・ベンツSL320 R129 英国版中古車ガイド

掲載 更新 6
【戦車のように頑丈な作り】メルセデス・ベンツSL320 R129 英国版中古車ガイド

今も忘れられない存在感を放つ

text:John Evans(ジョン・エバンス)

【画像】R129型SLと現行のR231型 全39枚

translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)


メルセデス・ベンツのSL。どんなクルマなのかを象徴する2文字。これまですべて、同じくらい記憶に残るモデルとなってきた。

今回取り上げるSLは、R129と呼ばれるミレニアム世代。1989年から2001年まで、12年間に渡って製造された。特定の年齢層にとっては、今も忘れられない存在だと思う。

デザイナーのブルーノ・サッコが手掛けたスタイリングに、先進的な技術を満載。混ざりけのないドライビング体験が味わえた。伝説のSLを、現代へ蘇らせたといっても良いだろう。

販売も好調で、今の英国市場にもかなりの数のR129型SLが流通している。走行距離がかさんだ1997年式の3000ポンド(40万円)から、1万6000kmしか走っていない1995年式の4万ポンド(540万円)まで、幅も広い。グレードも280から320、500が含まれる。コンディションはマチマチだ。

価格はあくまでも、売り手の評価。根拠もさほど明確ではない。欲しいと思ったら、できるだけ数多くのクルマを見て、比較すると良いだろう。走行距離が短く不具合のない極上車になると、売り手側はクラシックと表現して価値を高めがち。

筆者が専門ショップと話をした中での注意点は、ボディのサビ。カーペットをめくらないと見えない部分にも、広がっていることがある。

R129型SLが登場したのは1989年。当初はAT車のみで、ガス充填ダンパーにリムーバブル・ハードトップ、ポップアップ式のロールバーを備えていた。部品の一部には、最上級のSクラスから流用されたものもあった。

英国編集部のオススメは後期型の320

車重は軽くはなかったが、新しいエンジンはそれを補うパワーを備えていた。年式によるが、320SLは2.8Lか3.0L、3.2Lの排気量を持つ直列6気筒エンジンが選べ、最高出力は195psから234psを誇る。3.2Lは、24バルブ、ツインカム・ユニットとなる。

ほかにも、330psを発揮する5.0LのV8と、さらにパワフルな400psの6.0L V12エンジンもラインナップされていた。6.0LのV12エンジンをチューニングしたAMG仕様も存在した。軽量なV8エンジン版のAMGもあり、最高出力は386psだ。

多数あるR129型SLの中で、234psを発生する直列6気筒を搭載したSL320が一番選びやすい。

1996年にフェイスリフトを受けている。大きな変化は、2トーンボディからモノトーンへ変わったこと。またバンパーのデザインが新しくなり、ブレーキアシストが追加されている。

SL600にも惹かれるが、注意が必要。V型12気筒は上質で静かだが、軽微な修理でも難しく、費用も高く付く。特にスロットルボディは、内部で腐食が進む可能性がある。

1999年には、メーターパネルにクロームリングが追加。ステアリングホイールの中央には大きなスリーポインテッド・スターがあしらわれている。便利なオプションは、電動のフォールディングミラー。駐車の際にありがたい装備だ。

R129型の最終モデルは、SL500のシルバーアロー・スペシャルエディション。無冠の帝王、スターリング・モスのサインが記念に添えられている。生産台数は100台だった。

執筆時に英国では、2001年式で走行距離3万3800kmのSL500を、4万3995ポンド(593万円)で発見した。これが、いま最も頂点に立つR129型のSLとなりそうだ。

不具合を起こしやすいポイント

エンジン

専門家が、自然に分解されると呼ぶほど、ワイヤーハーネスは時間の経過とともにボロボロになる。ショートを原因に失火することもある。

交換用ハーネスは150ポンド(2万円)くらいだが、作業料金は遥かに高い。多くは、水の侵入が原因となる。

初期の6気筒エンジンは、ガスケットがだめになりやすい。V8エンジンは、スロットルボディに不具合が起きがち。異音を生じる、触媒コンバーターの調子にも気をつけたい。

トランスミッション

信頼性は高い。特に初期の4速ATは、フルードの劣化に気をつけたい。定期的なフィルター交換は有効。過去の整備記録を確かめておく。

サスペンションとブレーキ

SLは車重が重く、フロントサスペンションのロワアーム・ジョイント、アッパーマウント、ブッシュ類やスプリングへの負荷は小さくない。ブレーキディスクやパッドの具合も確認したい。

電気系統

バッテリーの状態に注意。劣化していると、警告灯が点く場合がある。当時のアラームは、電力消費も大きい。

ボディ

専門家によれば、腐食の進んだSLを目にするという。特にトランク内とフロントフェンダー。

電動ソフトトップが正常に動くことも確かめたい。しばらく使用しないと、電子モジュールが故障してしまう。特に、ハードトップを載せっぱなしのクルマには注意が必要。

インテリア

革の状態が良好か、電動シートがしっかり機能するか確かめる。すべての装備品が正常に動くかも重要。試乗する場合はエアコンをオンにして冷気が出るか、ヒーターは温風を出すかを、確かめたい。

オーナーの意見を聞いてみる

ゴードン・ビショップ

「このSL320は2000年に買いました。ディーラーのデモ車両で、数ヶ月落ち、2400kmの走行距離を刻んだだけでした。それ以来19万kmを走っていますが、目立った故障もありません。SLは、走ることを好むクルマです。停まっていると調子が狂います」

「走行距離は多いですが、コンディションは素晴らしいと思います。塗装はとても堅牢で、アルミホイールも、普通のクルマのように腐食が進むこともありません。容姿は美しく、快適で、装備も充実しています。頑丈な作りは戦車のようですね」

「整備は定期的に、主にメルセデス・ベンツを得意とする専門ショップへお願いしています。ハードトップは保管してあります。幸い、わたしの場合ガレージに置ける場所がありますので」

知っておくべきこと

SLのリムーバブル・ハードトップは、40kgも重さがある。脱着作業は簡単ではない。

ドイツの専門店などが、1人で脱着ができるリフトを販売している。オーナーの中には滑車を用いた吊り上げ装置をガレージに備え付けている人もいる。ドイツのサイト、SLショップなどでは、ハードトップのスタンドも販売している。

いくら払うべき?

3500ポンド(47万円)~6999ポンド(94万円)

フェイスリフト前の1996年式を中心に、280から300、320、500まで、走行距離の多いSLが売りに出ている。

7000ポンド(95万円)~1万999ポンド(148万円)

コンディションは良くなってくる。英国では、走行距離は12万8000kmくらい。だが、まだこの価格帯のクルマでも注意は必要。

1万1000ポンド(149万円)~1万4999ポンド(202万円)

走行距離は5万km程度に短くなり、整備記録も整ったクルマが選べるようになる。

1万5000ポンド(203万円)~1万9999ポンド(270万円)

後期型で状態の良いSL320が出てくる。

2万ポンド(271万円)~2万5000ポンド(337万円)

後期型で、状態のかなり良いSL320が見つかる。パノラミック・サンルーフ付きのSL500も選べる。

英国で掘り出し物を発見

メルセデス・ベンツSL320 登録:1997年 走行:14万9600km 価格:5995ポンド(80万円)

正規ディーラーと専門ショップとが混ざるが、整備記録が整ったフェイスリフト後のSL320。ソフトトップはもちろん、ハードトップも付いている。サビもないようだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web

みんなのコメント

6件
  • この時代のSLが一番格好いいな。
    やっぱりブルーノ・サッコのデザインは良かった。
    特にサッコプレートは優秀なアイテムだと思う。
  • 129は124や126と同じような独特のドアの剛性感がある。それだけでも買い!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1342.01783.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

120.02688.0万円

中古車を検索
SLの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1342.01783.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

120.02688.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村