■免許返納後の切り札となる? シニアカーってどんな乗り物?
近年、高齢者が運転するペダル踏み間違いによる自動車の事故が続発し、社会問題化しています。そのため、高齢者に「免許返納」を推奨する働きも増えているようです。
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そんななか、免許返納後の移動手段として、免許不要で運転可能な「シニアカー」が注目されています。しかし、シニアカーの普及とともに、シニアカーを発端とする交通事故も増加しています。
高齢化社会が急速に進むなかで、注目されるシニアカーとはどのような乗り物なのでしょうか。
シニアカーとは、正式名称を「ハンドル形電動車椅子」といい、販売するメーカーによって「シニアカー」、「電動カート」、「セニアカー(スズキの登録商標)」とも呼ばれており、運転免許が不要なことから高齢者が利用する乗り物として認識されています。
シニアカーを使用するケースとして、室内の移動程度の短距離の自律歩行はできるものの、中長距離歩行が難しい高齢者が多いといい、道路交通法上では歩行者扱いとなることから、通常は歩行者と同じ歩道を走行し、歩道のない道路では公道上の「右端」を走るとなっています。
車いすとは異なり、商業施設などの店内や病院屋内では使えず、路線バスなどでも乗車できない場合が多く、大きな総合病院などでは、病院が用意している手こぎ車いすへの乗り換えを促すこともあるといいます。
車両サイズは、国土交通省によるISO規格で全長1200mm×全幅700mm×全高1090mm以下です。重量は、約80kgから100kgとなり、1回の充電で連続走行30km程度の走行が可能で、最高速度は6km/hに抑えられています。
使用するバッテリーは、一般的にクルマのエンジン始動時に使われる鉛蓄電池となり、満充電には家庭の100Vコンセントで、およそ一晩ほどの時間が必要です。
バッテリーを含むと、シニアカーの重量は100kgほどとなり、そこに人が乗った場合、160kgから170kgほどの重量となります。このシニアカーが時速6km/hで歩行者にぶつかれば、死傷事故にもなりかねません。
そこで国内シニアカー製造者の大手メーカーのスズキ、ホンダ、セリオなどでは、任意保険加入を推奨しています。年間保険料は1万円ほどで、対人・対物・自損事故、なかには車両保険までカバーする総合保険が用意されています。
シニアカーの価格帯はメーカーによって異なりますが、大体30万円から40万円です。高価格帯な商品となるため、なかなか普及していないという課題もあるようです。
■月々数千円からレンタル可能? その条件とは?
シニアカーの価格は高価ななことから、レンタルで利用している人もいます。
レンタルは、厚生労働省が認定した介護保険適応製品として認定されたシニアカーに限り、「福祉用具貸与サービス(介護保険レンタル)」という形で利用することが可能です。
この場合、レンタル料の利用者負担額は、原則として1割負担となり、福祉用具貸与事業者により異なりますが、おおよそ自己負担額は2000円から2500円程度といいます。
地域により介護保険の認定基準が異なり、シニアカーをレンタルできる条件として最低限要介護2以上の認定が必要です。
ただし、シニアカーをレンタルできる介護度の条件は、要介護1、要支援2以下でも主治医、福祉用具専門相談員などの判断と同意があり、自治体が特に必要と認めた場合、特例給付申請ができる場合もあるようです。
※ ※ ※
高齢者の生活を助けるシニアカーは、免許返納後の移動手段として注目を浴びています。2018年には国土交通省の鉄道局が電車利用についての条件を緩和しています。
介護保険などの国からの補助を受けシニアカーを利用しているユーザーのみが対象だった電車の利用を、すべてのシニアカーユーザーが利用可能としました。
しかし、現状ではクルマでまかなっていた移動のすべてを置き換えることはできません。今後は、シニアカーをはじめとした、免許返納後の移動手段の「多様化」が課題となりそうです。
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