2022年も多くのクルマがマイナーチェンジや一部改良をおこなった。「そうそう、ここをこうしてほしかったんだよ!」という“かゆい所に手が届く”改良から、「ココなんで変えちゃったの……」というようなトホホな変更まで……2022年のマイナーチェンジ&改良を振り返る!
※本稿は2022年11月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年12月26日号
よくぞ変えた&なんでそこ変えちゃったのよ!!? 2022年 マイナーチェンジ&改良グランプリ
■ホンダ フィット(2022年10月 マイナーチェンジ&RS追加)
ホンダ フィットに新たに追加されたRS。バリバリのスポーツグレードではなく「日常+α」といったスポーティさだ
ホンダ フィットは売れ筋のコンパクトカーだが現行型は不人気で、登録台数はフリードを下まわる。
売れゆきを回復すべく改良を行った。パワーユニットが改良され、ハイブリッドのe:HEVは動力性能を向上させた。ノーマルエンジンも排気量を従来の1.3Lから1.5Lに拡大している。
スポーティグレードは、ネスを廃止して、伝統のRSを復活させた。足まわりはRS専用で、街中を40km/h以下で走ると乗り心地が硬めに感じるが、操舵に対する反応は正確だ。
峠道では外側に位置する前輪が踏ん張ってよく曲がり、危険回避時の安定性も高い。
■日産 キックス(2022年7月 マイナーチェンジ)
内装を洗練させて、e-POWERの動力性能も高めた日産 キックス。以前とは違う「SUVらしさ」を味わえる
キックス(日産)は人気のカテゴリーとされるコンパクトSUVだが、売れゆきは低調だ。2022年の登録台数は、ライズの約20%、ヴェゼルの約30%に留まる。不本意な売れゆきで改良を実施した。
まずe-POWERを進化させ、駆動を行うモーターの最高出力を5%、最大トルクは7%向上。静粛性も改善された。
さらに後輪に専用のモーターを搭載する4WDも追加した。後輪用モーターの最大トルクは10.2kgmとされ、路面の乾いた峠道を走る時でも4WDのメリットを感じる。
特にSUVの場合、4WDは不可欠の機能だ。
■トヨタ ハリアー(2022年9月 一部改良・PHEVモデル追加)
トヨタ ハリアー。PHEVは20.5km/Lのハイブリッド燃料消費率(WLTCモード)を誇り、パワフルさと環境性能を両立。PHEVモデルの価格は620万円
ハリアー(トヨタ)は上級SUVの人気車だ。販売のテコ入れを行う必要はないが、発売から2年を経過して改良を行った。特に注目なのがプラグインハイブリッドの追加だ。
基本的にはRAV4 PHVのシステムと共通で、1回の充電により、WLTCモードで93kmを走行できる。そしてフロントモーターは、ノーマルタイプのハイブリッドに比べて動力性能を高めた。走りの余裕も増している。
プラグインハイブリッドの走行性能は、ハリアーの上質な内外装や快適な乗り心地と親和性が高く、イメージリーダーになり得るグレードだ。
■まとめ
今のフルモデルチェンジの周期は、一般的に6年に延びた。8~10年に達する車種もある。
マイナーチェンジや改良で着実に進化させないと、ライバル車に比べて商品力が下がり、販売競争に負ける。その意味でここで取り上げた3車種は注目される。不満を改善し、新たなメカニズムやグレードも加えたからだ。
メーカーのホームページには、報道関係者向けのニュースリリースが掲載され、マイナーチェンジなどの情報も閲覧できる。価格を含めて「何がどのように変わったのか」を把握して、購入に役立てたい。
【番外コラム】2022年ガッカリ改良ワースト3
燃費は向上したが動力性能が低下したトヨタ カローラセダン&ツーリング
各所を簡素化して使い勝手が低下したダイハツ タント(写真はタント ファンクロス)
ハイブリッドが廃止された日産 スカイライン
カローラセダン&ツーリング(トヨタ)のノーマルエンジンは、以前は直列4気筒1.8Lだったが、改良で直列3気筒1.5Lになった。燃費は向上したが動力性能は下がった。ノーマルエンジンのリアサスペンションは、以前は独立式のダブルウイッシュボーンだったが、今は車軸式のトーションビームだ。
タント(ダイハツ)は後席の格納方法を簡素化して、格納時の荷室高が減った。荷室の床には段差が生じて、デッキボードを使わないと平らにならない。ほかの装備も簡素化された。スカイライン(日産)は正式にハイブリッドを廃止した。
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