今も忘れられない存在感を放つ
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
メルセデス・ベンツのSL。どんなクルマなのかを象徴する2文字。これまですべて、同じくらい記憶に残るモデルとなってきた。
今回取り上げるSLは、R129と呼ばれるミレニアム世代。1989年から2001年まで、12年間に渡って製造された。特定の年齢層にとっては、今も忘れられない存在だと思う。
デザイナーのブルーノ・サッコが手掛けたスタイリングに、先進的な技術を満載。混ざりけのないドライビング体験が味わえた。伝説のSLを、現代へ蘇らせたといっても良いだろう。
販売も好調で、今の英国市場にもかなりの数のR129型SLが流通している。走行距離がかさんだ1997年式の3000ポンド(40万円)から、1万6000kmしか走っていない1995年式の4万ポンド(540万円)まで、幅も広い。グレードも280から320、500が含まれる。コンディションはマチマチだ。
価格はあくまでも、売り手の評価。根拠もさほど明確ではない。欲しいと思ったら、できるだけ数多くのクルマを見て、比較すると良いだろう。走行距離が短く不具合のない極上車になると、売り手側はクラシックと表現して価値を高めがち。
筆者が専門ショップと話をした中での注意点は、ボディのサビ。カーペットをめくらないと見えない部分にも、広がっていることがある。
R129型SLが登場したのは1989年。当初はAT車のみで、ガス充填ダンパーにリムーバブル・ハードトップ、ポップアップ式のロールバーを備えていた。部品の一部には、最上級のSクラスから流用されたものもあった。
英国編集部のオススメは後期型の320
車重は軽くはなかったが、新しいエンジンはそれを補うパワーを備えていた。年式によるが、320SLは2.8Lか3.0L、3.2Lの排気量を持つ直列6気筒エンジンが選べ、最高出力は195psから234psを誇る。3.2Lは、24バルブ、ツインカム・ユニットとなる。
ほかにも、330psを発揮する5.0LのV8と、さらにパワフルな400psの6.0L V12エンジンもラインナップされていた。6.0LのV12エンジンをチューニングしたAMG仕様も存在した。軽量なV8エンジン版のAMGもあり、最高出力は386psだ。
多数あるR129型SLの中で、234psを発生する直列6気筒を搭載したSL320が一番選びやすい。
1996年にフェイスリフトを受けている。大きな変化は、2トーンボディからモノトーンへ変わったこと。またバンパーのデザインが新しくなり、ブレーキアシストが追加されている。
SL600にも惹かれるが、注意が必要。V型12気筒は上質で静かだが、軽微な修理でも難しく、費用も高く付く。特にスロットルボディは、内部で腐食が進む可能性がある。
1999年には、メーターパネルにクロームリングが追加。ステアリングホイールの中央には大きなスリーポインテッド・スターがあしらわれている。便利なオプションは、電動のフォールディングミラー。駐車の際にありがたい装備だ。
R129型の最終モデルは、SL500のシルバーアロー・スペシャルエディション。無冠の帝王、スターリング・モスのサインが記念に添えられている。生産台数は100台だった。
執筆時に英国では、2001年式で走行距離3万3800kmのSL500を、4万3995ポンド(593万円)で発見した。これが、いま最も頂点に立つR129型のSLとなりそうだ。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
専門家が、自然に分解されると呼ぶほど、ワイヤーハーネスは時間の経過とともにボロボロになる。ショートを原因に失火することもある。
交換用ハーネスは150ポンド(2万円)くらいだが、作業料金は遥かに高い。多くは、水の侵入が原因となる。
初期の6気筒エンジンは、ガスケットがだめになりやすい。V8エンジンは、スロットルボディに不具合が起きがち。異音を生じる、触媒コンバーターの調子にも気をつけたい。
トランスミッション
信頼性は高い。特に初期の4速ATは、フルードの劣化に気をつけたい。定期的なフィルター交換は有効。過去の整備記録を確かめておく。
サスペンションとブレーキ
SLは車重が重く、フロントサスペンションのロワアーム・ジョイント、アッパーマウント、ブッシュ類やスプリングへの負荷は小さくない。ブレーキディスクやパッドの具合も確認したい。
電気系統
バッテリーの状態に注意。劣化していると、警告灯が点く場合がある。当時のアラームは、電力消費も大きい。
ボディ
専門家によれば、腐食の進んだSLを目にするという。特にトランク内とフロントフェンダー。
電動ソフトトップが正常に動くことも確かめたい。しばらく使用しないと、電子モジュールが故障してしまう。特に、ハードトップを載せっぱなしのクルマには注意が必要。
インテリア
革の状態が良好か、電動シートがしっかり機能するか確かめる。すべての装備品が正常に動くかも重要。試乗する場合はエアコンをオンにして冷気が出るか、ヒーターは温風を出すかを、確かめたい。
オーナーの意見を聞いてみる
ゴードン・ビショップ
「このSL320は2000年に買いました。ディーラーのデモ車両で、数ヶ月落ち、2400kmの走行距離を刻んだだけでした。それ以来19万kmを走っていますが、目立った故障もありません。SLは、走ることを好むクルマです。停まっていると調子が狂います」
「走行距離は多いですが、コンディションは素晴らしいと思います。塗装はとても堅牢で、アルミホイールも、普通のクルマのように腐食が進むこともありません。容姿は美しく、快適で、装備も充実しています。頑丈な作りは戦車のようですね」
「整備は定期的に、主にメルセデス・ベンツを得意とする専門ショップへお願いしています。ハードトップは保管してあります。幸い、わたしの場合ガレージに置ける場所がありますので」
知っておくべきこと
SLのリムーバブル・ハードトップは、40kgも重さがある。脱着作業は簡単ではない。
ドイツの専門店などが、1人で脱着ができるリフトを販売している。オーナーの中には滑車を用いた吊り上げ装置をガレージに備え付けている人もいる。ドイツのサイト、SLショップなどでは、ハードトップのスタンドも販売している。
いくら払うべき?
3500ポンド(47万円)~6999ポンド(94万円)
フェイスリフト前の1996年式を中心に、280から300、320、500まで、走行距離の多いSLが売りに出ている。
7000ポンド(95万円)~1万999ポンド(148万円)
コンディションは良くなってくる。英国では、走行距離は12万8000kmくらい。だが、まだこの価格帯のクルマでも注意は必要。
1万1000ポンド(149万円)~1万4999ポンド(202万円)
走行距離は5万km程度に短くなり、整備記録も整ったクルマが選べるようになる。
1万5000ポンド(203万円)~1万9999ポンド(270万円)
後期型で状態の良いSL320が出てくる。
2万ポンド(271万円)~2万5000ポンド(337万円)
後期型で、状態のかなり良いSL320が見つかる。パノラミック・サンルーフ付きのSL500も選べる。
英国で掘り出し物を発見
メルセデス・ベンツSL320 登録:1997年 走行:14万9600km 価格:5995ポンド(80万円)
正規ディーラーと専門ショップとが混ざるが、整備記録が整ったフェイスリフト後のSL320。ソフトトップはもちろん、ハードトップも付いている。サビもないようだ。
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みんなのコメント
やっぱりブルーノ・サッコのデザインは良かった。
特にサッコプレートは優秀なアイテムだと思う。